「パパとママとどっちが権力を握っているか」を子どもがどう認知しているかを6歳8歳10歳の子どもたちを被験者に調べた研究。Emmerich(1961)に倣って、「これあげますよ」という発言が父母の間のどちらの発言かを子どもに判断させるという方法が用いられた。その結果、「勢力を示す」発言の話者を6歳では「母親」とすることが多く、年齢が上がるにつれて「父親」選択が増え、10歳ではほぼ同等となることがわかった。Emmerich(1961)では「父親」優位だったので、日本が特別に母親優位なのか、と思ったが、使われた発言が「より女性的だった」という実験方法の欠陥によるものだと思う。Emmerich(1961)では勢力側の発言「You can have it.」と劣位側の発言「I want it.」の両方が用意されていたのに対し、この研究では勢力を示す側だけが使われていたために、言葉遣いの「女性らしさ」に子どもたちが反応してしまった可能性が高いと思う。