Date: Thu, 26 Nov 1998 00:26:48 +0900
From: 相良 順子
Subject: KRのコメントに対して
To: kazmori@gipwc.shinshu-u.ac.jp
MIME-Version: 1.0
守 一雄先生、
コメントありがとうございました。
先生からお手紙をいただいて初めてKRの存在を知りました。
すばらしい発行目的だと思ます。
しかもお一人でやっておられると知り、驚き敬服しました。
さて、私の「幼児・児童のジェンダー間勢力の知覚」論文に対する
先生のコメントは、言葉使いの「女性らしさ」に子どもが反応した
のではないか、ということでした。
実験でつかった表現は丁寧語ということで男性的、女性的に片寄らな
い表現であると考えましたが、劣位側の反応を調べていないので、ご指摘
の可能性を否定することができません。
ただ、別サンプルでの予備実験では、勢力側と劣位側の両方を調べました。
その結果と比較すると、発達的なパターンはかなり類似したものになっています。
また、各学年の平均値をみると父親と母親が同等の勢力として知覚され
ている、という結果になっていますが、父親が勢力が大きいと知覚する
(8選中7選択以上を父親に当てる)子どもの数は学年が上がるにつれ
増加しました。このような反応があるということは、全員の子どもが、台詞の
「女らしさ」に反応したわけではないことがわかります。
この点は論文には記述しておりませんが、勢力知覚の個人差が広がった
という表現もできるでしょう。
しかしながら、本研究の結果は、別の尺度を用いて確認したいと
考えています。
相良順子