参加者の感想
八千穂村小学校教員 矢島慎吾先生
銀河工房での『小泉小太郎物語』は心打たれました。脚本、絵、音楽、小林さんの語り。古い黒光りのする柱や板に囲まれての室内で、この作品に大人がまるで子供のように吸い込まれてしまうのですから不思議です。拍子木が鳴ると私たちは別な世界にいました。
テレビの映像のように激しく変化するのではなく、一枚一枚の絵は見る人の想像力にゆっくり働きかけてくれます。どんなにアニメが隆盛を極めても、原点としての紙芝居の存在は、そのねうちを持ち続けるのではないでしょうか。
たまたまNHKで放映された番組の中で、深町先生がおっしゃったように「生涯忘れられないものとして心にのこるもの‥」と私も思います。
スピードとか、利便性とか、経済効率とか、そのようなものだけが追い求められ、その中で翻弄されている子どもたち、大人もまた本当に求めているのは、生活に根ざした人々の本質的な願いが形象化された質の高い芸術作品です。
信州大学教育学部美術科2年 森山 忍さん
今回母校の先生に勧められて『芸術教育とおもちゃの旅』という魅力的な旅名の企画に参加させて頂き楽しい一時を過ごしました。
私が一番印象深かったのは銀河工房です。ここは幻想的な風景の中ひっそりとたたずみ温もり溢れる木のおもちゃと清澄な音楽が私たちを迎えてくれました。言葉はなくとも、おもちゃが、雰囲気が、語りかけてきてくれました。公演された紙芝居も小太郎の世界へ自然にひきこまれて面白かったです。
今回、芸術は肌で感じるものだと改めて思いました。理論ではなく何だか分からないけれど感動する、自分の中に新たな光が灯る、素敵なことです。しかし、自分により多くの知識があればさらに感動するし、その表現手段の幅も広がります。これからは実技、指導法はもちろんのこと、このような広がりを持てる勉強もしていきたいと思っています。
2000年10月29日 『芸術教育とおもちゃの旅』