KRから長尾さん@活水女子大学へのお答えその2(1999.9.28)

KRから長尾さん@活水女子大学へのお答えその2(1999.9.28)

拝復

 再度のコメントありがとうございました。もう少し議論を続けたいと思い、お返事差し上げました。また、若い大学院生もたくさんKRのWeb版を見ているようなので、前回同様、いただいたお手紙とこの回答をそれぞれKRのWeb版に掲載しました。

「長尾さんのお答え」
>(1)対象が統一していない点があり、計画的とは思えないというコメントに対して            
>先行研究で学校差、性差、学年差を危機      
>状況尺度で明らかにしていますので、それにもと      
>づいて対象選出をしました。

     

KRからの回答      
先行研究で性差などが明らかならばなおさら      
「研究1」と「研究2」のデータの取り方は      
「行き当たりばったり」ではありませんか。      
データ収集の協力が得にくいこともわかります。      
初めから被験者を「研究1」と「研究2」に      
それぞれ半分ずつ割り当てるようにすれば、      
計画的なデータ収集となったのではないでしょうか。      

「長尾さんのお答え」
>(2)幼児期の親イメージ得点の標準偏回帰係数に支持、不安定、支配に違いがあるにもかかわらず考察していない       
>研究結果の全てを考察するわけにはいかな      
>いと思います。問題は、その部分が研究上ど      
>れだけ重要かです。(中略)とくに枚数の      
>都合上、とりあげませんでした。

     

KRからの回答      
はい、ですからそれでは「結果の解釈が恣意的だ」と批判したのです。      
私は今でも標準偏回帰係数+.43は-.43の間違いではないかと疑っています。

「長尾さんのお答え」
>(3)パイロットスタディを学会誌にとりあげるべきでないというコメント      
>パイロットスタディでも要因を捜すだけ      
>でも価値はあると思えば論文にすべきだと      
>思っています。

     

KRからの回答      
私は「捜すだけ」では「学会誌論文としては不十分」だと思います。

「長尾さんのお答え」
>(4)実験研究と調査研究の差について      
(略)

「長尾さんのお答え」
>(5)青年白書の研究価値について      
(略)

「長尾さんのお答え」
>(6)この程度のあいまいな結果は、明日から役立てるのか      
>実験心理の方は、自分      
>の世界に閉じこもってはいないか、又、慎重す      
>ぎないかとも思う。

     

KRからの回答      
「慎重すぎる」のも問題ですが、      
「慎重が足りない」のも問題です。      
この程度の曖昧な研究結果を      
「明日からの教育や臨床に役立て」てしまおうとするのは      
あまりに慎重さを欠きます。

「長尾さんのお答え」
>(7)研究は予算によって決まるものではなく、守先生の研究観「新しい発見」について      
>仮説のオリジナリティ、新奇性を検証すること      
>はすばらしいものですが、新たな発見とは研究      
>でなくても日常生活の経験で人々は行ってい      
>ます。正しくは、新たな発見を科学的(行動      
>科学的方法によって)に検証することと思い      
>ます。これは、従来から研究者としての余裕      
>ある態度ですが、今日、激動の時期を迎え、      
>研究者にこの余裕が今、あるのでしょうか。

     

KRからの回答      
研究者まで余裕をなくしたら世も末です。      
時代がどうであれ、研究者は新たな発見を目指すべきで、      
もちろんそうした発見は検証されてこそ真の発見となるのはおっしゃるとおりです。

 今後もどうぞ「KR」をご支援下さい。

                     敬具