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QTVR Cam Basic

QTVR用のパノラマ素材の撮影用のカメラ機材に必要な要素について
比較的基礎的なことをメモしておきます。



カメラ本体
     

    使用するカメラに関してですが、基本的に「どんようなカメラ」でも使用可能です。つまりデジカメでも銀塩フィルムカメラでも撮影できるものなら何でも使用できます。


これは35mmフィルムカメラ

    ただし・・・

  1. カメラが固定できること。

    普通に三脚のネジが切ってあるか、何らかの手段でしっかりと固定できるようになっていなくてはいけません。

    こう書くとSANYOのDSC-X100, X110, V100などは三脚ネジがありませんから不向きということになりますが、バーチカルブラケットにタイラップ(樹脂製の結束用バンド)でしばってしまえば全く問題なく使用できます。

    かえって縦長のFinePixシリーズなどの方がバーチカルブラケットとの収まりが悪く固定に苦労します。

  2. 比較的広角なレンズであるかワイドコンバータが装着可能であるなど、レンズの画角が広いこと。これは以下の二点に関連してきます。

    a.) 水平に分割する枚数
    画面は一定量(約25〜50%)重ねて撮影していきますが、レンズの画角が広ければその分分割枚数が少なくできます。

    b.) 上下(垂直)方向の画角
    水平方向はどのみち合成して360度の画角の画になりますが、垂直方向はレンズで決まってしまいます。そこでなるべく画角を稼ぐためにカメラを縦位置で撮影するのです。

  3. 画質がいいこと。

    これは解像度のことではありません。特殊な用途で無い限りVGA以上での撮影は全く無意味です。メガピクセル機であってもVGAサイズに設定してしまって大丈夫です。

    ただし、レンズの性能やCCDの特性、Autoでの素性やManualに切り替えられるかなどの方が大変重要になります。一般的にこういう点が優れたカメラは高解像度で高価格なので、メガピクセル機は決して無駄ということではありません。

  4. 撮影間隔が短いこと。

    機動時間は問題ではありません。シャッターを押して次にシャッターが押せるようになるまでの間隔ができる限り短い方がより有利になります。

    目安は1秒以内でしょうか(個人的見解)

    手動の場合はこれ以上でもなんとかなりますが、自動で回しているとかなり回転速度を落とすことになり、撮影時間がどんどん延びてしまいます。そのぶん被写体が動く確率が上がりますからリスクは増えていきます。

    この意味でもVGA以上のサイズでは不利なのでなるべく高速に動作するモードを選びます。

    最近のカメラはバッファを持っていて10コマぐらいは速写できるのですが、バッファがあふれるととたんに遅くなるので結構面倒です。

    また「連写モード」では無条件にバシバシシャッターを切っていってしまうので、回転と同期できないですしシャッタースピードは遅め(長め)になるので画像が流れやすくなってしまい実用になりません。

    同様の理由で動画モードも使用できません。

  5. 最終的にデータをパソコンに渡しやすいこと。

    銀塩の場合自分でスキャンするかPhotoCDに焼いてもらうかする必要があります。

    デジカメの場合でもシリアル転送かカード類かで全然機動力が違ってきますが、まとまった枚数を撮りますから時間や手間のかかるシリアル接続では大変不便です。カードの場合も一枚だけでなく複数のカードを用意しておいた方が撮影とパソコン取り込みを同時進行でできるので便利です。

    またカメラの固定とカードの取り出しに関しても気を付けた方がいいでしょう。できればカメラを固定したままカードが取り出せる物がいいのですが、なかなかそうも行かないようです。

  6. 外部からのシャッターのリモコンができること

    と言ってもこれに標準で対応しているのはオリンパスのC-2000ZOOMぐらいかもしれません。(赤外線リモコン付属)

    気をつけないとシャッターを切るときにカメラがぶれたり、回転軸をずらしてしまったりするのでこのような機能は必須なのですが、どうもどこのメーカーも対応していないようです。

    ただ、だいたいのカメラはシリアルポートからのコマンドでシャッターが切れるようにはなっているので、専用のシリアルリモコンは作成可能と思われます。メーカーが出してくれるのが一番なのですがプロトコルを解析してPICなどを使用して実現することはできそうです。

カメラの固定について  

    前述のようにカメラは縦位置で固定する方がいいのですが、これにはいくつか方法があると思います。

    専用のバーチカル・ブラケットを使用する。

    バーチカル・ブラケットというのは右の写真のような物です。下側に三脚ネジが切ってあり固定でき、横のギザギザした部分に入るカメラ固定用のネジで任意の位置にカメラを取り付けられます。(写真ではネジは外してあります、また水準器も標準では付きません)

    写真の物はスリック(株)の「バーチカルブラケットS」(品番201p183、\13,000)です

    ただこれだけではカメラが縦位置に付くだけで用をなしません。レンズが回転軸の中心に来るように取り付けなくてはいけないからです。その為にはもう一つアダプタが必要になります。

左は「ツインカメラプレート」などの名称のアダプタで本来はカメラを2台付けたりする時に使用しますが、バーチカル・アダプタと組み合わせてパノラマ撮影用にも使用できます。

写真の物は(株)ユーエヌの「デラックス・ストレートバー」(品番UNP-5606、\5,200)でかなり大型の物です。

    実際にはもっと小さな物でも構わないのですが、うちでは縦長のDVカメラを付けられるように最大サイズの物を使っています。

    この二つを組み合わせるといろいろなサイズの(三脚ネジ穴の位置も違う)カメラを同じようにセットアップできます。

    カメラのレンズの中心が回転の中心に合っているのが判るかと思います。アダプタを使用することで物理的に角度の精度が保たれます。

    これらの市販品は価格が結構する割に、でかくて無駄も多い物ですから材料を買ってきて自作するのも良いのではないでしょうか?厚手(3〜5mm)のアルミ板を曲げて作るか、アルミアングルにアルミ板をネジ止めして作成できます。カメラおよび雲台固定用のネジ穴の部分は長い溝型に穴を開けて2〜300円で売っているカメラネジを使って固定できるようにします。

    さて、次に重要なのはこのセットを三脚ネジの軸線上で360度自由に回転できるようにすることです。

    三脚の雲台をパンさせてなんとかならないかと思うのですが、結局三脚のティルトの調整を、雲台のパンの回転軸とカメラセットの回転軸(この場合はツインプレートのネジ穴)が一致するように固定して使用しなくてはならないため、だいたい上手くいきません。

    雲台上面プレートが回転するような雲台であれば使用できますが、そうでない物の場合は専用のアダプタを使用したほうがいいでしょう。

「パノラマアジャスター」という物を使用しますが、これは(株)みなと商会(・・と言うよりマイネッテと言った方が判り易いですね)の「パノラマアジャスター」(品番242409、\3,800)です。

国内では他でこのような物はあまり見かけないですし、自作(ボールベアリングを用いたターンテーブルのような物を作る)するのも結構大変なので、これを買うしかないようです。

    この種のアダプタはカメラ店で買えますが在庫しているところは少ないかもしれません。「写真・映像用品ショーカタログ」で調べて取り寄せることになるかもしれません。

    「写真・映像用品ショーカタログ」もカメラ店で入手可能ですが(200円の値札がついていた)、店頭用のものをぺらぺらめくって調べるのでもいいでしょう。

 

まとめ   

    以上パノラマ撮影用の装置に最低限必要な要素を上げてみました。まあ最も重要なのは「回転軸とレンズの光軸がきちんと交わる(90度)こと」でそれ以外は実はどうでも良かったりしますから、それを実現できる装置を組めば何でもいいのです。

    これは弐号機のことを考えてもらえば判ると思います。

    ただし回転の途中で軸がぶれたりするのは後工程にもろに影響するので機械的強度や固定・回転(角度ではなく軸のぶれ)の精度は十分に気をつける必要があります。

    弐号機でも回転機構の剛性を上げるために色々な工夫をしたり改造を常に続けています。(最初は強度が出なかったり途中でばらばらになったりしました)

    また問題になるのは「動的な精度」の方で「静的な精度」の方はソフト的に吸収可能ということも設計の際に無駄をしない為に重要なことです。例えばカメラが多少傾いて取り付けられていても「その角度が常に一定ならば」ソフトで固定的に修正可能ですが、取り付けベースの強度が無くて回転するたびに傾きが変わるのでは修正は一枚一枚手作業でやる必要が出てきます(まあそうすれば大抵の素材は使用できるのも事実だが・・・)。

    ではみなさんもQTVRの作成に励んでください。


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