Mr.K's Letter #3

K氏からのお手紙(その3)

  
               1998年3月17日
 守 一雄 様

                                                        K 
 
 お手紙受け取りました。まず質問におこたえする前に,誤解があるようなので,今ま でのお手紙を読み直していただきたいと思います。「ちび黒サンボ=黒人差別」という 短絡的な問題意識を私は持っているわけではありませんし,絶版が必要であるという考 えを述べたこともないと思います。私自身の考えは,前回もお伝えした内容をまとめる と,差別は差別意識と差別事件の構造の総体として存在し,各問題自身のみで差別を論 じることはできないとするものです。それが,私のいう『「ちび黒サンボ」と結びつい た黒人差別・蔑視』の意味であると理解していただきたいと思います。いくつかの質問 がなされていますが,差別実態の具体的内容は,私自身の主観を説明するより「日本人 の黒人観」などの文献を参照ほうが良いと思います。
 逆に,そのことに関して,先生は『「チビクロサンボ」に結びついた黒人差別・蔑視 の意識があるとは考えていない』というお返事でしたが,では,黒人が日本において「 サンボ」と呼びかけられて嫌な思いをしているという事実についてどう思われますか。 また,そのように「サンボ」と呼びかける背景はどのようなものがあるとお考えなので しょうか。
 私は,そのような意識と「ちび黒サンボ」が結びついているという意見であることを 前回の手紙で説明しています。その因果関係については,心理学的な研究で明らかにで きると思います。逆にそこに,心理学の役割があるのではないでしょうか。先生が「チ ビクロさんぽ」に差別がないというということを言われるならば,「ちび黒サンボ」と 全く無関係であること,あるいは「ちび黒サンボ」と差別的な実態に因果関係がないこ とを心理学的根拠をもって実証すべきであると思います。

 なお,前回までの質問におこたえしていただいてないものがあるので,それらを再度 ,整理するとともに,あらため質問させていただきます。

(質問1)当事者の意見を聞かずに差別が改善されたと結論づけたのはなぜですか。( 詳しい説明は前回までの手紙を見て下さい)
(質問2)本来,ちび黒サンボによる差別事件を起こしたマスコミのみの立場の調査で 差別が改善されたと結論づけたのはなぜですか。
(質問3)「ちび黒サンボ」に関する問題について,どのような資料・文献を元に検討 しましたか。そして,サンボという差別語しか問題ではないという結論の根拠はどのよ うな資料・文献によって得られましたか。
(質問4)前回の手紙で「タブー語の本質である情緒的意味は伝染しない」とする根拠 を否定する説明をしましたが,それに対する反論あるいはちゃんとした根拠の提示があ りますか。
(質問5)「ちび黒サンボ」を読んで育った人の多くが「チビクロさんぽ」を購入して いる事実に対し,「ちび黒サンボ」の差別性(この点については,先生の立場として「 サンボ」の差別語のみでも構いません)が拡大していないという根拠はありますか。ま た,その根拠はどのようなものですか。
(質問6)日本社会の中に黒人を差別する意識が残っていると考えますか。もし,差別 する意識が残っているならば,どのようなものと思われますか。
(質問7)黒人が日本において「サンボ」と呼びかけられて嫌な思いをしているという 事実についてどう思われますか。また,そのように「サンボ」と呼びかける背景はどの ようなものがあるとお考えなのでしょうか。

 質問事項の整理をしないとお答えしてもらいにくそうなので,このような形になった 失礼をお許しください。

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