山内@東京大学さんからのご教示(2000/1/18)
From: Kana YAMAUCHI
Date: Tue, 18 Jan 2000 16:41:30 +0900
To: kazmori@gipwc.shinshu-u.ac.jp (守 一雄)
Subject: Re: KR送付のお礼および質問
MIME-Version: 1.0
Status: RO
守一雄先生
2つの質問についてお答え頂き,誠にありがとうございます.
守先生のおっしゃるところの“平均値”および「普通にやっていること」に
ついて確認することができました.
守先生は,複数の評定者が与えた評定値のうち平均からずれている評定値,つ
まり他の評定者の値より辛すぎたり甘すぎたりするものを特異値と考えておら
れます。評定者間のこのような甘さ辛さの差は,異なる論文を異なる評定者が
評定する場合には非常に重大です。
これに対し,すべての論文をすべての評定者が評定する場合には,全般的に甘
い評定者や辛い評定者がいても,それ自体は問題になりません。この場合に問
題になるのは,全般的には甘い評定者が,多くの評定者から高い評定値を得て
いる論文に対して非常に厳しい評価を下す,というような場合です。このとき
は,評定者の甘さ辛さの主効果と,論文の良さの主効果から加算的に予想され
る値に対して,実際の評定値が大きなズレを示したことになります。
本論文では,このように評定者と論文(実際には観点も)が完全にクロスした
デザインのもとで,こうした評定者と論文(と観点)の交互作用に注目した分
析をしています。これは,評定者要因に注目して辛すぎる評定者を検出したり,
論文要因に注目して評定の高すぎる論文を検出したりすることとは本質的に違
うことです。
そのような交互作用を検出すること自体は,分散分析の観点からは自然な発想だ
と思いますが,論文が評価される現実の場面(入学試験など)において「普通に
やっていること」とは言えないのではないか,と考えております。
今後ともよろしくお願いいたします.
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東京大学大学院教育学研究科
総合教育科学 教育心理学コース
山内 香奈(Kana Yamauchi)
e-mail:kana@educhan.p.u-tokyo.ac.jp
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守からお礼のメール(2000.1.18)を書きました。
守から返事(2000.1.16)に戻る。
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