ピアノテキストの加線学習プログラム研究


ピアノの教本は、その主な目的が読譜の指導であるとはいえないでしょう。しかし、どのピアノ教本も、読譜の指導がその指導プログラムの一部として入っている、ということはできると思います。そうだとすると、ピアノ教本の読譜学習プログラムが、頭に入りやすく覚えやすいプログラムで編集されていることが望まれます。多くの町のピアノ教室では、読譜の学習もピアノ教本の中ですませてしまっている現実を考えると、なおさらこのことはいえると思います。

しかし、市販されている多くのピアノテキストを研究してみると、生徒にとってことに難しい加線の学習に関して、体系的で分かりやすい学習プログラムが組まれていません。それどころか、その場その場の都合で場当たり的に説明しているとしか思えないような、およそ体系的プログラムとは縁遠い編集のテキストが多いのに、驚かされます。「ピアノテキストの加線学習プログラムの研究」をお読みいただければ、皆様にもその現状をよくご理解いただけると思います。これでは、生徒たちがなかなか加線の音を覚えてくれないのも、無理はありません。また、どうして私が、「かせんがよめる」という加線の読譜に特定したテキストを、独自に編集することの必要性を強く感じたかも、お分かりいただけるかと思います。

市販ピアノテキストのこのような加線学習プログラムの不備に対処するには、そのような現実を背景に生まれた、私の「かせんがよめる」を活用してみるのもいいでしょう。あるいは、ご自身で素晴らしいテキストを考案なさったらどうでしょうか。そんな工夫をされて、少しでも子どもたちの読譜学習の負担を、軽くしてあげてほしいと思います。

なお、今後他のテキストも取り上げるつもりですが、今回はバスティンのピアノ・ベイシックスを最初に研究してみました。それは、最近バイエル等の古いタイプの楽譜が、例えば「バイエルでは3年遅れる」とか、かなり不評を買っているところがあります。そこで今回は新しいテキストを取り上げて、それでは一体新しい楽譜の方は、どのくらい体系的に優れた編集がされているのか知ってみたい興味があって、この楽譜を取り上げてみました。今回は加線音の指導に限っての研究ですが、どのくらい体系的な合理性を持って編集されているのか、見ていただきたいと思います。


バスティン・ピアノ・ベイシックスの加線学習プログラムの研究

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