グローバー・ピアノ教本の指導体系


[凡例]

調の色 ハ長調 ト長調 ニ長調 イ長調 ホ長調 ヘ長調 変ロ長調 変ホ長調 イ短調 ホ短調 ニ短調


マーク
マーク
の意味
上行下行音階
による新調導入

上行下行音階
を含む曲
上行音階を含む曲 下行音階を含む曲 7度以内の上
行音階を含む
7度以内の下
行音階を含む
音階なし。メロディ
音域8度以上
左に同じ。
破線=転調あり


音階なし。メロディ
音域7度以内
音階なし。メロディ
音域6度以内
左に同じ。
破線=転調あり
点線=音楽的
充実度に欠ける
和音や分散和
音が主体の曲
左に同じ。点線=音
楽的充実度に欠ける
メロディ6度以内。
唐突な新調導入
メロディ8度以上。
唐突な新調導入


各テキストの指導体系チャート

V
o
l
2
曲の形態
調 ハ長調 ハ長調 ハ長調 ハ長調 ハ長調 ハ長調 ハ長調 ト長調
曲名 ブルー・カーボーイ メリーさんの羊 メロディ ちょうちょう ハ長調音階練習 しあわせ いのり ト長調音階練習
備考 ブルーノート使用 後半ハ短調     4分音符の音階     4分音符の音階

● ハ長調音階練習の後、ハ長調には下行音階のみが含まれる曲「しあわせ」が1曲だけ続くが(残念ながらその後はVol.4の終わりまで1曲もなし)、ト長調に関しては音階を含む曲は、Vol.4の終わりまで1曲も用意されていない。


ト長調 ト長調 ト長調 ヘ長調 ヘ長調 ヘ長調 ヘ長調 ヘ長調 ハ長調
よあけ ジングルベル 歓喜の歌 ヘ長調音階練習 おもちゃのラッパ 子ねこのおどり メキシコのみんよう メロディ テクニックの練習
      4分音符の音階       チャイコフスキー  

● ヘ長調の場合も、ここで音階が導入された後、Vol.4の「トリルU」の左手に(これは曲というよりトリルの予備練習曲)、たった一つの上行音階があるのみ。 ●また、ハ長調、ヘ長調、ト長調音階導入後の各曲は、1オクターブにわたる音階の学習後であるにもかかわらず、メロディの音域が6度以内に収まってしまう曲や、音楽的充実度の大変低い曲が多数を占める。


ト長調 ト短調? ト長調 ヘ長調 ハ長調 ハ長調 ト長調 ヘ長調 ニ長調
賛美歌
夜の使者 ト長調音階練習 ヘ長調音階練習 反行の練習 クイーンを讃える歌 ルービイ・ルー くろい子ぐま ニ長調音階練習
  突然のト短調 8分音符の音階 8分音符の音階         4分音符の音階

● ここで再度ト長調とヘ長調の音階練習が、今回は8分音符のリズムで出てくるが、それでもこの後これらの調の曲の中で音階が使われることはない。そのことはここで初めて導入されたニ長調についても同じである。


V
o
l
3
ニ長調 ニ長調 ニ長調 ニ長調 ヘ長調 ニ長調 ハ長調 ト長調 ハ長調 ヘ長調
ウィナー・シュ
ニッツェル
子ぐまの行進 ミュゼット わかれ 夕ぐれの星 祈り シルバー・ベル わらの中の七面鳥 赤いドラム 子象の行進
                 

●この段階に入っても、相変わらず音楽的に充実度の低い曲が多い。 ● Vol.3からは和音によってメロディを構成する曲が多くなるが、勢い表現が型にはまり、単純で陳腐なメロディの曲が多くなる。


ニ長調 ハ長調 ハ長調 ニ長調 ハ長調 ヘ長調 イ短調 イ短調
戴冠式 凧のうた 長和音の練習 移調No.1 移調No.2 トランペット吹き 夕べのうた 短和音の練習 オアシス
単純な繰り返しの曲 黒鍵のみを使う 飽き飽きする見本 突飛な移調の導入 突飛な移調の導入 陳腐な繰り返しの曲   和音による新調導入 和声短音階のみ

● 何の理由で方針転換をしたのか(おそらくVol.3から和音主体の学習になったからだろう)、ここでのイ短調の導入は、音階の練習曲によらずに転回していく和音や分散和音の連続によっている。


V
o
l
4
ト長調 ニ短調 イ短調 ニ短調 ヘ長調 ヘ長調 ト長調 ト長調 イ短調
クイック・ダンス ミンカ イ短調の協奏曲 悲しみ 農夫のダンス 夜明け 16分音符と休符 いたずら アラベスク
  唐突なニ短調導入 グリーグ           ブルグミュラー

● ここでのニ短調の導入は、事前の音階の学習もなく、いきなり曲が用意されている。 ● Vol.4は和音の連続による大変に冗長な曲、「夜明け」から始まる。


ニ長調 ヘ長調 ヘ長調 ハ長調 ハ長調 ハ長調 ニ長調 ハ短調 イ短調 変ホ長調
トリルT トリルU ゆるやかなダンス スキップ 増和音の練習 プレリュード 歌曲 減和音の練習 奴隷船 メヌエット
               ハ短調の導入曲?   この前に変ロ
長調の学習なし

● 変ロ長調の指導がないところへ、突然変ホ長調の曲が挿入されている。しかも、音楽的にもテクニック的にもそれまでに学習してきたタイプのものとはかなり違うので(その前におかれた「歌曲」もやや同じ傾向がある)、この段階でこの曲を音楽的に弾きこなすことは難しいだろう。


ニ長調 ハ長調 イ短調 ト長調 ト長調 イ短調 ニ長調 ニ短調 ト長調
半音階の練習
TA
TB 
半音階の練習U 夜の嵐 付点の練習
T、U
兵隊ごっこ あこがれ シンコペーション
T、U
ジェリコの戦い 早起き鳥
  半音階の曲       短前打音の導入

● 音階の指導が徹底していないのと同様に、半音階の指導も半音階というテクニックを紹介しただけの形に終わっている。「夜の嵐」は半音階の学習にこだわった分、音楽的には陳腐な繰り返しに終始している。


ト長調 ト長調 イ長調 イ短調 ハ長調
ハ短調?
ハ長調 ハ長調
ナイチンゲール そりの鈴 牧歌 くもりぞら 長調のアルペッジョ
T
U
短調のアルペッジョ
T、U
アルペッジョの練習 狩猟
    突然のイ長調導入      

● ここで突如イ長調が、事前の何の学習もなくたった1曲だけ挿入される。 ●一般的にアルペジョの方が音階をひくより難しい。しかし、このテキストではVol.4の最後のところで、集中的にこの難しいアルペジョの練習をさせている。この段階までに、音階を扱った曲がほとんど用意されていないことを考えると、大変理解に苦しむ指導課程である


グローバーピアノ教本の研究

ホームページ][コース案内][テキスト研究][音階の曲集

Copyright(c) 1997 Yoshinori Natsume, All rights reserved.