![]() |
スティーブンス氏のアドバイスと私のたちの試み(2) | ![]() |
スティーブンス氏のアドバイス | 私たちの試み |
小道とパティオ | |
小道とパティオは、固い素材を使った庭の景観の骨格であり、庭のデザインの枠組みになる。この枠組みの回りに、柔らかい素材の芝生や花や木々、その他の色々な要素を配置していくことになる。小道とパティオは、庭を楽しむためにきわめて大事なものであって、そこから庭の色々な場所に行くことができるだけでなく、そこに座ったり、食事をしたり、遊んだり、その他色々な活動の場所になるのだ。簡潔であること、意図がしっかりしていることが、このデザインにおいては最も重要だ。 小道の舗装は、あなたの庭へのおそらく最も長期にわたる投資になるだろう。だから、材料を購入する前に、それがあなたにとって、またあなたの庭の状況にとって間違いのないものであるか、しっかりと検討しなさい。家に近いところの舗装は、どんなものであれ家と強く関係しているので、それを考慮して材料を選択すること。 |
ここで解説されているように、私の場合もまず小道とサンルームにつながるパティオといった、固い素材を使う場所から設計しました。(正直なところ、花や木のことに関して、ほとんど知識のなかった私には、そこしか頭の使えるところがなかったともいえますが(^_^;)。確かに、最初にこの部分に力を入れて計画したために、しっかりとした庭のデザインの骨格ができたと思います。 小道を舗装する材料のレンガも、色々な会社のカタログから気に入ったレンガのサンプルを取り寄せて、その中から回りの土に馴染む色合いと風合いのレンガを選んで使いました。 |
パティオには十分な広さを確保することが大切だ。もし、パティオを外の部屋として考えているなら、舗装されたテラスは家の中の居間と同じくらいの広さを必要とするだろう。最小のサイズは、4人がテーブルの回りに座るに十分な3.6×3.6mだろう。もっと広くとれるならそれにこしたことはない。 舗装された道の全体的な形も重要だ。これはしばしば庭に入る最初の場所になり、庭全体の作りのテーマのようなものを決定づけるからだ。 小道の表面がすべすべしたようなものだと、その上を歩く人の足は速くなる。一方色々な形をした丸石の小道を歩くと、見た目にも、また実際に歩いてみても、遅くなるものだ。しばしばパティオに使った材料を小道に使うのは、継続性という点からも適している。しかし、どんな材料を使うにせよ、道の両側に植えた植物が道の内側に伸びてきて、道の幅をある程度狭めてしまうことを考えて、小道の幅を十分広くとるようにすることだ。 あなたの最終的な選択が何であれ、パティオや小道に使う材料は、生涯そのまま使われることを忘れないように。これらは、あなたの庭の基本的な枠組みになり、もし変えようとすれば、時間やお金や不便さからいって、大変な困難と犠牲を伴うことになる。だから、計画をしっかりやるということが、何より重要なことなのだ。 |
この解説には参りましたね。パティオの最小のサイズは3.6×3.6mですと。私の家の狭い庭では、とてもこれだけの広さは確保できません。 実際の話、現在衛星放送第1で毎日放送されている「ガーデンU」を見ても、「この庭はずいぶん小さい庭ですが」などと解説しているところがありますが、それでも私の家の庭の倍くらいはあるような庭です。 ついこの間も、あるガーデン雑誌を見ていましたら、あちらでは「50坪以上の庭でも、クローズされた庭ならば、スモールガーデンと呼ぶようです」(HOME IDEA イギリスの小さな庭:P3)のだそうです。もともと日本とあちらでは、庭のスケールがまるで違うのですね。ですから、この解説に関しては、比較検討はしないことにしましょう。 舗装された道については、この前と後のコメントでも触れていますが、私もそれなりによく考えて、全体的な形や材料を決めたつもりです。ただ、「パティオと小道に同じ材料を使って継続性を実現する」という点に関しては、私の場合は、むしろ突然に開けるパティオという感じを強調したかったので、小道にはレンガ、パティオにはイタリアンタイルと、全く違った材料を使うことにしました。これはこれでとてもうまくデザインできたと思います。 「両側の植物が伸びてきても困らないように、道の幅を広くとること」というのは、本当ですね。私のところの小道も、脇に植えたネモフィラが、道の半分くらいにまで伸びてきてしまいました。もともとレンガ5個を横に並べただけの道ですので、残った道幅はレンガ3個分だけ。でも、元来狭い庭のことですので、これ以上の幅にするつもりはありません。来年またネモフィラを植えるとしたら、もう少し道から離して植えることにします。 最後のスティーブンス氏のコメントは、全くその通りですね。 |
■レンガ■ レンガを購入する前に、レンガの密度を必ずチェックすること。簡単にこれを調べるには、コインをできるだけ強く押しつけてねじってみることだ。これで傷がつかないようなら、そのレンガはかなり耐久性があるとみていいだろう。全てのレンガが道の舗装に適しているわけではない。堅いレンガだけが歩行や霜に耐えることができる。 (この後、スティーブンス氏はレンガの敷き方の技術的なことに触れているが、専門的になるのでここでは割愛させていただく。) レンガの並べ方には色々なパターンがあるが、それぞれ見た感じの違いがある。道なりに縦長に並べたパターンは、目線を先へ先へと進める効果がある。しかし、反対に道の方向に対して横向きにして並べると、目線をゆっくりとさせる。「ヘ」の字を上へ上へと重ねるように配置する杉綾模様は、複雑でややせわしいパターンだ。一方篭目折りのパターンはもっと動きの少ない感じがする。 |
スティーブンス氏がここで解説しているレンガの敷き方は、かなり専門的なことです。専門的であるということは、そのことに詳しくない素人が適当にやると、時とともにレンガの面がでこぼこになってきたり、端のレンガが外側にずれだしたりして、思わぬ結果になるということです。それが心配な人は、やはりその道の専門家に任せた方が、後で後悔しないでしょう。私もちょっと自信のない方ですので、レンガ敷きは業者に任せました。 といっても、ただ任せるのではなく、両側の土に馴染む色の自然な感じのレンガを、自分たちで探して業者にそれを使うように頼みました。また、カーブした小道をどんな形にしたいかは、自分で地面に線を引いて、その線に沿ってレンガを敷くように、あるいはレンガの置き方のパターンはこのようにして欲しいと、私のデザインのイメージをはっきり伝えました。 私たちの選んだレンガの置き方は、写真でご覧のように縦長に並べたパターンですが、このようなパターンを選んだのは、道の流れを感じさせる効果があること、カーブを形作るのが比較的容易にできることなどからです。 |
■砂利■ 砂利は融通の利く魅力的な、また比較的安価な舗装材料だ。この材料はパティオの地面に使っても、田舎の家の道路から玄関への幅の広い道にも使っても、とてもくつろいだ感じに見える。しかし、足下が滑ってうまく進めないようなことにならないためには、砂利を正しい方法で敷くことが大切だ。ということで、この後に砂利の敷き方を具体的に解説しているが、ここでは省略する。 砂利と植栽が隣り合うところでは、明確な砂利の縁取りをすることなく植栽が砂利の上に覆い被さるように敷く方法がある。植物は砂利を敷いた場所のところどころに、点在させるように植えることができるし、広い葉の植物であれば、小さな砂利を素晴らしくひき立ててくれる。 芝生に隣り合わせて砂利を敷くような場合は、芝生を砂利の表面より10cmは高く植えること。また、芝生の端のところでしっかりと固定しなければいけない。このようにすれば、芝刈り機で芝を刈るとき、芝刈り機の歯が石にぶつかってしまうということを避けることができる。 小さな子供のいる家庭では、子供が砂利の上で転べば、ひざを痛めるだろうし、面白がって砂利を芝生の上に撒き散らすだろう。親は面白くもない片付け仕事をしなければならなくなる。さらに、子供が砂利を口の中に入れるという心配もある。これは不衛生なだけでなく、とても危険ことにもなりかねない、と子供のいる家庭で砂利を使う場合の注意にも触れている。 |
私のところでは、現在のところ砂利を使ったのは、枯山水の池だけです(砂利というにはやや大きな丸石ですが)。その上を人が歩くということもありませんので、スティーブンス氏がこの項で解説しているような、手の込んだ砂利の敷き方は行っていません。 しかし、人がよく通る小道や何かに砂利を使う方は、「砂利をまけばいいんだろう」なんて甘く考えない方がいいようですよ。このスティーブンス氏の本だけでなく、日本語訳のあるジョン・ブルック氏の「ガーデンブック」(メイプルプレス社刊)や、ガーデン関係の雑誌等に特集されていることがありますので、それらを参考に砂利を敷かれることをお勧めします。 芝生に隣り合わせて砂利を敷く場合の解説など、何も知らないでやると、後で大変なことになるようですね。また、子供のいる家庭での問題点なども、意外と作ってみてから気がつくことかもしれません。スティーブンス氏の著書を読むことで、色々情報を集めてから取りかかることの大切さを教えられました。 |
■石■ ・自然石 自然石は一番高価で優れた舗装材料だ。これはいろいろなタイプや色、形、質感のものがあるが、素晴らしくデザインされたどんな庭にも、最高の雰囲気を出すことができる。 表面を飾る材料についてはどの材料にもいえることだが、これらの材料は庭の全体的なデザインにマッチするように使われなければならない。素敵な古い砂岩の舗装材は、ハイテクのスチールとガラスの建物の前に使われれば、場違いな感じになるだろうが、もっと伝統的なデザインの庭のテラスに使われれば、最高の雰囲気を出してくれる。 色々な形の矩形をした幅の広い厚さもさまざまな石板があるが、これらの石板はしっかり固められた地面の上に、ふるいにかけられた土や砂の平らな層の上に並べること。このようなタイプの舗装は、必ずしも石板同士の間にモルタルを注入し、はみ出したモルタルをへらで削るような処理をする必要はない。石のつなぎ目は開いたままにしておいて、丈の短い地面を這うような植物が生えてくるようにしておくとよい。 舗装のパターンは中心のキーになる石から始めるようにするとよい。そのときお互いの石板が互い違いの配置になるようにすること。小さなスペースを草花を植えるためのポケットになるように、空けたままにしておくとか、その場所だけレンガで埋めて、見た感じが単調にならないようにするのもいいだろう。 この後「スレート(石板)」「花崗岩」「大理石」の簡単な解説が続く。 |
自然石は確かに高価ですが、それだけ本物の持つ味わいがあります。スティーブンス氏は、庭全体のスタイルと自然石との調和について話されていますが、私のところでは、洋風ガーデンのテラスを、自然石の乱張りにしました。隣のサンルームのタイルやパティオのタイルと調和がとれた色であって、その上自然石としての存在感ある肌合いの石を求めて、随分さがしました。そんな観点から慎重に選んだ石ですので、結果には大変満足しています。 スティーブンス氏がここで示している自然石の敷き方は、私の場合のテラスのように、既にあったコンクリートの土台の上に敷く例ではなく、庭の地面の上に敷く例を説明しています。自然石の石板と石板の間に植物が生えるように、むしろラフに空けたままにするようにというのは、ナチュラルガーデンの伝統があるイギリスのガーデンデザイナーならではのアドバイスですね。 |
■木材■ 材木は庭のどんな計画にも理想的な材料だが、特にデッキやステップには役に立つ。木造の家に接して作られたウッドデッキは、家の内と外の緊密な関連性を作る。木は加工が簡単で、容易に色々な形に作ることができる。木は軽いしすぐに暖まるし、定期的に無公害の防腐剤を塗ることを除けば、それほど維持に手間はかからない。決してクレオソート(保存防腐剤)を使わないように。これを使えば植物は必ず死滅する。中にはすでに防腐剤を圧力処理した木材があるので、これを買えばさらに世話が少なくてすむ。 とはいうものの、木材は木だということをくれぐれもお忘れなく。もしこれらの木が、しっかりした森林管理がなされていないところから来たものなら、これを手に入れるあなたは、環境悪化に手を貸すことになる。だから、木材の供給先を調べて欲しいのだ。特に、あなたが熱帯雨林からの硬材になる種類の木の使用を考えているなら。 丈夫で重くて大きな枕木は、道に敷いたり、レイズドベッドに使ったり、土留めに使ったりするのに最高だ。しかし、中には油やタールが染み込んだのがあるが、これは熱い天気の時には厄介な問題を起こすから、購入する前によく調べて選ぶことだ。 枕木はがっしりした材料なので、しっかり踏み固められた基礎の上に、ちょっとふるいにかけた砂を敷きさえすれば、その上に敷くだけでいい。また、レンガのように、互い違いにずらして配置してみるのもいいだろう。 レイズドベッドは手っ取り早く作ることができる。レンガのようにおけばいいのだが、枕木は大変に重いものなので、左官工事のようなことをする必要もない。ただし、3本を越えるような高さの土留めやレイズドベッドを作る場合は、枕木に穴を空け鉄棒を垂直に打ち込み、その先はコンクリートの基礎に埋めるようにして安定させる必要がある。 庭の地面に高低差があるようなら、枕木はとてもいい階段になる。あなたはまっすぐに伸びる階段より、一つ一つをずらして配置し、両端に植物が覆い被さるような階段の方を好むかもしれない。階段はまた、木釘で斜面にしっかりと止められた丸太で作ることもできる。急な斜面では、丸太は狭い配置で設置すること。もっと緩い傾斜の場合は、踏み段の面にバークチップ(細かく切った木の皮)を敷くこともできる。 レイズドベッドや土留め壁は丸太を垂直に並べて、真っ直ぐにもカーブをつけてでも作ることもできる。ただ、丸太が地上60cm位の高さになるようだと、安定を保つために地中30cmの深さに埋める必要があるだろう。もちろん、その前に材料を毒性のない防腐剤に、しっかり浸けておくこと。 大きな丸太はおよそ15cmの厚さに切ることで、石の階段のように使うことができる。一風変わった使い方だが、パティオのようなものを作るのにも使えるだろう。これらの丸太が滑りやすいようなら、釘で金網を張り付ければ、ほとんど目につくことなくこの問題を解決できる。 |
私のところの木材を使ったプロジェクトは、庭への入り口のアーチと、サンルームに続くパーゴラです。このようなオブジェクトに限らず、スティーブンス氏も言っているように、木材は確かに容易に加工のできる格好の材料ですね。 ただ、スティーブンス氏の著書を読んでいると、頻繁に出てくる「non-toxic preservative(無毒の防腐剤)」という言葉が、妙に気になります。この言葉以外にも、この節では「a non-managed source」という言葉も出ています。non-managedは辞書に出ていないし、manageという単語も、この場合にそのまま使えるような訳語は出ていません。おそらく、「計画的な森林の伐採と、それに見合った植林がよく管理されていない場所」、すなわち「無計画に森林を伐採しているようなところ」というような意味だと思います。 このような記述は、文字通り「毒性のない防腐剤」ということですが、日本のガーデニングの雑誌や書籍では、ほとんどお目にかかったことがありません。スティーブンス氏の著書を読んでいると、自然の保全に対する意識や責任感を啓蒙する姿勢が、大変強く伝わってきます。これに対し、自然を愛する伝統を自負してきた日本のガーデン誌に、このような意識のもとに書かれた記述がほとんどないことは、とても残念に思います。日本のゴミ行政の姿勢と、この分野における先進ヨーロッパ諸国の対応の違いと同じようなものを、見る思いがします。 実は私達のガーデニングでも、このような防腐剤の選択に直面したことがあります。パーゴラの製作を依頼した大工さんが、「無公害の防腐剤が出ているが検討してみませんか。」とドイツから輸入されているオスモカラーのパンフレットを持ってきました。大工さんによると、ほとんどの防腐剤は毒性があるとのこと。普通の防腐剤より高価な品物でしたが、結局このオスモカラーを使うことにしました。 そういえば、こんなこともありました。レンガの池で使っている水中モーターは、コンクリート製の溜め枡に入れてありますが、厚いコンクリートの蓋が大変重いので、時々溜め枡の中を点検するのが大変なのです。たまたま別の溜め枡に使っていた木製の蓋がちょうど同じくらいのサイズだったので、それに替えて使うことにしました。この蓋に防腐剤を塗ることを建築士さんに相談したら、「こんな木の板を買うのは安いことなので、何も塗らない方がいいじゃないか。防腐剤はけっこう毒性があるから、腐った時点で新しく作った方がいいと思いますよ。」と言われました。 この建築士はイングリッシュガーデンにかなり関心がある人でしたが、自然の保全についても高い意識を持っていることを知って、とてもうれしく思ったものです。 さて、枕木はバックガーデンに使いました。これは庭を造るときに庭師の方が持っていた枕木を使いましたが、これらの枕木には油が塗られた跡はありませんでした。しかし、その他にも、枕木数本立てて、作りたてのハンギングを養生する間かけておくのに使ってみようと考えて、ガーデンセンターを見て回ったことがあります。残念ながら、ほとんどは黒い油が塗られていて、思い通りのものが見あたらず、今のところこの計画は実現していません。スティーブンス氏の言うとおり、枕木の選択には注意が必要です。 |