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右の写真は我が家の庭の入り口からの眺め。この庭はご覧のようにまず洋風ガーデンに始まり、そこから和風ガーデンにとつながります。

この庭造りでは、狭い庭をより広く感じさせるために、数々の工夫をしましたが、ここでは短い距離をより長く散策する気分が味わえるように、レンガの小道は柔らかいカーブ描くようにデザインしました。右からヤマボウシ、左からコハウチワカエデのシンボルツリーが、覆い被さるように枝を広げているこの小道を通り抜けてイタリアンタイルの広場に来ると、小さな庭ながら突然空が開けるように明るい広がりを感じさせる空間になります。


正面に見えるレンガ造りの水場は、外から庭の入り口に歩を近づけたときから眺めの中央に見えてきますので、庭に入るときのフォーカルポイントの働きをしています。そして、庭に一歩足を踏み入れる前から、この水場のあるスクウェアに、心ときめく期待感を抱かせるオブジェになっているように思います。

(今年の五月の新しい写真に変えました。右に赤く燃えるように咲いているのはヤマモミジ。その手前に、取っ手つきの壺を新たに置いてみました。)


下の4枚の写真は、レンガの小道の先にあるパーゴラのある小さな広場です。左の写真はパーゴラに座ってサンルームの方を撮った写真、右の写真はサンルームからパーゴラのある広場を撮った写真です。


サンルームとその先に続く広場のタイルは、黄土色がかった淡いピンク調のカラーで統一しました。これにより、外の広場がまるでサンルームからの延長のように感じることができます。また、淡い色合いのタイルを選んだことで、狭い広場を広く見せることができていると思います。その上、このサンルームは居間に隣接した部屋ですので、居間から見ると、居間に続く延長として広場を感じることもできます。

(居間の中からパーゴラのあるテラスを見た写真はこちら

サンルームからの延長ということでは、この広場のタイルは水で洗うととてもきれいなタイルですので、サンルームと外の広場を出入りするのは、まるで家の部屋から部屋に移るような感覚で、つい裸足のままで歩きたくなってしまいます。(実際、夏の暑い日にはそうしてしまうのですが)


現在パーゴラが置かれているところには、以前はたくさんの木が植えられていて、その分この場所の空間が狭くなっていました。そこで、それらの木は全て取り去り、パーゴラを塀際にまでもっていくことで、奥行きを確保することにしました。また、このパーゴラは、背中に透けて見える広告の看板の目隠しの役目もしています。

(パーゴラとテーブルは私がデザインをし、大工さんに作ってもらいました)


サンルーム脇の池を上から見たところ。


赤茶色のレンガの池は、パーゴラのベンチに座って見たときのフォーカルポイントになっています。淡い色調のタイルの広場の中にあって、重みのある赤茶色のこの池と壁栓は、アクセントが利いていてとてもゴージャスな存在感があります。

池の左端に取り付けられた山羊のような顔をした空想の動物の顔からは、絶えず心地よい水の流れ落ちる音が聞かれます。実はこの陶器の塑像は、とあるタイル屋さんからいただいたものです。よく洋風の庭には、ライオンの顔や小悪魔の顔のような仮面の口から、水を落とすのがありますね。あれ、どうしても好きになれないのです。そこで、サンルームを改造したときにタイルを貼っていただいたタイル屋さんに、何かいいものはないかとパンフレットでもいただこうかと思ってお寄りしました。しかし、あいにく私たちの気に入るようなものはありませんでした。

そんなふうに困っていたところ、社長さんが奥の棚からホコリにまみれた陶製のマスクをもってこられ、「こんなもので間に合うようだったらもってらっしゃい。」と言ってくださっていただいたのが、この動物の顔の陶器です。

洋風ガーデンが終わるイタリアンタイルのテラスから、和風ガーデンへの小道が始まります。細い小道が、かえってその先に何があるのだろうという期待感を高めます。


この小道は、自然の山道を歩いていく感じになるように、先に行くほどやや上りになるように土を入れてもらいました。(といっても限界がありますから、ほんのわずかしかできませんでしたが) また、枝をかき分けて歩くような感じに木々を配したり、あるいは垂れ下がる杖をくぐりながら歩いていくように、ベニバナマンサクの木の枝が踏み石の道に覆い被さるように植えていただきました。このようにして、木々の枝に触れながら、あるいは覆い被さるように伸びる枝に、頭を当てないように注意しながら歩いていくことで、短い和風ガーデンの道のりが、少しでも長く感じ楽しむことができるようにアレンジしました。

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