KRからマルヤマさん@東北大学へのお返事(2000/9/27)

Date: Tue, 26 Sep 2000 09:59:36 +0900
To: fpr@nuis.ac.jp
From: kazmori@gipwc.shinshu-u.ac.jp (守 一雄)
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守@KR発行責任者です。

At 5:36 PM 00.9.25, MARUYAMA Takuro wrote:
> KRの最新号(4号)に
> >たとえば、小学校2・4・6年と学年が上がるにしたがって
> >「性役割についての柔軟性」が高まるという研究結果は「かなりあやしい」と思
>われる
> >。
> >(1)有意な差とはいえ、その差はわずかであること
>
> という記述がありました。
> 「有意差があるとはいえ、その差はわずか」という部分についてなんですが、
> 有意差を検定したとき、標本の平均値の差は母集団における平均値の差と
> 一致(もしくは近似)するのでしょうか。
>
 まだ詳しい計算をしたわけではありませんが、
たとえば「職業の柔軟性」得点の差の有意性についていえば、
(1)被験者数が542人
(2)6項目のうち「両方」と答えた項目数/6の平均値がほぼ0.25くらい
(3)SDが明記してないが、上記の平均値と6項目を見ると、
おそらくほとんどの子どもが1点か2点だったと考えられるので、
SDは0.08程度でしょう。
これらを基に検定力を考えると0.01〜0.02くらいの差でも検出できそうです。
これをまた素点に戻すと、
130人から220人の群で、10〜20人程度が余計に「両方」と答えた程度です。
 この程度のわずかな差を検出して
「職業に対する柔軟性が高まる」と結論するのは言い過ぎだと思うのです。
 6項目しかないのですから、
項目ごとに「どの項目が男女どちらでもいいと考えられるようになるのか」
を調べる方が現実がよくわかっていいと思います。

 後半の部分の質問は有意差検定を誤解しているのだと思います。
 「標本の差」と「母集団における差」とは何の関係もありません。
有意差検定は、
「同じ母集団から取ったと仮定したとき、
標本にこれだけの差が出てきてしまう確率はどれくらいか」
を調べているだけです。
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