Markus & Kitayama(1991)に基づく「相互独立的−協調的自己観尺度(高田・大本・清家、1996)」の小中学生版を作り、信頼性と妥当性を確認した[研究I]。次に、小学校高学年から老人までの7世代グループ計11,382人に、この尺度を実施し、横断的に相互独立的−協調的自己観の発達的変化を検討した[研究II]。さらに、オーストラリアとカナダの大学生の西欧的背景を持つ者とアジア的背景を持つ者、および日本人大学生、計1,250人を被験者に比較文化的調査を行った[研究III]。その結果、研究IIから、日本人の中学生から大学生までの青年期には相互独立的自己観が低く、相互協調的自己観が高いことが明らかにされた。また、研究IIIから、日本人青年はオーストラリアやカナダの青年に比べても、相互協調的自己観が強いことがわかった。なんとも大規模な研究であるが、こうした研究の基となったMarkus & Kitayama(1991)論文の影響力にも改めて感心する。