とりあえず議論の対象となるようなご指摘はありませんでしたので、経済学領域の 認識を調べた一連の研究から感じたことをお知らせしたいと思います。

　まず第１に大学生の経済認識は著しく低いということです。たとえば、他の研究で 「商品にはメーカーが定めた小売価格がある」、「小売価格を大きく上下させた小売 店に対してメーカーが圧力をかけるのは合法的な措置である」、「ある客層に対して 商品の価格が割り引かれるのは、企業の福利的な観点からの好意による」などです。 これらは社会科学領域における素朴概念と言いうるものです。

　第２に今回の論文から、ルールを教授しただけではそれを他の現象に適用するのは 困難だということを改めて実感しました。

　経済学領域にとどまらず、他の社会科学領域でも素朴概念はたくさんありそうです し、それを修正する教授方略を明らかにすることも必要です。だから、教授−学習心 理学領域ですべきことはまだまだたくさんあるなあという感じです。

なお、ＫＲの読者も多いのでこの場を借りて、引用文献の修正をさせていただいて もいいでしょうか(編集部には報告済みです)。田丸敏高著の「子どもの発達と社会認 識」の出版社が間違っていました。正しくは、法政出版(京都)です。

　ついでに「首都圏」のことですが、行政的には山梨は首都圏にはいるのです。 長野県は首都圏ではないことに誇りをもっておられると思っていましたので、 守さんのコメントが意外でした。冗談でお書きになったのでしょうが・・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山梨大学　進藤聡彦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　千葉大学　麻柄啓一

***************************
　山梨大学教育人間科学部
　　　進藤聡彦
shindo@edu.yamanashi.ac.jp
Tel & Fax 055-220-8244
***************************