STD(性感染症)

若い女性にSTD(性感染症)が増えています

 性感染症とは性行為によってうつる感染症のことで、英語の名称はsexually transmitted diseaseでSTDと略されて呼ばれています。以前に日本では、性病または花柳病と言われていました。若者の性行動が低年齢化し、10代の性体験率も上昇しています。その傾向は男子よりも女子に顕著で、ここ10年で女子中・高生の性体験率は2倍以上に増加しているのが現状で、同時に若者のSTDが問題となってきました。

【STDはこんなに恐ろしい】
 STDの種類にもよりますが、エイズのように生命を脅かすものから、パピローマウイルスのように子宮頚ガンの原因となるもの、クラミジアのように、将来不妊症の原因となるもの、性器ヘルペスやサイトメガロウイルス感染症のように、妊娠しても赤ちゃんに危険を及ぼすものまで多岐にわたります。でも、一番大切なのは、すべて予防可能であるという事です。


【STDの種類】
病原体病   気
寄生虫ケジラミ、疥せん(かいせん)
原虫トリコモナス症
細菌梅毒、淋病、軟性下疳、鼠径(ソケイ)肉芽腫
クラミジア尿道炎、前立腺炎、子宮頚管炎、卵管炎、腹膜炎、肝周囲炎
マイコプラスマ膣炎、尿道炎
ウイルスエイズ、性器ヘルペス、B型肝炎、サイトメガロウイルス感染症、伝染性単核球症、性器伝染性軟属腫、尖圭コンジローマ(ヒトパピローマウイルス感染症)



【若い女性のクラミジア感染症が増えている】
 平成15年12月に日本性感染症学会が長野市で開かれました。そこで問題となったのは、最近若い女性に急増しているクラミジア感染症のことでした。

表1


*クラミジア感染症に気付かないことも
 クラミジアトラコマティスという、小さな病原体によるSTDです。世界中で最も多い性感染症で、日本でも(表1)のように毎年増加しており、特に10〜20代の女性の感染の増加が問題となっています。日本では現在妊婦の約3〜4%に感染が認められているので、妊婦検診時にクラミジア検査を行う産科施設が増えています。

[症状]
子宮頚管炎
帯下(おりもの)、異常出血、下腹部痛などがありますが、症状が軽くて気が付かないこともあります。
子宮内膜炎、卵管炎
下腹部痛
腹膜炎、肝周囲炎
激しい腹痛
   
 
不妊症や子宮外妊娠の原因となる
 
妊娠中に感染していると、分娩時に赤ちゃんに感染
 
新生児肺炎、結膜炎
 


[検査と治療]
 優れた診断法が開発されているので、産婦人科や泌尿器科で容易に検査を受けることができます。また、治療は有効な抗菌剤がたくさんあるため、早く治療をすれば完全に治すことが可能です。心配する前にきちんと検査を受けましょう。


【ピルではSTDの予防効果なし】
 若い女性の間で、「ピルを服用すればSTDの予防になる」との誤った考えが広がっているようですが、これは全くの誤解です。ピルはあくまで、卵巣からの排卵を抑制して避妊を目的とするものですが、菌やウイルスの侵入を防ぐ働きはほとんど期待できません。
 避妊のためにピルを使用している場合でも、STD予防のためには同時にコンドームを使用することが必要です。


【このような時はSTDの可能性があります!】

*でも無症状の場合もあります。