ピティナ・ピアノコンペティションとは?


 全日本ピアノ指導者協会が開催する「ピティナ・ピアノコンペティション」は、1997年に第1回のコンペティション開催して以来、今年で第21回目を迎えました。参加者も現在では年間延べ20,000人を越える、世界で最も多くの人が参加しているコンクールです。「日本全国の地域格差をなくそう」を目標の一つに始まったコンクールは、予選が北は北海道から南は沖縄まで全国約140カ所で開かれています。その結果、今では中央・地方の格差もほとんどなくなりました。

 このコンクールでは、多くのコンクールが採用している年齢別の枠組みではなく、グレード別になっている「ソロ部門」と、年齢制限のない「デュオ部門」、年齢の上限がない「シニア部門」があるのが特徴になっています。参加者全員には、審査員直筆の講評入り採点票が希望者に交付されます。また、優秀な参加者を出した指導者には、指導者賞が授与されます。

 詳しくは全日本ピアノ指導者協会か、同協会のホームページ(Piano Homepage)にアクセスしてください。

 なお、以下に私自身の目を通して見た「ピティナ・ピアノコンペティション」の意義や効果まとめてみましたので、参考にしていただきたいと思います。

夏目先生の目を通してみた

ピティナ・ピアノコンペティション


ピティナ・ピアノコンペティションは     
生徒の実力を飛躍的に伸ばす
ピティナ・ピアノコンペティションは
あなたの教室を活性化する


 スポーツでは、自分より強いチームと試合をすることで、非常に多くのことを学びます。これは自分たちだけの練習をどれだけたくさんやっても、決して学ぶことのできない大変に貴重なものです。スポーツのチームはこのような体験を通して、一層強いチームに成長していくのです。
 音楽とスポーツを同列に扱うことには問題がありますが、ピアノの場合もこれと同じことがいえませんか。自分だけの世界で指導していては、やはりマンネリに陥ってしまいがちですし、生徒たちもこれといった刺激のないまま、なんとなくレッスンに通うといったことになりやすいものです。
 そこで、皆さんの生徒さんを、ピティナのコンペティション(コンクールと同義)に出してみたらどうでしょう。コンペティションでは、ほかの先生が教えられた同じ曲の違った演奏を、たくさん聴くことができます。これは先生にとっても生徒さんにとっても大変勉強になるだけではなく、これ以外では得られない強烈な刺激を得ることができます。そしてスポーツの選手がそうであったように、これが生徒の皆さんの強力なスプリングボードになるのです。

生徒のレベルにあった課題曲
 勿論コンペティションに出しさえすれば、なんでもよいという訳ではありません。例えばあまりに強過ぎるチームと対戦してみても、ショックと挫折感だけが残るだけでしょう。ピアノのコンペティションにしても同じことがいえます。課題曲があまりに難し過ぎるようでは、生徒は討ち死にするために、コンペティションに立ち向かうようなものです。
 ピティナの課題曲と他のコンクールの課題曲を比べてみて下さい。ピティナ以外の多くのコンクールの課題曲が、一般の生徒の能力からは極端にかけ離れていることに、気が付かれると思います。これでは多くの生徒は曲を弾くことすらおぼつきませんから、とても曲の感情の表現どころではありません。曲の心を表現する感動を得られないとしたら、参加する子どもたちにとって、このコンクールはどんな意味があるのでしょうか。音楽を勉強するにあたって、このことは何よりも第一に避けなければならないことです。
 ピティナ・ピアノコンペティションの課題曲は、C級レベルまでは一生懸命努力すれば、大抵のお子さんが到達できる程度の曲から、慎重に選んであります。それだけに審査の基準は「いかに音楽的に弾かれているか。どれだけ曲の心を自分のものとしているか」といったところにあります。
バラエティに富んだ課題曲
 課題曲の大半が練習曲といったコンクールもあるようですが、そんな砂を噛むような音楽の勉強の仕方に、私は疑問を感じます。これとは対照的にピティナの課題曲は、この上なく多彩です。それというのもピティナでは、音楽を勉強する上でもっとも大切なことは、指の機械的運動能力を高めることに専心することではなく、『音楽的ファンタジーを豊かに膨らませてあげる』ことだと考えているからです。
レベルが細分化されている
 一般にコンクールはレベルが大まかに区分されているために、生徒によっては大変な無理をして参加するといったこともよく見かけます(近年、ピティナに影響されていくぶん改善されていているようですが)。しかしピティナの場合は、大変細かくクラス分けされていますので、生徒の年令と実力に合った級を選ぶことができます。また一つ一つの級を上っていくことを目標にすれば、日頃の勉強の大きな励みにもなることでしょう。

毎年変わる審査員
 コンクールによっては、何年間も同じ審査員によって審査されるコンクールがあるようです。このようなシステムですと、これらの審査員の好みにあった子どもはよい成績を取れますが、そうでない子は何年経っても評価されないことになってしまいます。これでは審査の公平を期待することは、とてもできません。ピティナでは、毎年違った審査員によって審査されますので、このような偏った審査結果は決しておきません。

《検定》も受けることができる
 コンペティションで他の生徒と競うことまではどうもとお考えでしたら、《検定》を受けさせてみるのはどうでしょう。ピティナ・ピアノコンペティションでは、平行して《検定》も行なっていますし、時期を改めて《検定》のみを行う場合もあります。バロック期、クラシック期、ロマン期、近現代の4つのジャンルには、それぞれ数曲の課題曲が出ていますが、ある程度の難易度をつけてありますので、比較的やさしい曲の方を選ぶこともできます。

前途有望な若手ピアニストの誕生
 比較的受けやすいレベルのコンクールだから、一流の演奏家はこのコンクールからは生まれないとお考えになる方もいるかも知れません。しかし、実際は『エリザベート王妃国際コンクール・ピアノ部門』で、日本人として初めて堂々第2位に輝いた若林顕さん初め、前途有望な若手ピアニストがぞくぞく誕生しているのです。それというのも、ピティナのコンペティションは音楽でもっとも大切な豊かな音楽的ファンタジーと、それを音にすることのできる表現能力を基本にしているからだと思います。

皆さんの声を反映できるピティナ
 他の多くのコンクールが、地域のピアノの先生からまったく隔絶されたところで運営されているのに対して、ピティナの場合は会員の声が反映されるような組織になっています。このところが《ピアノ指導者協会》といわれるゆえんでもありましょう。多くの方が会員になられて、より皆様に身近なコンクール(検定)となるよう育てていきたいものです。


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