レスナーの感想


なんといってもメロディーが自然

……(省略)……勿論先生から購入した「オリジナル版」の方も使わせていただいております。確かに私の生徒にとっても大変扱いやすい教材のようです。なんといってもメロディーが自然に子供の心をとらえてくれるようで私も驚いております。やはり音階というのはすべてのメロディーの原型となるものなのでしょうね。しかも曲の中で生き生きと動いているのが子供たちにも実感できるようです。とは言ってもまだ実際には2冊しか使っていないわけですから(1冊は自分自身の研究用にまわしましたので)これから市販版を使って更に様子を見ていきたいと考えております。……(省略)……
(福島県郡山市:山崎先生)

山崎先生とはネット上で知り合いましたが、鉄道がご趣味の山崎先生が旅の途中で長野の私のところへ立ち寄った際に、オリジナル版の「音階の曲集」と「かせんがよめる」をお求めになられ、ご自身の生徒の指導にお使いになっておられます。上記のコメントは山崎先生からいただいたEメールの一部ですが、ご本人の了承を得て掲載させていただきました。
(夏目記)



5曲も弾いてきた

【第一信】
(省略)……8月ころ先生のHPを拝見して今月、コンクールが終わるのを待って、「音階の曲集」をお稽古を始めて2年目の女の子に与えてみました。小さな簡単なコンクールで賞を頂いたあとということもあり、張り切って5曲を一週間足らずの間に練習してきたので、こちらのほうが驚きでした。私は現在27歳で、教室を始めて3年目のまだまだひよこ教師ですが、バイエルで導入することにとても抵抗がありいろいろ教材をあたっていました。……(省略)……この生徒さんはまだ年長さんですが、希望でハノンを指の練習に使用したところ、手首を振って硬い音で単調に弾くので、やらないほうがいいような気持ちでおりました。
今後も先生の研究を参考にさせていただき、生徒さんと一緒に頑張っていこうと思っております。質問させていただくこともあるかと存じますが、どうぞ宜しく御願い致します。まずは、喜びの声まで・・・。

【第2信】
(省略)……私は、在学中「インベンションの校訂者による版の違い」をテーマにいろいろな楽譜を比較し、子供が使いやすくかつ、正しい楽譜を研究しましたが、「音階の曲集」は単なる音階の羅列だけでなく、楽しいメロディーのあるすばらしい曲集であると信じています。実際子供も楽しんでたくさんの曲に挑戦して来てくれました。次はこの曲集を、ピアノは好きなんだけど、練習が苦痛で・・・という子に使ってみようと思います。5曲もやってきた子とは対照的なのでまたメールします。「音階の曲集」はうちの教室では、必修教材にしようと思いっています。……(省略)
(山口県下松市:中田先生)

一回に5曲も見てきたとは、年長の生徒さんだということを考えると、よほど熱心な子どもさんではないかと思います。それにしても、このようにして一度にたくさんの曲を見てきたことを、先生が驚きとともに大変喜ばれている様子は、作者の私にはとてもうれしく思います。というのも、「音階の曲集」は正にこのような効果を願って作ったものだからです。

もちろん、生徒の力の差によって、読んでこれる曲の数に違いがあるのは当然です。しかし、指導の方法さえ正しければ、どの子どもそれまで以上にたくさんの曲を読んでこれるように、育てていくことができると思います。今度は、練習が苦痛の子どもにも使ってみようということですが、もともとがそのような性格の子どもであれば、突然に効果を期待するのは無理かもしれません。しかし、私が自分のレッスンのモットーとしている《レッスンの中で上手にしてしまおう》という姿勢で臨んでください。そうすれば、だんだん自信を持って、そのうちにひくことが楽しくなってくるかもしれませんよ。
(夏目記)



口ずさんで帰った生徒

私の教室では小学1年生から大人の方まで、幅広い年齢層の皆さんが「音階の曲集」を勉強していますが、初めてこのテキストを渡した時の様子は、「げっ、むずそう」とか「おんぷがいっぱいありすぎる」など、少し拒否反応を示す事が多いです。しかし、曲集の中の曲を弾いてあげ、音階の説明をし、「今の曲、どこに音階が出てきたかな?ちょっと弾いてみようか」と練習をしているうちに、興味を持ってくれます。「この調の次には♯が1つ、次は2つあるね。それから次は3つ、4つって増えていくねえ。♯の後には♭が出てくるね。これは何調になるんだろうねえ」などと話しをしていると、生徒の目がキラキラしてくるのがわかります。

最初の曲「みちくさ」は、どこかで聞いた事がある感じがすると言って、テキストを渡したその日の帰りに、口ずさんでいる生徒もいました。レッスン後、生徒が曲を口ずさんでいるのを聞くと、こちらも嬉しくなりますね。このテキストを終えた生徒はまだいませんが、今までに楽しく練習してくれた曲は、「みちくさ」「ハイキング」「おつかい」「口げんか」「おしゃれなワルツ」「メリーゴーランド」「朝の体そう」などです。

生徒にとって複雑なメロディーではないので、曲の全体像をすぐにつかんでくれます。そして、ピアノ学習でとても重要な音階をきちんと学べる点が、私は大変気に入ってます。譜を読むのが苦手な生徒でも、そんなに苦労せず弾けていけるので、練習嫌いにならずに頑張っていけるのも、うれしいことです。

後ろに載っているペダリングのページは、初級の生徒にとって憧れのペダルなので、早くここをやりたいと意欲を持ってくれています。この解説や練習法は生徒さんに大変わかりやすいだけでなく、教える側からもとても教えやすく、重宝しています。他のテキストにはここまできちんと整理されたものがなく、前までは説明にも苦労していました。しかしこのテキストのお陰で、今は何も苦労せずペダリングの指導が出来るので、うれしく思っています。
(長野県伊那市:今須先生)

「げっ、むずかしそう」とか言っておきながら、勉強を始めてみると《譜を読むのが苦手な生徒でも、そんなに苦労せず弾けていけるので、練習嫌いにならずに頑張っていける》ということなのですね。確かに市販のテキストは、楽しいイラスト満載で、見た目だけでも子どもの興味をひくことができるでしょう。しかし、いざ勉強してみると、段階的学習がよくできなかったり、学んだ知識がしっかりと蓄積されて、次のステップへの土台になるように出来ていないことが、多々あります。

音楽は音楽ですから、曲をひくことが楽しいということが分かれば、イラストなんかなくてもいいのですね。それより、あまり苦労すること譜読みができて、楽しくひきながら、学んだことがしっかりした基礎として蓄積されること。そのことがもっとも大切なことだと思います。レッスンが添わったあと、今習ったばかりの曲を口ずさんで帰っていった生徒がいたとのこと。このテキストを作るにあたって、最も大切にしたことは、自然な流れのある歌に満ちた曲であることでした。その心が子どもに伝わったとしたらうれしいですね。

ペダル指導に関しては、多くの先生は適切なテキストがないままに、思いつきのように教えているのではないでしょうか。そんなことから、順序だったペダルの指導のページを書きました。効果を発揮しているようで、うれしく思いました。
(夏目記)



次の曲までひいてきた

私はヒオキ楽器主催の先生の講座で「音階の曲集」を知って以来、自分の生徒にこのテキストを使い始めました。その結果、それまでとても指導に困っていた生徒も、順調に進み始めたのを見て、このテキストの素晴らしさを知りました。以下は、私の生徒がどんな効果をあげてきたかの一例です。

以前は、バイエルが終わってツェルニー100番とブルグミュラーに入ると、多くの生徒は急に難しくなって足踏みを始めてしまいました。また、何とかこの段階を抜けた生徒も、しっかりした力をつけないままツェルニー30番やソナチネに進んでしまい、この段階でどう指導したらいいのか、大変困りました。

基礎をよく理解できていなまま先に進んでしまったからと考え、試しに「音階の曲集」を与えてみました。巻末の音階基本パターンを勉強しながら、各曲をていねいに勉強させました。「音階の曲集」を勉強することが、レベルダウンさせられたといった気持ちにならなかったことは、救いでした。それどころか、一つの曲がひけると、そこで勉強したことがすぐ次の曲に生かされて苦労なくひけるので、自信をつけたと同時に、調もしっかり理解し始めました。お蔭様で、今度はていねいに確実に、もと来た道へ戻り始めています。

もう一つとてもうれしい効果は、それまで宿題を上げても、それすらあまりよく勉強してこなかった子どもが、宿題の次の曲まで、自分から進んで片手だけ見てきたり、中には両手で見てきたりする子どもたちが、とても多くなったことです。これは指導する私にもとてもうれしい変化でした。

最近は、先生自身が編成された「音階の曲集」とバイエルを組み合わせた教程案のあることを知り、それを使って指導しています。生徒の「音階の曲集」の表紙の裏にそのコピーを貼って、チェックしながら使っていますので、順序がいろいろ前後しても、迷うことなく次の学習曲が分かり、とても便利に使わせていただいています。

最近小学校1年生にも使ってみましたが、素直に理解できましたので、これからは小さい子どもたちにも、自信を持って使っていきたいと思っています。
(長野県須坂市:荒井先生)

基礎の部分を確実に勉強できるテキストは、意外と少ないのが現実です。「音階の曲集」でその不足した部分を、しっかり補うことができたとの報告を、とてもうれしく読ませていただきました。

また、宿題にはなっていない次の曲まで見てくる生徒が増えたとのこと。「音階の曲集」は同じような書法で書かれているので、次の曲をそれほど苦労なく読むことができます。その上それぞれの曲が違った曲想を持っているので、次々ひいても飽きることなく練習することができると思います。そんなふうに一度に多くの曲をひくことができるようになって、ピアノの学習に自信をもてるようになること。それもこのテキストのねらいの一つです。
(夏目記)



「音階の曲集」を使って効果が上がった

バイエルを使っていた頃は、何とか練習量でこなしてきても、次の段階でいきなりフラットやシャープが増え始めると、とたんにつまずく生徒が多かった。バイエルでの新しい調の学習の仕方は、各調の基本的なレベルを押えた曲が少ないところに、いきなり応用のポジションの曲が用意されている。しかも、それぞれの調に用意されている練習曲の数が少ないのが、問題だと思う。しかし、「音階の曲集」を使い始めてからは、このテキストはちょうどピラミッドの底辺の個所をきちんと押えた曲がたくさん用意されているので、基礎をしっかり身につけてから確実に次に進むことができるので、教えていてとても安心できる。
 
入りにくい短調の曲も、旋律短音階や和声短音階が基本の形のまま曲の中に生かされていることで、その調の構成音が明瞭になり、教えやすい。
 
基本的な主要三和音を中心に書かれているので、伴奏の基本形を習得しやすく、新しい曲を与えてもそれほど苦労することなく譜読みをしてくる。このように基本的な学習を踏まえていながらも曲想がいろいろなので、生徒は飽きることなく新しい曲に挑戦できている。
 
巻末に用意された音階の基本パターンが、シンプルな1オクターブと2オクターブの音階であることと、最初に習得すべき基本的な調のみでまとめられているので、とても使いやすい。これを使って勉強するようになってから、どの生徒も音階と調性が結びつくようになった。また、自分から「この曲は何調だね。」という生徒も出てきた。
 
また、基礎的なことの反復学習が徹底してなされているものの、さまざまな曲想の曲が用意されていることで、柔らかな腕の使い方、鋭いスタッカート、レガートの同音反復など、初歩の段階からいろいろな表現のためのひき方を勉強できている。
 
上記のような「音階の曲集」の特徴から、実際、大人の生徒さんからも「これまではシャープやフラットがある調の曲をひくときは、難しいという固定観念があったが、「音階の曲集」を使って基本を押えながら勉強すれば、確実にひけるようになるので、とてもうれしい。」ということを言われた。この生徒さんは、これまで1曲をもってくるのがやっとだったのだが、「音階の曲集」を使ってからは、一度に3曲も持ってくるようになっただけでなく、初めから曲想に合わせて腕の動きをつけてくるようになったのには驚いた。
(長野県長野市:武井先生)

メールにはバイエル中心のことが書いてありますが、先生が勤める楽器メーカー系列の音楽教室では、現在は本部で新たに編集したシステムテキストに移行中とのことで、私もこのテキストを見せていただく機会がありました。子どもの喜びそうな曲がたくさん用意されているのはいいのですが、譜読みやテクニックの観点から見ると、相変わらず体系的な合理性に欠けています。既成の曲はそんな体系的な利用を想定して作られたものではありません。それを体系的に並べようとしても、もともと無理があるのですね。このテキストでも、子どもたちがいろいろなところでつまずいてしまうのは、目に見えていると思いました。この先生もまったく同じ悩みを抱えているとのことで、システムテキストを使っている子どもも、サブテキストとして「音階の曲集」を活用しているとのことでした。
(夏目記)



ホームページ][テキスト研究][音階の曲集][エッセイ集][コース案内