松本流通センター協同組合

はじめに

近年、甚大な被害をもたらす集中豪雨が国内各地で相次いでおり、河川の氾濫や土砂災害が家屋への浸水や倒壊を招き、人的被害は後をたちません。2019年の台風19号は、東日本の広い範囲で河川の堤防決壊や浸水をもたらしました。 松本流通団地の周辺には、西側を流れる奈良井川と東へ約1.5kmに田川が位置し、台風などによる大量の雨が降った場合、河川の氾濫による建物への浸水が想定されます。 また、松本市周辺には地震の危険度が高いとされる牛伏寺断層を含む「糸魚川―静岡構造線」があります。この構造線における地震の発生は1000年間隔で繰り返し発生しており、前回の地震発生から1000年以上経っても未だ発生しておらず、いつ発生してもおかしくない状況にあります。この地震の想定規模はマグニチュード8.5(震度7)とされ、松本市周辺でかなり深刻な被害が予想されています。 このように松本流通団地周辺では水害と大規模地震の発生が危惧されます。災害発生を抑えることは難しいことですが、日頃の備えを進めることにより、被害を減らすことは可能であると考えます。 そこで個々の企業では対処しきれない課題や共通となる防災上の課題が多くあることから、組合が中心となって課題解決に向けて取り組みました。 将来の発生が懸念される大規模自然災害として地震及び洪水を想定し、災害リスク調査を行うことにより、松本流通団地のハザードマップ及び災害マニュアルの作成を行いました。 各社の防災対策や防災意識の高揚のため、役立てていただければ幸いです。

浸水災害に備える

奈良井川と田川の中間にある流通団地は、国土地理院「治水地形分類図」によると、過去に川が流れた跡(旧河道)が団地内を通過していることが確認されました。
浸水想定区域が示されている河川の状況及び区域の範囲と、対象地区となる松本流通団地の立地とを考慮の上、地図の縮尺やレイアウトを検討するとともに、洪水の広がり方を時系列に確認するための図も併載しました。
避難行動について検討するためのタイムラインや防災のための予備知識、その他記載すべき情報について、昨今の災害状況を踏まえた上で整理・検討し長野県が公表している浸水想定区域(想定し得る最大規模の降雨を対象)を基に洪水ハザードマップを作成しました。

■現在の奈良井川タイムプラス画像(サスナカ通信工業㈱屋上)

風水害の場合、予警報の段階で避難行動や防水対策等を行う必要があります。
もし、浸水までに避難が間に合わなかった時には、速やかにできるだけ高いところに逃げましょう。 また、水圧でドアが開かなくなることもあります。 事前の対応がポイントです。 浸水までに避難が間に合わなかった時には、速やかにできるだけ高いところに逃げましょう!


地震災害に備える

2011年に発生した長野県北部地震では、県北部地区において大きな被害が発生しました。
松本盆地東縁断層と牛伏寺断層の間に位置する松本市の市街地では、地表での断層位置は不明瞭ながら、西側低下の撓曲崖状の緩やかな高度不連続をもとに南北走向の断層が推定されています。
震度や液状化危険度を予測するにあたり、県が実施した長野県地震被害想定調査や国の地震調査研究推進本部が公表する活断層の長期評価などを収集した各種資料やデータを十分整理・検討した上で、糸魚川‐静岡構造線断層帯の地震(全体)及び南海トラフ巨大地震(陸側ケース)を想定する地震として地震ハザードマップを作成しました。