Reader's Opinion#6

『チビクロさんぽ通信』についてのお手紙１５通

1.●女性・３７歳: 　「チビクロさんぽ」公開文書まで丁寧に送ってくださりありがとうございました。世の中には，こんなに神経質に，わめき立てる人もいるのかと驚きました。くわしく読むと，頭が痛くなりそうです。私は「チビクロさんぼ」でも何も問題ないと思っているくらいですから，こういう人がいる中で，あえて絶版にせず，新しい形に変えられた貴社の勇気に感動しました。図書目録もありがたく拝見しました。世の中，「売れれば何でもいい」という本・雑誌が多い中，誠実さを感じます。これからも良書をたくさん出して下さい。私は主婦なので，もうちょっと安い文庫なら買いたいです。でも，読みたい本が見つかれば図書館ででも探します。どうもありがとうございました。目録，大切にします。
2.●女性・３０歳: 　チビクロさんぽ通信ありがとうございます。いろいろな意見があるので，ビックリ致しました。私は，自分も含め，子供が聞いて喜んでいる本ならば，どんな本でも良いと思いますが，“チビクロさんぽ”を読んで黒人差別だと感じませんでしたし，子供の頃読んだ“ちびくろサンボ”も同じでした。ただ思ったのは，子供の時父に何回も読んでもらった事が思い出されて私の娘も夫に何回も読んでもらっている姿がとても可愛く，家族全員が知っている本があるなんて，とても嬉しかったです。子供だけが読む本じゃないとは思いますが子どもたちは黒人差別なんて知らないだろうし…。私はそう思いますが，やっぱり問題なのでしょうか“チビクロサンボ（ポ）？！”この本や昔の本を見て，黒人差別が生まれてくるのでしょうか？！今，私は，（昔読んだ者として）差別なんかしたことないですけどねえ…。少し，不思議です。
3.●女性・３２歳: 　沢山の方々の意見を興味深く読みました。私などは安易になつかしい。‘読みたい’ だけで購入……けれども“ちびくろサンボ”に対して黒人差別についての会が沢山あり結構難しいぞ!!と思いました。　ただの興味深さだけでは大人になった今はいけないのかしら……と考えさせられました。こういったカードを送っても後で資料をいただいたのは初めてで，おどろいています。　“チビクロさんぽ”何度も読みました。読売新聞の“顔”という欄も見ました。　子供達には，楽しいだけでいいのかもしれないんですね。考える時が来たらそれはそれぞれがまた考えていけばいいのだろうし……。（様々な差別について）良い機会なので私は少し考えてみたいと思います。
4.●女性・: 　二度にわたり丁重なチビクロさんぽ通信を送っていただきありがとうございました。ＴＶや新聞で紹介されたことも知らずに，またこれほど反響がある中で出版されたとは ‥‥。今になって驚いています。書店で手にとったとき「これ絶版になったはずなのに！また作ったんだ！大変なことになるんじゃない？ねえ」と主人に話しかけていたんです。他人事のようにです。　差別の論戦に加わる気は無いので冊子など送っていただかなくても結構です。子どもにはきちんと伝えていきたいと思うのですが，私の中では大した比重が無いのです。
5.●女性・３９歳: 　チビクロサンポ通信を頂きました。ありがとうございました。子供がお昼寝中だったのでゆっくり読むことができました。読者の感想もさまざまだったようですが，小さい時読んで聞かせてもらった内容を大人になっても憶えているという絵本は数えるくらいしかないと思います。ちびくろサンボもその一冊のうちだろうと思います。それもこんなにたくさんの人が読んでいた（絵本があまりなかった頃に……特に私にとっては本は貴重な時代でしたから）。　この間ビデオで「パンダコパンダ」宮崎駿原案を見ていたら（子供が大好きなので何度も見ているのですが……）学校の授業をしている場面で先生が読んでいる内容がちびくろサンボだと気がつきました。「トラがでてきました……おまえを食べちゃうぞー　またべつのトラがでてきました。」と読んでいるんです。ずいぶん以前の作品だと思うのですが，こんな場面にちびくろサンボを使っているのに，非常に感激しました。もしまだ，森まりもさん，北大路書房の担当の方も見られたことがなかったのなら，是非ご覧になって下さい。
6.●女性・２８歳: 　何気なく買った一冊は激しく日本中に話題をふりまいていたのですね。しかし，意義のある論戦を「チビクロ……」を買った事で知ることが出来て，とてもよかったと思っています。（買わなかったら何も知らずにいたかも）チビクロさんぽ通信まで頂いてありがとうございました。これからもいろんな方からの反論や批判があるかもしれませんが，「絶版」などということにはなりませんよう。それにしても読んで楽しんでいる中心の子供たちが，知らないところで大人たちのこんなやりとりがあっているとは，なんだか変なかんじもしますね。
7.●男性・７４歳: 　チビクロさんぽ通信有難うございます。差別に対する認識はいろいろあるでしょう。私も３０年余り，部落差別に取り組んできました。未だに部落差別はなくなりませんが，人々の心の持ち方，とらえ方，そして生き方に関わる問題だと思います。ちびくろサンボが黒人差別かどうかは作者の意図によりますし，読者の心の読みとりにもよるでしょう。差別を助長するために書かれたものならば，当然排斥されるべきです。今度の改訂版も同じことが言えるでしょう。子供は純真無垢，それは大人によって変わるものですし，大人の意識と意図で黒人への差別感が育つか否かです。嘗て「父兄」の言葉も差別だから父母とすべし，婦人は差別だから女性にすべし……等々難くせつければ幾らでもあるでしょう。むろん私達の周りには差別ばかりです。人権が守られないで何で黒人の人権，民族差別がなくなるでしょうか。論争は結構だが本質はそらせたくありません。タイガーウッズに学べばよいし，南アフリカでは今度白人差別だと騒ぐしまつです。「心」を育てる役割を互いに担うことです。長野オリンピックで掲げた「地球は故郷」の理想と理念は，あらゆる人種，民族，階層をのりこえてこの地球上にすむ人間は人教として同一であることを認識し暮らすべきです。人を殺して自分だけが生きようとする風潮こそ最も大きな差別です。戦争こそ最大の悪であり，平和と人権の保持を私達の運動のポイントであるべきでしょう。その為に頑張りましょう。論争のための論争の無意味さを今度のオリンピックで実感しました。ご健斗を祈ります。
8.●女性・２７歳: 　“チビクロさんぽ通信”送って下さってありがとうございました。軽い気持ちで出したのですが，この通信を読んで，驚きました。この一冊の絵本の出版にあたって，こんなにも，色々な人達が，色々な討議をおこない，今もなおつづいているなんて……。絵本の感想も，本当に人，それぞれですが，確かに，チビクロを犬にしたからとか，サンボをサンポに変えたからいいとか，安易すぎると思われるのも仕方がないのかも知れませんが，この絵本を読んだ子供達の気持ちが一番大事なのでは……と思います。“差別 ”というイメージは大人の一方的な考えなのでは……。園で何度か読みきかせをしましたが，割と長い内容なのに，２才～５才までの子供達が本当に真剣な顔をしてきいてくれました。子供達が“楽しい”と思える，それが答えだと思います。
9.●女性・: 　前略　日頃はお世話になっております。　このたびは「チビクロさんぽ通信」をお送り下さいまして誠にありがとうございます。このようにまとめていただくと様子がよくわかりありがたいです。森まりも先生にもよろしくお伝え下さいませ。　　　草々
10.●女性・２７歳: 　チビクロさんぽ通信おくっていただきありがとうございました。愛読者カードをおくっただけで〈「黒人差別をなくす会」と「北大路書房」のやりとりの公開状もおくっていただいたり，「北大路書房」さんのこの本に対しての熱意が伝わってくるようです。正直いって公開状がおくられてきた時は，「ええっ？　純粋に『わぁ楽しい面白い本だナァ』と読んでいる私は，ただのノー天気か，バカなのかしら？　」と思ったホドですが，子供が読む分には，「おもしろい」の一言で充分なような気がするのです。３才の娘に聞けば，「チビクロがかわいい」「ホットケーキがおいしそう」「耳にくつをつけたトラがおかしい」そんなもんだと（すみません）思うのですが，差別やなんのとさわぐのは大人だけのような……。という私は黒人の方たちを差別しているのかナーと考えてしまうこのごろです。ほんとうに「チビクロさんぽ」通信ありがとうございました。
11.●女性: 　チビクロさんぽ通信を送って下さって有難うございました。読みごたえがありましたが，まさか届くとは思っていなかったので驚きました。「チビクロさんぽ」には正直，少年が犬になっていて私には異和感があり，馴めませんでしたが娘には新鮮で面白い様ですし，この通信を読んでも初めて新しい本を読んだ子供達にはそれが当然のように受け入れられているので子供には関係はなく，これは（今は）私の問題なんだ，と思いました。　差別に関しては私にはそういう意識が少なかった事に気付きました。なのに人気のある「ちびくろサンボ」を作り直し，世に送り出した貴社の考え方，行動には強い意思を感じます。　こうして，通信が送られてくると，異和感をこの年で云々と言っている自分が小さく見えますネ（汗）。　私なりになぜリメイクしなければならなかったか，を考え，心に止めておきたいものです。 PS.「３枚のおふだ」，他社のものでもお答え下さる貴社に好感をもちました。
12.●女性・３１歳: 　先日はチビクロさんぽ通信を送ってくださり，ありがとうございました。黒人差別をなくす会とのやりとり以外は一気に読ませていただきました。同感同感と思える感想が多かったのにはちょっとびっくりしました。本を読んだ後にこうしていろいろな方の感想を知る事ができるなんて嬉しい限りです。ただ黒人差別をなくす会の存在も無視できないものとして残りました。　この本を知るまでそのような会の存在すら知らなかったのですが，以前廃版となったのは本当の黒人の方々からの反発だと思っていたので，何だか良く分からないうるさい人達が世の中にはたくさんいるんだなあとうっとうしく思っていましたが，差別をなくす会の人達の考え方等が良く分からないのでやりとりを読んでいても本当に分からない ……という感想です。　読んだ側としてはちょっと違うけれどもとてもなつかし楽しくまた忘れられない一冊の本になりました……出版してくれて本当にありがとうございました。 P.S.　内容証明のやりとりは勉強になりましたよ。いろいろとご苦労様でした。
13.●女性・３２歳: 　「ちびくろさんぽ通信」送付ありがとうございます。自分のような考えの人が多いのかと思って読ませて頂きましたが，そうでもないんですねー。いろいろな考え方が（読み方が）あるんだなあと，あらためて思わされました。　今頃になって気がついたのですが，パパクロが町へ行って買ってきたのは「みどりいろのかさ」で散歩途中にトラに奪われてしまうのが「みどりのかさ」になっているのはどうしてですか？　私としては「みどりいろのかさ」の方が音読しやすいように思います。統一されていない理由があるのでしょうか？
14.●女性・３８歳: 　チビクロさんぽ通信を受け取りました。「黒人差別をなくす会」の言う「営業に利する…使用」とは逆の膨大なる出費と不毛に近いやりとりへのエネルギーに敬服しております。この通信に載った「黒人差別をなくす会」の手紙を読んですべての出版社が絶版にした理由がよくわかった気がしました。現会長のご主人（だったと思うのですが）有田氏の黒人差別についての講演を絶版されたころに聞いたことがあり，質疑等も聞いたこともあるのですが，「何が何でもダメ」式で質問する気にもならない状態になりましたので，よくぞ出版されたなあと，改めて思いました。　わが子（４才・７才）に読んでやってストーリー性のおもしろさは確認できたので，高校生に読み比べさせて差別性について考えてみようかなと思っています。
15.●女性・３３歳: 　チビクロさんぽ通信を送って下さいまして，ありがとうございました。早速，興味深く拝見させていただきました。貴社と黒人差別をなくす会とのやりとりでは，私は貴社のこの本に対する思いが会に伝わらないことを残念に思いましたが，この本が出版されたことで喜び，楽しんでいる子供がたくさんいることで答えは出ているのではないでしょうか。　難しい問題はよくわかりませんが，昔も今もトラがバターになり，ホットケーキをたくさん食べるというおもしろいストーリーに夢中になる子供がいることにかわりはありません。もっともっと多くの，今の子供達にこの話の面白さを伝えていきたいと思っている同年代のお母さんは多いと思います。絵本の出版社ではなかった貴社が守一雄さんと，この本を思い切って出版して下さったことには心から感謝しています。貴社の社員の方たちの仕事が，色々な反響の為，増えて大変な思いをされているのではないかと心配しつつ，この本のとりこになった，８才と５才の娘の笑顔を見ながら毎日，読み聞かせをしています。保育園の先生，お母さん達にも出版されたことを言って歩いています。「ちびくろサンボ」を全く知らない世代の子供には“ちびくろサンボ”を全く知らない世代の子供には“チビクロさんぽ”は新鮮です。何の先入観もなく無邪気に絵本の世界に入り込んでいる子供がいることを貴社に伝えたく，ペンを執りました。子供たちに夢をありがとうございました。

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