Reader's Opinion#5

議論公開についてのご意見5通(その5)

  
●男性・68歳

 「公開文書」拝受しました。貴社の対応は極めて丁重かつ公正なものと感じ入りまし た。「差別をなくす会」は、もっときちんと論議をしてほしいと思います。最近は「差 別」という言葉が強い力を持ちすぎていて、みんなが避けて通っている感じを持ちます 。差別語を使わなければ、差別がないと錯覚しているように思います。「チビクロサン ボ」を愛読して育った2人の娘の孫たちに貴社の本を買って贈りました。

 こういった「公開」は、とても大切なことだと思います。学会(12/20)の議論がど うだったかも知りたいところです。岩波版の完然の絶版宣言も説明が充分ではなかったよ うに思います。(当時私は海外にいたので、情報不足だったのかもしれません)

 当時小さかった娘たちは、虎がグルグル回ってバターになるところが好きで、何回も 何回もせがまれては読みました。たのしい思い出です。


北大路書房:「公開」の趣旨にご理解をいただき,ありがたく思います。
●女性・31歳

 以前、1度このカードを出し、御社から、丁寧な冊子と“「会」とのやりとりのレポ ート”を送って頂きました。私などは1読者として、昔自分もよんでいた、“ちびくろ サンボ”をもう1度子供にもよんであげたいと思って買わせて頂きましたが、その背景 にこんなにもいろいろなやりとり、又、御苦労があるのかと考えてしまいました。

 差別、これは、1言では語れないし、又、語ってはならないものでしょうが、私は再 びこの本に出逢えたことだけは単純によろこんでおります。


北大路書房:今回の出版の背景にある問題について,できるだけ多くの方が目を向けて くださり,議論ができれば,と念じております。


●男性・29歳

 チビクロについてですが、ゆっくり読ませていただきましたが、その「黒人差別をな くす会」というやつが少々あやしいようですね。はっきり言って期待はずれでした。そ の後はどうなっていますか?

 私自身が感じたことは以下のとおりです。

1)差別が主観的問題であるということを改めて考えさせられました。すなわち自分自身 が、あるいは相手が何とも思っていなくても、第三者の主観が存在することの意味と いったものでしょうか。

2)しかしながら私自身の実感によりますと、あの話に差別性があるとは思えません。蔑 称「サンボ」が問題であることは分かりますが、ステレオタイプ化された黒人像だと か野蛮な生活だとかいわれても、正直なところピンときません(我々自身が有色人種で あることや、組織的に有色人種に対する差別を行ってこなかったということも関連し ているのかもしれません)。

3)私は何でもかんでも(失礼)差別的だという主張はそれ自体が無意識的に差別の感覚 を再生産してしまうように思えます。また本当に問題があったとしても、それを子供 の目から隠すことにどのような積極的な意義があるとも思えません。

4)私自身の意見としましてはあの話はあくまで「楽しい話」としてそのまま子供に聞か すべきだと思います。そしてそのうえで話の中に差別の問題があるということを率直 に教えるべきだと思います。子供にとってそれを理解することは難しいことかもしれま せんし、確信を持って言っているわけではありません。しかし子供は大人が思ってい るよりもずっと賢いし、感受性も豊かで素直だという気もします。

5)なお北大路のやり方ももちろんひとつの方法であると思いますが、しかし「さんぽ」 はまずいと思いました。音韻的に「サンボ」に近いということ以外に「さんぽ」が選 ばれた理由があるとは思えませんし、「チビクロ」のあとに「さんぽ」が続くのはいか にも不自然です。例えば「チビクロの冒険」くらいにはならなかったのでしょうか。 あくまで個人的な意見ですが。

6)ただし「さんぽ」にしても赤い表紙にしても、できるだけ旧版に似せることによって 、敢えて危険を冒すことによって、決定的な問題を鮮明にするための議論を喚起する という意義は確かにあると思います。

7)私は差別を回避することも重要であることは思いますが、差別の由来を分析すること 、そしてそれについて多くの子供や大人の理解を促すことのほうが一層重要であると 思います。何故なら肌が黒いから、野蛮であるから差別が発生するのではないからです 。差別とは差別するために、世界中に無数にある何らかの差違のなかから特定のもの が恣意的に選択され負の価値を賦与されて、それが社会的に蔓延してしまったもので あると考えるからです。私は強引なようですが、子供にも差別を直視させたいと思いま す(自分の子供にはそうしたいです)。

 こんなところでしょうか。あくまで個人的な意見ですが、よろしかったら何かのとき に参考にでもしてみて下さい。


北大路書房:掘り下げていただいてのコメント,ありがとうございます。


●女性・?歳

「公開文書」をいただきました。「黒人差別をなくす会」とのやりとりを読んで大変驚きました 。なぜあれだけ見事に修正されていて,尚かつ楽しい絵本ができ上がったのに,差別だ!!差別 だ!!とさわぐのでしょう……?私には理解できません。純粋な目で見れば差別でもなんでもない ものを,ああいう人達が意識しすぎて「差別問題」として取り上げてさわぎ立てるから,よけい に「差別問題」が浮き彫りになるのではないでしょうか?現に私自身が子供の時に“ちびくろサ ンボ”を見た時,バターになったトラの印象こそ強く残ったものの,黒人差別として見てもいな ければ,幼心に残ってもいません。昨年新聞で見るまで知らなかったことです。ましてや黒人の 子を修正して犬になった以上,「ちびくろさんぽ」を見て人種差別につなげる子供がいるとは思 えません。そんなの考えすぎです。私は個人としては貴社を応援しています。

 懐かしい絵本を再発行していただいて,純粋に喜んでいます。頑張って下さい。


北大路書房:小社へのご支持ありがとうございます。


●女性・33歳

 公開文書をありがとうございました。興味深く読ませていただくと同時に,やりとり の内容に驚いてしまいました。なぜ,そこまで「ちびくろサンボ」と「チビクロさんぽ 」が同じだと言い切るのか不思議です。私も人種差別に対してはもちろん反対ですし, 人として決してしてはいけないことだと思っています。が‥‥「チビクロさんぽ」の題 名を初めて目にしたとき,犬がサンポに行く話なのかなと自然に思えましたし,実際に 読んでみて,又,目で見て「ちびくろサンボ」から何も改善されていないとは全く思い ませんでした。「ボ」と「ぽ」の1文字を変えて問題があると考えられる方がとても不 自然に思えてしまいます。私も子供も,「ちびくろサンポ」が大好きですし,子どもに 与えて良かったと思っています。会とのやりとりはまだまだ続くと思いますが,どうか 頑張って下さい。


北大路書房:小社へのご支持ありがとうございます。


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