前略
「読者カード」ご返送ありがとうございました。
いただいた「読者カード」はすべて以下のホームページ上で公開し、その一部には、私と北大路書房から回答もしています。なかなか、時間がとれなくてまだはじめの方にいただいた方々にしか回答ができていません。
http://zenkoji.shinshu-u.ac.jp/mori/sampo/sampoQandA.html
ただ、あなたの場合には、「卒論のテーマ」に関わるようですので、特別に早めにご回答を差し上げることにしました。
ご質問は以下の3点と読みとりました。
(1)絵にコンピュータグラフィクスを使った理由
(2)作者は他の絵本でもコンピュータグラフィクスの挿絵を書いているか
(3)子どもの頃に読んだ絵本と『チビクロさんぽ』でトラがバターになるシーンが違うのではないか
それぞれの答は次の通りです。
(1)絵にコンピュータグラフィクスを使った理由
私は実は絵本作りはまったくの素人で、学校などで絵の勉強やCGの勉強をしたこともありません。今のパソコンで使えるCGのためのソフトウェアは、そうした素人にも簡単に使えるようになっていて、むしろ絵の具やクレヨンを使って書くよりも楽に仕事ができます。従来の画材を使うためには、アトリエのような作業場も必要ですが、CGの場合にはパソコンだけで済みます。『チビクロさんぽ』で挿絵にCGを使ったのは、こうした素人なるがゆえの技術的な理由です。
(2)作者は他の絵本でもコンピュータグラフィクスの挿絵を書いているか
上にも書きましたように、私は絵本作家ではありませんので、『チビクロさんぽ』の他には、挿絵を書いている絵本はありません。
ただし、今回『チビクロさんぽ』が大変好評だったために、出版社からもう1作続編を書いてみないかとのお誘いがあり、『チビクロひるね』という続編を作りました。来月、発売の予定です。今度の絵本は、トラが主人公でチビクロに復讐に来る話です。トラがチビクロのしっぽをつかんでグルグル振り回すと、チビクロは溶けて・・・さあ、いったい何になるでしょう?登場人物(犬物?)もほぼ同じなので、同じようなCGで絵を描きました。
(3)あなたが子どもの頃に読んだ絵本は、おそらく「岩波版」の『ちびくろ・さんぼ』だったのだろうと思います。だとすれば、トラがバターになるシーンだけでなく、ほとんどのシーンの絵が違います。『チビクロさんぽ』では、登場人物は犬になりましたが、絵の配置やページ割りなどはすべて英語版の本当の原作のとおりになっています。
いい卒論が書けるといいですね。期待しています。
早々