A Reader's Opinion

ある読者からのメール

(守が勝手に一部の字を大きくしてあります。)  
Date: Thu, 26 Aug 1999 23:22:36 +0900
To: 守 一雄
Subject: はじめまして こんにちは。

はじめまして こんにちは。ここ(HP)は、「よくできたウソの本」(面白く、ためになりました)で知りました。

「ちびくろさんぽ」と「ちびくろ ひるね」を立ち読みし(失礼)、「ちびくろ こころ」を買い、平行してHPにある読者の反応も読んでいき、今日読み終えました。

「こころ」は、中高生向けであるのでちょっとまどろっこしい部分がありましたが(数字がでてくるだけで頭が拒否反応を起こしてしまう推計の場面はなかなか苦しく、ワッサンのように居眠りしかけましたし)、とても参考になりました。現在小学生の娘が読めるようになるまで、大事にとっておこうと思っています。 守さんの本に出会うまで、それこそ臨床心理学と精神分析以外は興味を持っていなかったのですが、「よくできたうその本」で興味を持ち、また「こころ」で数字がまじってくると自分にはかなり苦しいのですが、分野に限らず面白い本をどんどん読んでいきたい、という思いを強くしました。

今の夫(コンピュータプログラマー、理数系の大学出身で、専攻はコンピュータ・サイエンス)に出会うまでは、「文系は想像力の豊か人が、理数系は数字に強い人が」という固定観念を抱いていたのですが、彼に「数学の教授がある人に、『あなたのあのお弟子さんはどうしましたか』と聞かれて、『ああ、あいつは想(創?)像力が足りなかったんで、文学者になったよ』と言ったという噺があるくらい、数学の方が想像力が必要なんだよ」と言われ、認識を新たにしました。

多くの人が書かれているように、私にとっても「さんぼ」は黒人差別の意識は全く無く、ぐるぐるまわってバターになったトラ、それで焼いたホットケーキ、・・・おいしそう!という記憶しかなく、絶版になったことも最近友達に教えてもらうまで知らず、「んな、ばかな??」と思っていました。そして、今回このHPを見るまで「サンボ」というのが黒人に対する蔑称だということも知りませんでした。私の育ったところはいわゆるニュータウンで、まわりに被差別者がいなかったし、学校でもさらりとしか差別問題を取り上げなかったので、差別感覚が育たなかった代わりに、差別とはどういうことかもあまりわかっていませんでした。部落差別も、大学生になって京都にくるまで全然ぴんときませんでした。Kさんの手紙にも取り上げられていた「4本指」も、「ゴーマニズム宣言」を読んでいて特定の人たちに対する差別のしるしらしいということは推測されましたが、いったい誰にたいして?どうして4本指が?ということをいまだに知らず、聞けるひともおらず、内心はずかしい思いをしています。というのも、今回HPを読むまで、差別語の、被差別者に対する思いに関して丸っきり無神経であった自分にはじめて気がついたからです。自分達がなんでもない言葉が、被差別者はどう感じるか?ということを感じられる例として、「おまんこ」の例は適切だったと私は思っています。私自身は、女性性器に関しての情緒的言葉は不思議なくらい何もないのですが・・・(たぶん大人になるまでそういう言葉を一切耳にしなかったからでは、と考えているのですが)。

私の最初の夫は在日韓国人で、私自身は全くなんのわだかまりもなかったのですが、離婚後に、母が「おばさんからいまだに『○○ちゃんは、なんで朝鮮なんかと』って言われてるんだから」となじられるようにいいましたが(結婚するときそれだけの理由ではないのですが、両親から勘当もされました)、そういう差別意識を持っている姉を恥じずに、私を恥じる母は間違ってるなー、と思いました。もちろん今でも思っています。

「Kさんからの手紙」は、ほんとに「サンボ」以外の差別表現がどこにあるのか?これを読んだ黒人たちはどう思うのか?ということがわかると思ってわくわくしていたのに、ただの頭でっかちのバカだったんでがっかりしました。あそこまでお相手なされた守さんに手を合わせております。

黒人差別問題の会の人も、原作者の表示などでとんちんかんなこと言ってるのには驚きましたが、「差別だ」と思ってる人達には、「サンボ」の本自体が差別本として植え付けてあるので、あれが存在していてはだめなのですね。しかし、抗議しているのは日本人だし、もう一人黒人のほうも何がいけないのか?というのかには全然ふれていないし、ふつーの黒人の人はどう言う風に受け止めてるのか?というのは知りたいところですね。知り合いには一人しかいないし、あまりしょっちゅうあわないけど、今度つかまえて一意見として聞いてみよう。と思っております。当事者でも捉え方は様々だと思うんですが。

差別問題に30年かかわってるという74歳の方の意見にもあったように、親の姿勢が子に影響するというのは、体感しております。事情があり、1年ほど、外国人の少ない地方都市にある両親の家で子供を育ててもらったのですが、京都に引き取って私の外国人の友達に会わせたら、泣くこと泣くこと。いまではすっかり慣れて、平気で蹴りいれに行きますが。

以前電車で黒人の人達が隣に乗りあわせ、すごくきれいな黒!色の肌だったのですが、子供ににこにこと笑いかけてくれたら「どうしてそんなに焦げてんの?」ときいて、おかしいから思わず笑ちゃったけど、失礼かな・・・と対応に困ったことがあります。その後、別のアフリカ人を招待してパーティーした時、子供が屈託なく遊んでくれるので嬉しい・・・子供好きなんだけど、日本人の子供は怖がるから・・・と彼の友達が教えてくれました。こどもは、ホントに最初白ですからね・・・これから、「さんぽ」と「サンボ」と両方こどもに読みきかせ、どちらがすきか観察しようと目論んでいます。


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