山田純さん@広島大学のコメント(1998/8/26)

山田純さん@広島大学のコメント(1998/8/26)

Date: Wed, 26 Aug 1998 10:22:04 +0000
To: kazmori@gipwc.shinshu-u.ac.jp (守 一雄)
From: "山田 純"
Subject: Re: KRvol.4-3

前略

いつもながらご苦労を感謝申し上げます。ひとつだけコメントさせてください。

>  『KR』の第4巻3号をやーーーっと発行しました。
> コメント・ご批判などいただけるとありがたく存じます。

> ●渡部玲二郎・佐久間達也論文: 小学校5,6年生312名と、担任教師15名に
> 対し、18の算数学習場面で「どの程度不安を感じるか」「教師からどの程度
> サポートしてもらいたいか(児童)」「どの程度サポートをしているか(教
> 師)」を質問紙調査し、不安とサポートの関連を調べた研究。研究の意義は
> 大いに認めるが、相関研究の典型的な誤解釈に陥っている。「教師のサポー
> ト得点と算数不安得点は正の関係にあり、教師のサポート量が多い児童の方
> がむしろ算数不安は高く、教師のサポート量が多ければ、児童の算数不安が
> 低減するわけではないことが明らかになった。(p.187)」と結論しているけ
> ど、これは逆でしょ?「児童が不安を感じそうな場面ほど教師はサポートを
> たくさんするよう心がけている」というだけのこと。頭痛薬を飲む量(サポ
> ート)と頭痛(不安)とは明らかに正の相関があると思うが、このことから
> 「頭痛薬を飲んでも頭痛が軽減するわけではない」と結論づけるのは明らか
> におかしい。

「明らかにおかしい」というのは、おかしい。答えは、いつものように両者とも可能 性があるである。さらに「教師のサポートが多ければ、不安になる」でもよい。頭痛 薬のたとえはあまりよくない。しかし、続けるとこうなる。おとなであれば、頭痛薬 を飲んだあとも、すぐに直らなくてもいずれ直ると思う。子どもはそう思わないかも しれない。また、おとななら(たまたま)頭痛がひどくなっても、それは頭痛薬の効 果とは思わないが、はじめての子どもの場合、そう思うかも知れない。

以上です。

広島大学総合科学部
山田 純