進藤さん@山梨大学のお便り(1997/12/24)

進藤さん@山梨大学のお便り(1997/12/24)

From: 進藤聡彦
To: "'kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp'"
Subject: KR有り難うございました
Date: Wed, 24 Dec 1997 11:17:04 +0900
Content-Transfer-Encoding: 7bit
Content-Type: text/plain; charset="ISO-2022-JP"
Content-Length: 1572

守先生

 KRのご恵送、ありがとうございました。

 本論文は、実生活空間を対象にしてみることの意義、その際の空間のサンプリング の問題などについての筆者らの見解を明らかにした上で、地図の読解の問題を取り上 げたものでした。特に、本実験の場合は、取り上げられた御用地付近の「特殊な?」 空間が実験対象となったわけですが、空間認知研究に限らず実験で用いられる材料の サンプリングについて、得られた結果が妥当する範囲を推定するためには、材料を属 性記述することはとても大切だということも強調したかったのです。

 なお、、筆者ら自身が地下鉄の駅から降りて、地図に基づき移動する際に、出口か ら出て自分の背後に位置するランドマークに気づきにくかったという体験にも基づき 、問題を設定しました(論文には書きませんでしたが)。

 実験の結果として、(広い範囲を占める)空き地などが使われにくいこと、かなり 低次(と思われる)な地図の読解方略の者が見られるなど、興味深い知見を示唆する 結果が得られました。これも筆者のうちの1人が、この場所で過去に同じ経験をした ことから、結果も納得できるものでした。

 ただ、改めて論文を読み直してみると、課題ごとの被験者の反応を追っていく形で 結果を記述しましたが、その多様で複雑な反応のため、かなり読みにくい論文になっ てしまったようです(友人からも指摘されました)。守先生は、平易な記述の大切さ を度々論じられますが、その点では、地図が小さくて分かりにくかった点も含め、反 省すべき点もあるかと思います。

 地図はいろいろな認識の形成のための有力な武器になるはずなのに、必ずしも有効 に使われていないようです。地図に関わるおもしろい授業が作れたらなあ、などと考 えています。

       山梨大 進藤聡彦   シオン短期大学 立木徹

 


  • KR vol.3-6へ戻る
  • KRメニューへ戻る