Shindo's refutal

進藤氏からのコメント

:原文のまま(1996/6/7:電子メールにて受信)

 KRをご送付いただき、有り難うございました。私も、以前より1つの論文につい て長所、短所を論じあい、更に執筆者の反論を受けるということの繰り返しの機会が あればと思っていました。例えば、学会のシンポジウムでそんなことをやったらおも しろいなぁ、などと思っておりました。そこにKRが送付されたので、これは論文の 執筆者にとっても、読者にとってもとても勉強になる機会ができたという感想をもち ました。他の人から論文の欠点ばかりでなく、自分自身の気づかない良さを指摘され ることもあります。
 自分がやらないで、勝手なことを申させていただけば、ある論文を取り上げ、それ を複数の人が読んで、それぞれの批評を比較できるようなものも取り上げると、いろ いろな観点から論文の吟味ができ、おもしろいのではないかと思います。

 ところで、私の論文では実験で設定された4群にA〜Dという機械的な命名をした ことが、「致命的な欠陥」とされています。論文の読みやすさという観点からは確か にそうだと言えるでしょう。ただし、言い訳をすれば、処遇条件を明確に(あるいは 単純に)示す命名には危険性を伴うことがあります。命名によって、1つの実験状況 に付随する種々の条件が捨象されてしまうことが起こりがちだからです。論文執筆時 には群の命名のことは、あまり意識しておりませんでしたが、そんなことが暗黙には あったのだと思います。その一方で、先生もご指摘のように細谷先生の命名は、わか りやすく、わかりやすいが故に教授ストラテジーを構成する上での使い勝手もいいと も思っています。「致命的な欠陥」かどうかはもう少し考えてみようと思っています が、論文の書き方について考えさせてくれるご指摘でした。


KR再反論
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