麓さん@弘前大学から藤岡論文(1997)へのご意見(1998/11/24)

麓さん@弘前大学から藤岡論文(1997)へのご意見(1998/11/24)

Date: Tue, 24 Nov 1998 12:40:31 +0900
From: "麓 信義"
Mime-Version: 1.0
To: "守 一雄"
Subject: KRに一言

 だいぶ前から書こうとして気になっていたことを一つ書きます。45巻1号 (1997年)の藤岡論文ですが、1995年の「スポーツ心理学研究」に同じ ような論文があります。また、「体育の科学」に、私が英国人で当時アメリカ在 住の人と共著でレビューを書いています。

 運動に関する論文を書くときに、体育学関係の雑誌にあたらないのは、非常識 だと思います。筑波大ならばほとんど手にはいるはずです。それをそのまま通し た審査員も見識がないと思います。

 もっとも、日本の心理学会では、体育やスポーツが軽んじられていた伝統があ るようです。もう少し大きくとらえると、日本の研究では身体とか運動とかが軽 んじられていた、ということです。たとえば、医学の分野でも、心筋梗塞の予後 に運動が不可欠なのにもかかわらず、医学で健康のための運動が研究され始めた のは、アメリカよりかなり遅れました。

 また、心理学ワールドでスポーツの心理学が取り上げられていましたが、執筆 者はどう考えてもスポーツのメインルートにいない方々のようでした。もちろ ん、私の知っている方もおり、一流の研究者ではあると思いますが、心理学界が 大々的に特集として組むには分野のバランスから見て、お粗末な人選ではなかっ たかと思います。

 その原因の一つに、日本スポーツ心理学会が日本心理学諸学会間連絡会に加入 していないこともあります。学術会議との関連で、それに加入すると、学術会議 の選挙母体が体育学から心理学になるので、体育学の一分野であるスポーツ心理 学会としては問題(科研費にもつながる問題)で、このような事態になっている のだそうです。ここでも、銀行同様に、官の窮屈な規制が本来自由であるべき活 動を規制している実体があります。

 うわさによると、心理学会でもスポーツや運動の分野を強化する必要があると 考えているとの話ですが、これまでの心理学界では、運動やスポーツの研究がほ とんど発表されていない現実の反省から出発していただきたいとおもいます。

 以上、だいぶ前から気になっていたことを書きました。KRに載せて下さって 結構です。それから、KRのメイルリストに載せていただければ幸いです。

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English
Nobuyoshi Fumoto
Professor (Psychology of Sport and Physical Activity)
Department of Health and Physical Education, Faculty of Education,
Hirosaki University
Bunkyocho 1, Hirosaki, Aomori, Japan 036-8560

Japanese
麓 信義 (弘前大学教育学部教授:運動・スポーツ心理学研究室)
住所 〒036-8560 弘前市文京町1
弘前大学教育学部保健体育科教室

Tel 0172-33-8295 Fax 0172-32-1478
  E-mail   fumoto@fed.hirosaki-u.ac.jp
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ここで紹介された文献についての追加メールが届いています。(1998.11.24)

 


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