ご批評して頂きまして有り難うございました。
(1)AHPは、ある意思決定の場面で個人または集団の合意によって問題解 決をはかる場合によく利用されているが、本研究では個人の評価と合わせて集 団としての特徴を記述することを試みました。それは、進路選択の場面でどの 程度整合性をもって進路を決定しているかに大変興味をもったからです。AH Pにおける評価は整合度によって行われることから、AHPの言葉の背後には 整合度が当然関与しているものと思い、タイトルにはAHPで表すことにしま した。ただ、整合性という言葉を文中によく使っていることからキーワードと して入れるべきだったと思います。
(2)利用したデータについての指摘ですが、ここで用いた評価内容から進路 決定後の大学・学部の情報が必要であり、そのためには入学後の学生からでな いと入手することはできません。そのため、比較的入手しやすいということで 授業中に調査を実施することにしました。データの質について問題はあると思 いますが、学生は過去を振り返り真面目に回答したようには思います。なお、 AHPを用いた調査を評価内容を一部変更し、全国の高校3年生に実施したい と考えております。また、その結果について報告する予定としています。 データの質の問題は、データ数と質の間でトレードオフの関係があり、私自 身は質はやや下がるが多量のデータによって集団の特徴を記述する方に関心が あります。個々の生徒に関する評価は教師との対話の中で解決されるべきだと 考えています。
以上、論文批評に対する回答を送付いたします。今回のような批評は大変あ りがたく思っています。投稿した論文を読者がどのように評価しているかを知 ることは、自身の研究の励みになります。おそらく今後も教心研に投稿するこ とは多いと思いますのでご批評よろしくお願いいたします。
大学入試センター 研究開発部 鈴木 規夫