第9巻第4号              1996/1/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)



 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくご愛読下さい。
 一昨年のDOHCで次のように書きました。この賛辞は、「新書」でないこと以外 はすべてこの本にもあてはまります。まるで、2年前に戻ったかのようです。   (守 一雄)

【これは絶対面白い】

野口悠紀雄(1993)

「超」整理法:情報検索と発想の新システム』

中公新書\720


 筋立てがめっぽう面白いうえに、個々の場面ごとにも読者を喜ばせるような仕 掛がしてあるような究極の推理小説に匹敵する面白さ。読みやすく、わかりやす く、知的な興奮を与えてくれるばかりでなく、実際に役に立つ、しかも、安い、 という、もう新書のお手本。序章で「あなたの整理法はまちがっている」と読者 にゆさぶりをかけた後、第1章で「超」整理法の基本思想とその実際が紹介され る。第2章はパソコンを使ったその発展形が紹介され、第3章では一度視点をひ いて、整理法の一般理論が紹介される。そして、第4章では、情報の整理という 「守り」から、新しいアイディアの生産という「攻め」に転じ、アイディア製造 システムが紹介される。最後は、個人レベルを越えた未来社会への方向づけであ る。こうした章だても見事であるが、各章には「まとめ」があり、最後には「索 引」もあるなど、細かな配慮が嬉しい。そのほかにも、随所にウィットの利いた 囲み記事があったり、また、「こうもり問題」「神様ファイル」「家出ファイル」 「君の名はシンドローム」など、種々の現象への命名法も楽しくてわかりやすか ったり、もう何から何まで、本とはこうありたいと考える「本の理想形」が実現 されている。

【これは絶対面白い】

野口悠紀雄『「超」勉強法』

講談社¥1,500


 筋立てがめっぽう面白いうえに、個々の場面ごとにも読者を喜ばせるような仕 掛がしてあるような究極の推理小説に匹敵する面白さ。読みやすく、わかりやす く、知的な興奮を与えてくれるばかりでなく、実際に役に立つ、しかも、体裁の わりに安い、という、もう本のお手本。(新書よりは高いがその代わり、受験参 考書と同じ「2色刷り」だぜ。)まず何よりも、「勉強は、実は楽しい。」と帯 に大きく書かれたこのメッセージが嬉しい。序章で「勉強はノウハウ」と読者を 誘い込み、第1章で「超」勉強法の基本3原則が紹介される。第2章はその基本 原則に沿った英語の「超」勉強法紹介され、第3章では「国語」、そして、第4 章では、「数学」の「超」勉強法が紹介される。「理科や社会科がないじゃない か」という読者の声を予想したかのように、第5章では「超」暗記法が、さらに は、受験シーズンに向けて第6章では、「超」受験法まで用意されている。そし て、こうした「方法論」のあとに、第7章では「勉強を周辺から支えるサポーテ ィング・システムについて、いくつかのヒント」が述べられている。『「超」整 理法』の時と同様に、もちろん各章には「まとめ」があり、最後には「参考文献」 も「索引」もあるなど、細かな配慮が嬉しい。そのほかにも、随所にウィットの 利いた囲み記事「コーヒーブレイク」がある。今回は、面白い命名は「パラシュ ート勉強法」くらいだが、それでも、本とはこうありたいと考える「本の理想形」 がまたもや見事に実現されている。
 とにかく勉強したくなる本である。来年度の私のゼミでは、この本の第2章の 検証を試みるため、学生と一緒に心理学の英語の教科書を丸暗記することに決め た。(それにしても、こんな本を経済学者に書かれてしまったことは、教育心理 学者としては本当になさけない話である。西林克彦さんの『間違いだらけの学習 論』が何度も引用されているのが唯一の救いだけれど。)    (守 一雄)


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