8/17 屈斜路湖 和琴国設キャンプ場〜更別村 Muddy Times編集長宅
今朝も起き抜けににょろによろと芋虫が脱皮するみたいにシュラフから這い出ると目ヤニを落とそうともせず、
犬に引っ張られて半島付け根の露天風呂へ。
時刻は5時30分。
薄曇の空の下、波の無い湖面をボーっと眺めつつ、「あ〜〜〜〜〜〜」と一声。
オヤジと言われようが、ジジイと言われようが、ナチュラルに出てきちまうんだからしょうがねえや。
いっしょに風呂に浸かってんのは、地元のじいさんとばあさんと、長期滞在風のキャンパーの計5名くらいか。
この時間帯に極楽が隠されていようとはお釈迦様でも御存知あるめえ。
って、俺は本当、ジジイだねえ。
さて、そんなわけで唯一の連泊となった和琴キャンプ場ともこれでおさらば。
人も少なくなって、のびのびくつろげる雰囲気になったのに、ちょいともったいないなあ。
シュラフにテントに、しっかりと干してから、いつもの様にぐしゃぐしゃに袋に詰め込む。
そしてキャンプ場に備え付けのリアカーで3往復分の荷物をハイラックスの荷台にゴテゴテと積み上げ、出発進行!
さて、今日は北海道で始めて屋根のある家に泊まるのだ。
というのは、この春から十勝平野の片田舎に移住した、古くからのバイク友達であるMuddy Times編集長君の
家を訪ねるのだ。
彼の生まれは高知だ。そして彼の妻の生まれは沖縄だ。
2人は横須賀で暮らしていたが、2年前に長野の伊那に転居した。
そして、今度は北海道だ。
なぜに南国生まれの2人が、安定した収入が保証される会社を辞め、長年に渡って培った手の職を放棄し、
厳しい事は容易に想像できる北国で、何の知識も持たない農業という手段で生計を立てて行こうと思い立ったのか。
その辺に興味があった。
電話では
「人生一度きりですからね・・・、このまま安定した生活を続けるよりも、もう一度自分の力を試してみたいじゃないですか。
そのほうが面白いじゃないですか。
まあ、駄目モトですよ・・・・・」と言っていた。
奴は思い込みとサクセスの男である。
そしてサクセスの過程の中に自分を見出す男だ。
だからサクセスしちゃうと、冷めちゃうのである。
だから奴が好きなのだ。
Muddy Times君の家に行くには右も左も、正面も果てしなく地平線な麦畑とじゃがいも畑に囲まれた1本道をひた走る。
そして、辿り着いた 家賃1万円という家は、信じがたくすばらしい家だった。
この家の大家さんであるおばあちゃんとMuddy Times夫妻はとても仲が良い。
山菜の取り方、種類、料理方法、いろんなことを教えてもらい、春には山菜だけで食べ物には不自由しないという。
Muddy Times君の家は、このおばあちゃんの亡旦那さんが建てた。
このじいさんは未開の地に、まず自力で木の小屋を建てた。
この波板張りの壁に、赤いトタン屋根は近代北海道開拓者の象徴的な作りに思う。
まさにイメージ・オブ・北海道の家。
家の裏には、大家のばあちゃんが育てた庭木の他に彼らが育てた野菜が作られている。
奥には今は飼われていないが、ニワトリ小屋もある。
薪小屋は2棟有り、5年分くらいは備蓄されている。
つまり自給自足が可能な家なのである。
じいさんは、この今は納屋となっている波板張りの家をまず建て、ここに住みながら母屋をコツコツと建てていった。
Muddy Times君はこの家から、つまりはこの亡きフロンティアじいさんから、開拓者の熱いスピリッツのエネルギー
をもらっている。
更には彼ら夫妻が現在見習い丁稚奉公している、開拓農家の激烈オヤジからも多くのことを学び、生きている。
リアル北海道の暮らし方を真剣に教えてもらっているのだ。
この場所に移住し、自力で農業をやっていきたいと農協に申し出たら、「やめたほうがいい」と反対されたという。
そんなに甘いものじゃないってことらしい。
夢は夢のままで終わらせておけと忠告された。
これが家賃1万円の全景。
白い家が母屋。
2つの薪小屋。
初代の家であり、立派な納屋。
ニワトリ小屋。
裏庭と畑。
塀は彼が廃材を利用して修復した。
母屋の風呂は薪風呂である。
このストーブで風呂を焚く。
薪で焚いた風呂は湯がまろやかで、ガスで焚いた風呂よりも体が温まる。
晩飯は裏庭で食いきれないほどのBBQを頂いた。
そして朝ごはんもこの通り、盛り沢山のご馳走。
さおりちゃん、ご馳走様でした。
このところの冷え込みで、部屋の中にあるストーブは夏でも焚かれている。
そしてその横にある扇風機。
北海道の夏の不思議な情景。
このビーグル犬の名前はネル。
つい4日ほど前にMuddy Times君の家の軒先につながれていたというはぐれ犬。
役場に「捨て犬ですが」と届けたら、飼い主を探そうともせずに「あなた達が飼えばいいでしょ!」
と言い返えされたそうだ。
そんなわけで、飼っているそうだ。
俺んちのエリザベス様と違って、毛がふさふさのふかふかで気持ちがいい。
ところが、俺たちが帰ったあとに飼い主が現われたそうだ。
本名は「ラブ」だった。
次回北海道に来たときはもっと、ずっと長くこの家に居候するつもりだ。
ヨースケを一人でここに来させて、夏の間ホームステイさせるのも面白いかとも思った。
それだけ住み心地が良く、いろいろなことを学ぶ家である。
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