明け方は冷え込むんでフリースを着てる。後方がお祭り看板。
ブルーカラーの労働者はパキスタンやバングラディシュの出稼ぎの人らで、
両替に行った先の銀行員なんかのホワイトカラーはアラブ人。
アラブではディスタージャ(白装束の衣装)がスーツみたいなもんなんだな。
だからエリートサラリーマンはみんな白いひらひらを着て、手には携帯を持っている。
足元は革靴じゃ無しに裸足に皮サンダル。
上の白い建物がアジトとなったメリディアスホテル
【 10月27日 We want Beers! 】
Dubai到着は現地時間のAM2:00であった。
UAE入国のイミグレーションではビザの問題がある。
主催者の UAE Desert challenge側で エントラント全員のビザを取得してくれてあるはずだが、
頼りは出発直前に主催者からFAXで届いたアラビア文字が書かれた紙切れだけである。
これが水戸黄門の紋所になるはずだけど限りなく頼りない。
が、あっさりと日本人全員の入国が認められた。
その後、永持氏率いるE&G組は事前に確保してあったコンドミニアム(通称:合宿所)
へとタクシーを走らせ、
「孤高の人」も日本であらかじめ予約したというホテルへと消えていった。
UAEでの行動はすべて行き当たりばったりで行こう!と決めていた俺らは
行動開始は夜が明けてからと決め、
空港2階のロビーでビバークする。
AM3:00。
肘掛け付きベンチに窮屈極まりない体位で寝る…・寝れぬ。
朝を迎えた。
「地球の歩きかた」を取り出し当面のアジト探しにとりかかる。
Dubai Town MAPを広げ、Head officeが設けられている高級ホテルHyatt
Regency からさほど遠くなく、
繁華街からはちょっと離れた感じで比較的静かそうで、更には交通の便も良くて、欲を言えばサンダル履き
で行ける距離にショッピングモールなんかがある理想の物件が点在してそうな地域に当りを付け
てタクシーに乗り込む。
UAE の交通事情の過激さはインターネットのHPで拝見し覚悟はしていたが、
タクシーのスピードに面食う。
クラクション全開でアクセルも全開って感じ。思わず踏ん張る。
街のいたる交差点にはUAE Desert challenge開催!
のでかいお祭りカンバンが目に付いた。
なんだかレース気分が盛り立てられゾクゾクしてくる。
国を挙げての国際イベントなのだ。
そしてこれに出場する為に遥々やって来たのだ。
タクシーを降り、周囲を見渡すと数件のホテルが目に付く中で、
手近にあったMAREDIAS Hotelから当りをつけることにした。
実際にMAREDIAS Hotelの前に立ち中を覗くとなんとなく高級そうだ。
「滞在期間長いし粗末なホテルでもかまわないんだけど〜」
と、貧乏がしみっついた俺とハットリさんが気後れしているとカリ高クンに
「早く入りましょう」とカリたてられた。
「ハロ〜、俺達3人なんだけど2人部屋+エクストラベッド1ヶ追加で1ルームいくら?」
「314Dhでございます」
「長期滞在すっからまけてよ〜」
「300Dhでいかがでございましょうか?」
「俺達UAE Desert challengeのエントラントなんだけど、バイクとかあるし整備する場所
ある?」
「地下駐車場があります。セキュリティもバッチリです。御自由に御使いください」
「やっほー!決定!最高!よろしくね!」
(会話はイングリッシュね)
こうしていとも簡単に俺達のアジトはMAREDIAS
Hotel 516号室に決まり、
帰国までの13日間を借り切る事になった。
ちなみに100Dh /Day・人×13Days=1300Dh(約4万円ちょい)だが、
これは Hyatt Regency Hotelの2.5日分の宿泊費用である。
大変お安いのだ。
実際部屋は広いし、毎日クリーニングはされるし、当然シャワートイレ付きだし、
一風変わった俺達をこのホテルのスタッフは常に暖かく応援してくれていてほんと感謝した。
次なる行動は日本から発送したマシンとビールがぎっしり詰った荷物の
Getだ。
さっそ くUAS(UAEのシッピング会社)に電話を入れる。
責任者のムラッド氏とはPM1:00にホテルに迎えにくる約束をした。
それまで充分に時間があったのでホテル周辺の散策にでかけた。
いたるところにみられる日本企業の巨大な看板。
オリエンタルなアラビア文字の看板。 建ち並ぶビル。
行き交う車は日本車が多い。ベンツなんかも普通車感覚で走っている。
さすが中東の貿易の要となっている都市である。
人種はアラブ人と同じ位インド系の人が多く感じた。
活気のある都会の雑踏といった感じである。
カラッとした日差しが強く、気温は40℃以上ありそうだ。
じっとしているだけで汗が滲み 体力が奪われる。
しかし乾燥している為に、日陰はひんやりと涼しい。
耳元でけたたましくホンが鳴り響く。
「えっ?なに?なに?なに?ここはどこ?目覚し時計?あれっ?あっ、電話かぁ・・・・。」
っと完全に薄ら寝ぼけモードで受話器をとると相手はUASのムラッド氏だった。
空港ビバークで寝不足の俺達は、朝昼飯をインド系レストランで腹が裂けるほどエスニックな焼飯を詰め込み、
ホテルに戻るなり爆睡していたのだった。
「これから君達のホテルに迎えに行くから待っとってやー」ガチャ。
(というような内容であった)
数分後ホテルの前に1台のフォード エクスプロラーが停まり、中からアラブ特有の白装束(ディスダーシャ)
に身をつつんだ紳士が降り立った。
「Hello nice to meet you」
UAEで初めて出会うホワイトカラーが右手を差し出した。
ポートへはムラッドさんの顔なしには入る事が困難である。
何事も上下社会のアラブは 末端の人々にいくら頼み込んでも、どうにもらちが開かない世界である。
バイク受取りは俺達 3人が一番乗りであった。
ムラッドさんの指示でコンテナか らフォークリフトでマシンの積まれたパレットが運び出される。
山ほどの缶ビールが仕込まれた荷物をエクスプロラーに積み込み、俺らはバイクで再び
MAREDIAS Hotelに戻った。
バイクとビールさえ手に入れば後はこっちのものだ。
(イスラム国家のUAEは基本的にアルコールが御法度。酒を買うにはリカーライセンスが必要となる)
LIVE !な UAE生活に期待を込めて生温いビールで乾杯した。
「アーッ! うめえ!」