ハットリ談:(写真もbyハットリ)
何日めか忘れたけど、ゴージャスなリゾートホテル。
きれーなねーちゃんと一緒の部屋ならベストだが、相棒は青ちゃん。
そして手すりにはモトパンが干してある。
ゴージャスなリゾートホテルってすごくいごごちが良いし、綺麗だし...。
だけど、どこの国のものも一緒に思えるのはなぜだろう?

「マレー半島縦断」

クアラルンプールのグランドスタート前。
                                   タイのチームと違ってマレーシアの華僑のライダーは単車も日本製で裕福。
                                   3人のジャパニーズ&チャイニーズ
(俺の横は“香港スター”とあだ名を付けたハンサム君)
DAY4。今日からいよいよ本番のレースが始まる。
といっても、競技の行われる地点までは死ぬほど高速道路を走らなければならない。
国道添いを走っていると道端にある露店やバラックの茶店がやたらと目に付く。 赤や黄色や緑のラスタカラー
のフルーツがてんこ盛りになったカラフル屋台はどれもうまそ〜!
かたっぱしから立ち寄って食いまくりたくなってくる。
リエゾン走行でくたびれはててやっと着いたスペシャルステージ(競技区間の意 以下SS)は
全長140kmの赤土のロングダート。
 くそ暑いのとカットビ系で後半はダレてきた。

SS内の120km地点で先行したハットリさんが立ち往生していた。 タンクまで外していて、只事ではなさそう
であるが、止まらず先を急ぐ。後で聞くとスロットルケーブルの1本が切れたとのことだった。
SSゴール地点にある街がキャンプ地。キャンプ地とは言ってもちゃんと水シャワーの出るモーテルでのお泊りである。
グアムサンというこの街全体がイスラム教徒であるらしく、酒類は御法度である。

しかし、ビールを神と崇めるアルコール教のぼくちゃんとしてはこんな所で生き ていけるわけが無く、カリ高君が
ローラー作戦を展開し、数時間後チャイニーズ系(華僑)の店でリックいっぱいにビールを買い込んで戻ってきた。
モーテルの中庭でビール片手にマシン整備をしていると子供達がウヨウヨと寄ってくる。
   
みんな無邪気でかわいい子ばかりだ。 みんなそれぞれに適当にアダ名を付けてやり、インチキ英会話で盛り上がる。
部屋にはダブルベッドが一つだけであった。
「俺、ねぼけて抱き着くかもしんない」と言った時のハットリさんのヒゲ越しの薄ら笑いが妙に気になった為、
俺は床に寝る事にした。

「ブリーフメン」

DAY5。SSのスタート地点まではハットリさん、友紀ちゃん、カリ高君らと 水戸黄門御一行の様にランデブー走行。
友紀ちゃんの茶目っ気のある走りとケツがかわいく、平和を感じるひと時である。
今日の一発目のSSは、ついに登場のジャングルRUNである。
時折現れるガレ場の上りにはカメラマンがいたりして、スタックすると末代までの恥である。
頭上に覆い被さる葉っぱやら木の枝を避けながらのハイスピードジャングルは大変楽 しく、アップダウンの先にある
ウオッシュアウトにひやりとする。

一度、黒々としたバカでけえコブラを踏んずけて
「うっ、うわああああああああああああああっ!」と悲鳴をあげてしまった。

 ゴール地点には先頭集団がたむろしていた。
その中には転倒の際、頭を強打し記憶喪失状態になっている行木君や鼻血をブーっと垂れ流しつつ子供の目を している
“真珠”(中島明彦)の姿があった。
ハイスピードではあるが、時としてウオッシュアウトや見通しのきかない 段差が存在し、ブッ飛ばし系のライダーは
大クラッシュにつながっていたようだ。

俺自身も木の幹を顔面シャワーじゃなかった顔面ヒットし、ほっぺたから血が したたり落ちた。
次のSSは材木を満載した大型トラックがガンガン対向してくる林道である。
こんなトコでレースやるのぉ?マジ?はっきり言ってブッ飛ばせる環境じゃない。
走りを完璧にツーリングモードに切替えて慎重にちんたら走った。 そしたら、…アハハ、このSSでなんと最速タイムで
トップを獲っちまった。
どうやら俺はミスコースをやらかし、そのあげくルートをショートカットして1番になってしまった らしい。
ゴール地点にはサラサラと川が流れていて、みんなライディングパンツを脱ぎ捨て水遊びしている。
「気持ち良さそー」と飛び込んだら川の水はすげえぬるかった。
水遊びする華僑ライダーの白いブリーフ越しに、魚拓の如く浮かび上がるナニのかたちが瞼に焼き付いた。

本日のメインイベントでハットリさんとともに大変楽しみにしていたヒル クライムのSSはキャンセル。
レースをしつつ移動していくうちに、いつのまにやらマレー半島を横断したようだ。
今日のお泊りは南シナ海に面するリゾート ホテル。このホテルはたいへん豪華。
マジでレースのヒラヒラカーテン付きのベッドの ある部屋はとってもラブリー。
次は絶対子猫ちゃんと来て、朝まで狂ったように愛欲におぼれ、夜明けの海を全裸のまま泳ぐぞ〜うひひひ・・・。
なーんて妄想にひたりつつ、振り返ると・・・・
ヒゲ面のハットリさんがトランクスから 横チン出してヒラヒラカーテンベッドに横たわっていた。

     

ひと休みしたところでマシン整備に出かけた。
タイヤ交換していたら、近くで外したタイヤを持ってウロウロしている日本人がいた。様子を伺っていると、
こいつはタイヤ交換のやり方がわからなくて友達に やってもらおうとしているらしい。
「まったく一人でタイヤもろくに替えらんねえのか?それで海外レースかぁ?ざけやがって、タコスケ!!」
と聞こえよがしにつぶやく。
となりではタイのライダー連中がもくもくとアンダーボーンのピストン交換をしている。

かったるいマシン整備はサクサクと終わらせてバイキングディナーに向かい、 金に糸目をつけずたらふく生ビールを飲む。
席上で友紀ちゃんが今日の2本目のSSで大クラッシュしてリタイアしたと聞く。彼女は全身打撲で部屋で寝ているようだ。
キャピキャピといい味をだしていた 彼女だが、「水戸黄門御一行の由美かおる死す!」である。
ハットリさんカリ高君と共に、酔った勢いでバルコニーによじ登り、夜這い みたいに彼女の部屋に見舞いに行くと、
彼女は無理度120%でひきつりながら作り笑顔をしていたが、その目は完全に死んでいた。
明日からは再び男だけのホモホモ肛門様一行の世界となる。かなりさみしい……。

「さて寝るか」と部屋に帰っていく途中、さきほどのタコスケが昼間のライディング姿もそのままに汗みどろに
なってやってきた。
「おい、タイヤ交換できたんか?」ときくと、「ハイ!」、といい顔して答えた。
かれこれ6時間もスペシャルディナーそっちのけでタイヤ交換をがんばったようだった。

ハットリ談:ちなみに、青沼氏は、温和な顔をしているが言葉はきついのである。
     しかし『笑いながらおこる人』がいるように、言った相手にはあまり効かないのが難点である。
     カリダカ君も同様に、言葉はきついのである。
     しかし、口を尖らせて言うために、やはり相手にはあまり効かないのである。




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