第6巻第9号      【全面広告】     1993/6/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, kazmori@gipnc.shinshu-u.ac.jp)



 全国の読者に先駆けて、発行前にメチャクチャ面白い本を読んでしまいました。実は、私が翻訳した本なのです。というわけで、以下には何を書いても「手前みそ」のように思われてしまうかも知れませんが、これは本当に面白い本です。どのくらい面白いかというと、(1)原書を読んですぐこれは翻訳すべきだと決断し、出版社に連絡した。(2)仕事を家庭に持ち込まない方針だったのに、家でまで翻訳の仕事をしてしまった。(3)学生の卒論指導でもついこの本の話になってしまい、そのまま学生の卒論につなげてしまった。(4)ラジオにまで出て、この本の話をしている。(5)今年は公開講座もこの本の話だ。というように、もうほとんどビョーキです。その本が、ついに発売になったのです。これはもう、紹介せずにはいられません。(なお、この本は、私ども夫婦共同作業の成果でもあります。第1作(面白いと評判)、第2作(カワイイと評判)同様、この第3作目も評判になるといいのですが。)

【これは絶対面白い】

T.ギロビッチ『人間この信じやすきもの』

内容紹介

守一雄・守秀子訳、新曜社 \2,987


「新聞を読みながら、ふと昔の友達のことを思いだし、次のページをめくってみると、そこにその友達の訃報が載っていた」というような経験をしたとき、ほとんどの人は、これを単なる偶然として片付けてしまうことはできないであろう。こんなことが偶然に起こるとは思えないからである。そこで、「虫の知らせ」といった超自然的な力の働きを信じてしまうことになる。ノーベル賞物理学者のアルバレスの試算によれば、こうした経験をする確率は1年間に10万分の3回程度に過ぎないという。(そこで、ほとんどの人は一生を通してこんな経験をする機会はほとんどない。)しかし、新聞を読む世代の人口が1億人もいれば、その国全体では毎年3千人もの人がこうした経験をしていることになる。つまり、こうしたことは偶然によって頻繁に起こっていることなのである。
 こうした例の他にも、私たちはたくさんの迷信や誤信を持っている。超能力やUFOの存在、ある種の健康法の効果、スポーツ界に多くみられるジンクス、宗教、星占い、数え上げればきりがないほどである。この本では、そうした迷信や誤信がなぜ生じるのかについて、社会心理学や認知心理学の研究に基づいて科学的な説明がなされている。なぜ、どのように誤信が生み出されるのか。それが、なぜ信じられ続けるのか。そして、こうした誤信の背景として、そもそも私たち人間はどのように判断したり推論したりしているのか。さらには、こうした誤信を持たないためにはどうしたら良いかが、身近な誤信の例を使ってわかりやすく説明されている。訳者としては訳文も原書をアメリカ人読者が読むとき以上にわかりやすいものにしたつもりである。(たびたび私事で恐縮であるが、93歳になる家内の祖父にも読んでもらったが、「わかりやすくて面白い」と喜んでいた。)
 と、ここまで読んできて「この本は確かに面白そうだ」と信じてしまったアナタ。アナタは要注意です。アナタのように信じやすいタイプは、ぜひこの本を書って読む必要があります。今後の人生で重大な誤信に陥らないためにも、ここは一つ騙されたと思ってこの本を買いましょう。それでも、3千円はやはりチト高いとおっしゃる方には、研究室(北校舎2階N224)までお越し下されば、2割引の\2,400でお譲りします。                         (守 一雄)
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