第3巻第3号                    1989/12/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY


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毎月1日発行[発行責任者:守 一雄]

(PDC00137, dmori@c1shin.cs.shinshu-u.ac.jp)



  1989年も、というより、1980年代もあとわずか一月を残すだけとなりました。さて、年が明けるとすぐ卒業論文の締切です。例年、DOHCの12月号は「どう文章を書くか」に関する本の紹介をしてきましたが、必要な人はバックナンバーを見てもらうことにして、1989年最後のDOHCは、ぜひこの本を紹介したく思います。(DOHCの87年10月号(創刊号)で、宇佐美寛氏による国語教育批判の本を紹介しておいて、この本を紹介しないのは不公平なのだ。)「また、別冊宝島か」と言われそうですが、面白いものは面白いんだからしょうがないのです。                        (守 一雄)

【これは絶対面白い】  

副島隆彦『欠陥英和辞典の研究』

(別冊宝島102JICC出版局、\1,010)


 早稲田大学法学部を卒業後、銀行の外国為替セクションに3年半勤務、その後、退職し、現在は代々木ゼミナールの講師という経歴の著者が、天下の研究社を相手取って、真っ向からケンカを挑んだ本。直接的に批判の対象になっているのは、研究社発行の『ライトハウス英和辞典』であるが、結局は、研究社自身の姿勢、ひいては日本の英語(教育)学者(つまり、大学の英語学・英文学の教授たち)が痛烈に批判されているのである。さらに、返す刀で、外国人語学教師から、今はやりのバイリンギャルまで、めったぎりである。痛快剣豪小説よりもずっと面白い。
 研究社は、この本の出版後すぐに、異例の記者会見を行なって、対決姿勢を見せている。しかし、副島氏の言い分の方が正しいと私は思う。副島氏の言い分の正しさは、「原発が危険だ」ということに気づいた広瀬隆氏の言い分に似ている。それは、専門家ではないけれど分別ある大人が、素朴に感じることに基づいているだけに、説得力があるのである。恐らく、研究社側は、いろいろ難しい理屈をこねあげて反論をするだろうけれど、それらは「反論のための反論」に過ぎないものになるであろうことは目に見えている。それでも、天下の研究社と言っても、実は小さな出版社に過ぎない。この件で、研究社が大いに反省するのはいいけれど、つぶれてしまったらこまるなぁ。(もう十年以上も前の話だが、都内にいた頃、中央線で飯田橋付近を通ると、お堀の反対側に研究社の本社ビルが見えた。そのビルは、古ぼけて小さく、数軒先の『週刊少年チャンピオン』の秋田書店の新しい立派なビルと好対象だった。)一方、英語教育界はダンマリをきめこむようである。こちらの方は、大いに反省して、かつ、つぶれてしまってもいいのだけれど。                (守 一雄)

【これも面白いヨ】  

別冊宝島101「地球環境・読本」(JICC出版局、\1,010)

 環境保護派を自認するあなたに絶対おススメです。(守 一雄)
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html化1996.5.18