[本編]


 トライアル観戦のポイント。


◇用語説明(1)


 トライアル用語の簡単な説明。
 詳細は、他のトライアルサイトを参照のこと(爆)

・基本


 トライアルは、タイムを争うモータースポーツと違い、いかに「上手く」走るかを競う競技であります。

 選手は、トライアル場内に設定された8〜15のセクションに一人づつトライし、すべてのセクションを走りおえた時点でより少ない減点であった選手が勝者となります。


 競技の魅力としては、自然を利用した様々な地形を次々とバイクでクリアしていく選手のテクニックを見ることもですが、他のモータースポーツでは選手と観客が明確に区切られているのに比べ、トライアルは選手と観客の距離が非常に近いのが大きいですな。

 「観客席」という物が存在せず、セクションラインの1m外側に引かれたラインの外側であれば、どのセクションのどの場所でも自由に観戦することが出来るし、セクション間の移動では観客も選手も同じ道を通るので、IASクラスの選手が*********。


 ついでに、セクション間の距離が(今回は)1周4kmほどあるので、3ラップすべてを追いかけると、15km近い山歩きも楽しめる訳で(笑)


・セクション


 点数の対象になる区間のことで、会場である敷地(大抵は山の中)にいくつも設定されます。
 アウトドアトライアルの場合、河原・山肌・崖・池といった自然の地形をテープ・マーカ等で囲い、そこに作られた入り口から出口までの区域が1セクションになります。

 同時にセクションに入れるのは、選手一人のみ。

 選手は、いきなりセクションにトライするのではなく、バイクを降りてセクションを歩いてチェックし、走行ラインやギアなどをチェックした上で初めてトライに入るのが普通です。

 大抵、上のクラスの選手ほど下見に時間をかけるので、スタートはクラスが低い順ですな。


 ちなみに、入り口から入りセクションを開始するのを「セクションイン」、出口を抜けクリアするのが「セクションアウト」。
 トライアルで「スタート」「ゴール」と言ったら、1日のスタートと全セクションが終わった後のゴールを指すので、捉えちがいに注意。


・点数


 セクション内で足をついたり転倒すると、それによって選手には減点ポイントが加算されます。
 一つのセクションで加算される点数は、最小0点、最大5点。

 0点でセクションアウトすることを「クリーン」と呼び、まさにそのセクションを「クリア」したことになります。
#基本的にセクションはクリーン出来るように設定されていますが、気象条件によってはクリーンが物理的に不可能であるセクションになることも‥‥。

 選手はクリーンを目指しますが、難易度の高いセクションではあえてクリーンにこだわらず、足つきで減点されても最悪の5点を取らない様に攻略することもあります。



 ちなみに、コースアウトに「セクションテープオーバー・切断」とあるのは、まさにその通りで、セクションテープを跨がず、切断しなければ、タイヤでセクションテープをちょっと押してセクションを広くするテクニックも可デス(笑)


・ラップ


 レースが行われる会場に設定された全セクションを一周するのが1ラップ。
 1ラップのセクション数に応じて、1日に2 or 3ラップまわってゴール、レース終了となります。

 IA/IASクラスだと、合計32〜35セクション、総セクション長4〜5kmを走ります。
 今回は1ラップ11セクションなので、3ラップのレースになってます。


・IB / IA / IAS


 トライアルレースに参加出来るライセンスの種類で、国際B級(IB)、国際A級(IA)、国際A級スーパークラス(IAS)の区分がある。

 ランクはもちろん IAS > IA > IBの順なのだが、実際には、 IAS >>>>> IA >> IB 位の実力差がある(笑)

 IBは手弁当で参加しているサークルやIAへのステップとして、IAは個人の実力者やワークス・ショップの契約ライダーがひしめき上位はIASへのランクアップを狙うクラス。
 IASはメーカ契約のワークスライダーがほとんどであります。


 ちなみに、IAS国内トップが藤波貴久選手でありますが、今シーズンは世界トライアル選手権大会(wct)に専念する為、国内大会は第8回のみ参加予定。
 つうか、彼が全シーズン参加したらIASのダレも太刀打ち出来ないデス(笑)
 なんせ、wctランキング2位の藤波選手に勝つってことは、wctで1位になるってことでありますから‥‥。
#国内IASトップ2の黒山選手も、wctでは去年は8位でしたからな。


・制限時間


 今シーズンから制限時間が若干変更になってます。



・マインダー / メカニック / サポート


 一般的にはマインダー、JTRではメカニックと呼んでいますが。
 トライアルでは、選手と一緒にセクションに入り、選手のサポートをするメンバーが一人まで参加できます。

 一緒にセクションに入って選手からは先の見えない場所で助言をしたり、破損しやすいパーツの予備を持ち歩いたり、審判との交渉をしたり、タイムをチェックしてセクションやラップのペースを調整したりする、ラリーで言うコ・ドライバー的役割。

 しかし、一番重要な仕事は、転倒したときにバイクが落ちないように支える役割かもしれませぬ(爆)


 wtcレベルになるとベテランを専属契約するのですが、国内大会だと、IASでもオヤジとか兄弟がマインダーを勤めることが多いですな。

 ついでに、セクション内に入れるマインダー以外に、セクション外からサポートするサポーターもいたりします。
 主に、タイム計測や荷物持ち、全体的な助言なんかを担当してますが。
#コレも大抵身内で、兄弟とか妹とか(ってダレの事かバレバレ(爆))おかんとか‥‥。


・審判


 1セクションにつき3人の審判が選手の走りとタイムをチェキ。

 写真に映っている審判、ピースとかガッツポーズしているみたいに見えますが、コレは選手の減点をチェキしているんであって、別に写真写りを気にしている訳ではありません(爆)

 しかし、審判同士はもちろん、観客も選手も審判の手を注目しているのに、たま〜に、選手がセクションアウトするまで出していなければいけないハズの手を勝手に引っ込める審判がいたのはちと‥‥。


◇用語説明(2)


 技術(?)用語の説明。


・ステアケース / ステア


 トライアルにおいて、もっとも見せ場となるポイント。

 定義は「前輪を上げて段差の上を越え、後輪を段差にあてて反動で車体を上げる」テクニック。

 しかしトライアルの大会では、ジャンプの着地点が踏み切り地点よりも高い場所にあり、飛距離よりも高さが長い地形、およびそのジャンプを特にステアケースと呼ぶことが多いですな。
 ステアはその略称。
#四輪のステアリングとは別物(笑)


 ハードなヒルクライムを除くと、どのセクションにも大抵ステアが設定されていて、観客には絶好の観戦ポイントとして人気。
 しかし、失敗すりゃマシンが落ちて壊れるわ自分が落ちて痛いわで、選手にゃ憂鬱なポイント(笑)


 IBクラスだとせいぜい1m程度のステアでありますが、IASやwctになると、高さ3mっつう設定する方もアフォだがクリアする方もバケモノだというビッグステアにチャレンジしたりします。
 つうか、人力でも上れねぇヨ!(爆)

#ちなみに、世の中で最高のビッグステアが見れるのは、インドアトライアル世界選手権ですな。


・ヒルクライム / ダウンヒル


 山肌を一気にかけあがるポイント。

 傾斜は45度〜60度にもおよび、まさに絶壁。

 兎に角後輪に荷重を乗せて、迷わずにアクセルを開けて一気に登るべし。
 でも、アクセルを開けすぎても、リアタイヤがスリップして失敗するんですが‥‥。

 クリーンか5点か点数が極端に分かれるので、選手から見ればレースの組み立て上の重要ポイントだけど、観客から見るとイマイチ地味なので盛り上がりにかける(爆)


・ダウンヒル


 ヒルクライムと同じような斜面を、今度は真下に向かって降りる、っつうかライダーから見れば「落ちる」と言った方が正しい。
#スキーのジャンプ台(Lヒル・Nヒル)を見学したことある人なら判ると思いますが、上から見るとまさに絶壁であるアレ、実は、傾斜が37〜38度ほど。
#トライアルのダウンヒルは、距離は短いとはいえ50度とかの斜面を降りることもあります。

 下った後にセーフゾーンが無いから、転倒したりオーバーランすると目の前の観客席に突っ込むので選手は胃が痛いのですが、観客は平気で観戦ラインギリギリまで詰めて見ている(笑)


 難易度で言えばヒルクライムよりも上なのですが、地味具合もまたヒルクライムよりも上(爆)


・エアターン


 登り斜面から頂点で方向転換するポイントで、登り切った後にハンドルで方向を変えるスペースが無い場合、斜面を登り切る直前にアクセルを吹かして頂点でジャンプし、そのまま車体を向けたい方向に空中で方向転換するテクニック。

 一部のタイトなポイントで必須なテクニックではあるけど、大抵、たるいセクションで見せ技として披露する選手が多い(笑)
 ‥‥、渋谷選手とか(爆)