抗ガン剤治療


治療を進めるに当たっての状況など、これも父が知人の医師に相談のために出した手紙より紹介します。


10月21日(火)

長野朝日病院、山田副院長さまに今後の治療方針を伺いました。
本人(徹)父、母、兄の4人で話を聞き、おおよそ納得をし抗ガン剤治療に入ることになりました。

徹君の体力の回復が著しいことから、早めに抗ガン剤治療に入りたい。10月29日朝に入院してワンクールをやる。
いま考えている方法は、
1、シスプラチン+5−FU  2、LV(ロイコボリン)+5−FU の組み合わせの2通り。状況を見ながら判断したい。

約20時間、持続点滴でガン細胞をたたく。副作用も考慮して、利尿剤や座薬(ナウゼリン)も併用する。
ワンクール実地後、次の打つ手を考えよう−−ということでした。

本人にも、胃の低分化腺ガン(アデノカルノーマ)は抗ガン剤が効きにくく、奏効率 30〜37%であること、点滴のやり方、副作用は人それぞれ反応度が違うこと、などなど分かりやすく説明していただきました。
他に、カンプトテシン(ヤクルト)や、NK活性→杏林大学教授と連絡によって、使えるか否かも含めて考えるとのことでした。

家族としては、何でもやってガンと闘おうーと心に決めておりますが、読む本読む本どれにも「ガンは克服できる」というようなことを書いてあり、素人知識だけが頭に満杯になりまして、その点も山田先生に申し上げ、親としても指導をうけているところであります。


H9年 11月2日

息子 徹のガン治療の件について、FAXさせていただきます。

10月29日(水)
長野・朝日病院に再入院して抗ガン剤治療のための検査をすすめてまいりました。

本日、11月2日(日)
患者本人と、私ら家族全員が、主治医の山田副院長の説明を聞きました。

「種々の検査をすすめてきた結果、徹君は体力、年齢など、抗ガン剤治療に耐えられるので、前回説明した抗ガン剤より、さらに奏効率の高い薬を使いたい。総じて説明するので、本人や家族で相談してほしい」

新たに使う薬は、カンプトテジン(CPT−11)、商品名はトテポシン(塩酸イリノテカン)開発はヤクルト、製造は第1製薬のもの。
最近に厚生省認可になった薬だが、特定の医療機関でしか使用出来ない。

これまでに報告されたものの中で、16例中9例(56%)
又、他の報告では、       40例中19例(48%)

つまり奏効率は48%〜56%という、この種の抗ガン剤では極めて高い奏効率を示している。
副作用についても、嘔吐、下痢に悩まされるが、それの対応のノウハウも心得ているので、CPT−11の使用に同意していただきたいーとのことでした。

腫瘍マーカーは、正常値、CEA 0.6 CA 5 
他に白血球や血小板にも異常がないので、いまが抗ガン剤治療のチャンスと考えている。

以上が、本日私たちが説明をうけた内容ですが、総体的に極めて厳しい現状のことは、全く変わりません。
主治医の山田先生と、患者本人との関係もとっても高い信頼関係にあり、私とも家族も本人の意志(選択)に任せようと思います。
本人は「明日、先生に返事する」といっておりますので、いよいよ抗ガン剤治療が始まるのだーと心を引き締めております。
まずは点滴(ハイドレーション)から始まります。


以上、抗ガン剤治療にあたっての状況など、父の手紙より紹介しました。

厳しい現状のなか、なんとか治って欲しく、抗ガン剤の他にも免疫療法や民間療法などいろいろとやりました。弟が飲んでいたガンに効くと言われる薬や健康食品は、1つや2つではありませんでした。この時、傍目にはまったく病人には見えなかった弟も、体の内部では病気が進んでいたのでしょうか。抗ガン剤治療にも、不安を感じながらもいつも明るく振る舞っていました。

 

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