退院時


退院時の様子を、父の手紙より紹介します。相談のため、知人の医師に宛てた手紙です。


ごぶさたしました。
あたふたしているうちに、もうすっかり秋です。野沢の紅葉も盛りとなりました。

息子、徹の件については、アドバイスありがとうございました。
すっかり元気(のように見えますが・・)になって、昨日(13日)慈恵医大柏病院を退院して、自宅に戻りました。

見た目では、すごく元気です。若く、鍛えた体なので、信じられないくらいに回復してきました。今後の治療については、長野市の朝日病院で相談しながらやろうと心に決めておりますが、退院に際して、執刀していただきました慈恵医大の古川良幸講師の説明を聞きました。

病理検査の結果、やはりリンパ節への転移が確認されました。
摘出したリンパ節 29カ中、5ヶに転移が確認されたことや、腹水にも確認されたことなどから、体中にガン細胞がばらまかれるという、腹膜播種の状況ということです。

病名は、低分化腺ガン、アデノカルノーマ
開腹時 P(+) 腹膜転移度 P3 ステージ5の末期ガンの所見

私の方から、以前から記をしておいた抗ガン剤の
1、超大量化学療法の件
2、シスプラチン+5−FU の組み合わせ
3、メトトレキサート+5−FUの組み合わせ
などについて治療方を質問いたしましたが、それぞれに説明を受けましたが、可能性は厳しいとのことです。

そこで、いくつかの選択肢の中から、
『いったん退院して元の生活に戻し、好きなことをやらせて体力回復を待ち、必要に応じて集中的治療を施す』ことにいたしました。

私は、これから朝日病院の山田副院長と面談してまいりますが、山田先生は徹のために、北里研究所で開発している、NK活性の免疫療法を注目している様子で、週末のガン治療学会で、関係者とのアポイントメントをとったそうであります。心配は、胃ガン患者にどうかーという点ですが。

今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます。


以上、父の手紙より載せました。

若くて鍛えているから、医者も驚くほどの回復の早さだった。しかし、若さゆえ病気の進行も早かった。
手術から退院までの間、何度か病院を訪ねたが、本当に回復の早さには驚かされた。手術なんかまるでしていないかのように元気だった。ものすごい食いしん坊の弟は、すぐにいろんなものを食べたがり、看護婦さんを困らせていた。
ただ、オリンピックを目指せなくなったという現実に対しては寂しそうだった。それでも私の前では強がってみせ、「お父さんには、4年後までオリンピック待ってもらわなくちゃな」と言って、復活を信じていた。私もそんな元気な弟を見て、復活を信じ、そして前向きにいきている弟に勇気づけられた。

 

戻る