祝 日中国交正常化30周年
平和・友好・共生の理念のもと
 新たな友好の地平を築こう
                  (長野県日中友好協会ニュースN0.156号より)


 2002年も、早半年余りが経過しました。日中国交正常化30周年の秋に向けて取り組みを強化していきたいと思います。
 歴史の教訓に学び、21世紀を平和・友好・共生の世紀にという願いを掲げて、英知の光をよみがえらせ、混沌とした激変する現代に生きる指針としていきたいと思います。  
  本年、日中国交正常化30周年を迎えて、私たちは内山完造先生 (初代全国理事長)や半田孝海先生(初代県協会会長)らの日中友好の先達が日中戦争の痛恨の反省を踏まえて、日中不再戦・永久平和の願いのもと、友好協会を設立し、多くの人々に情熱をもって語りかけ、東西冷戦の厳しい環境のなか、友好運動を進め、国交回復に向けて細く険しい道を広げてきたことを思い起こしたいと思います。
 今や、日中関係は、復交以来30年の成果の上に、往復の貿易額891億ドル、人的往来250万人、中国への進出企業件数2万件という状況となっています。一方で歴史認識問題や経済摩擦問題などがあり、また、相互不信を払拭し信頼を深め、世代友好をいかに実現するかという課題があります。
 歴史認識問題とは日中戦争に対する反省の問題です。靖国公式参拝や歴史教科書問題といった形で、幾度となく繰り返され、その度に政府間のぎくしゃくと両国民間の不信のぶり返えしとして現れました。これは、成果を半減させ、更には台無しにする、行為と言えましょう。そしてそれは、我が国の中国や韓国、アジアと世界に対する発言権をも弱めてしまうことになります。「日本人は、戦争の反省ができれば、大国民になれる」との堀内前会長の言葉は大変重いものです。
 経済摩擦の問題は、日中の経済協力関係がここまで深まっている以上、相互補完・互恵関係を率直に認め、日中韓が新たな東アジア経済協力の柱をなす方向で、調整解決すべきです。その中にこそ、日本経済再生の道筋も見えてくるでしょう。
 21世紀、日本は、ただアメリカの後について行けば良い言うことでは許されない環境におかれています。アジアの時代を迎えて、中国や韓国をはじめとしたアジア諸国との互恵・信頼の関係を深めて行く努力が一層必要となっています。
 中国のWTO加盟と2008年の北京オリンピック開催は、中国が(台湾政策も含めて)平和環境のなかで、改革開放を継続して進めて行くことを内外に宣言し、保証していることになります。
 アメリカの要請に応えて、有事に備えるという掛け声で、かえって中国との関係を緊張させて行くのでは、本末転倒です。「日中友好は最大の安全保障」という宇都宮徳馬先生の言葉をかみしめたいと思います。
 昨年の中学歴史教科書問題に見られるような極端な右傾化・民族排外主義の台頭は、有識者の憂慮するところとなっています。友好協会は、右傾化の潮流に惑わされること無く、平和・友好・共生こそが日本の前途を開くという信念をもって大小の友好交流活動を進めましょう。思想・信条・政党・政派の違いを越えて、平和と友好の新たな地平を築いて行きましょう。
 21世紀に入り、戦中世代は70・80代となりました。その重い体験を戦後世代に伝えることが必要です。若者も、その体験に学ぶことが必要です。そうした意識的な取り組みが、戦争体験の風化を防ぎ、平和の風化を防ぎ、友好信頼の土壌を形作るのです。元満州開拓団関係者の聞き取りの会や、資料保存の動きが現れています。青年委員会メンバーの戦争体験を聞くミニ講座等も開催されています。また、後継世代育成の為に地区協会の中に、青年委員会や女性委員会を設立して、その受け皿を作ることも大切です。
 この7・8・9・10月には、30周年の記念事業として、日中友好都市中学生卓球交歓大会、中国雑技団「ムービング」県内公演、記念シンポジウムと祝賀の集い、女性北京の集い、杭州青年フォーラム、また日中友好キャンプや、留学生ホームステイ等の行事が予定されています。力を併せて真剣に取り組み、成功を勝ち取りましょう。またこうした友好交流活動を通じて友好に関心を持つ新たな仲間を迎え入れましょう。


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