首相をはじめとした閣僚の靖国神社公式参拝に反対する決議


 靖国神社への参拝問題をめぐって小泉首相は、「戦没者への敬意を捧げるため、総理大臣として靖国神社へ参拝するつもりである」と明言した。
 しかし、この問題は、戦争犠牲者を追悼する問題とは全く次元を異にしている。靖国神社がいわゆるA級戦犯を合祀していることから、近隣諸国の国民の間に、我が国がこれまでに表明してきた過去の戦争への反省とその上に立った平和友好への決意に対する疑念と不信を生んでいる。
 わが国は、日中共同声明において「日本が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについて責任を痛感し、深く反省する」と明記し、さらに、日本政府の歴史認識としての公式見解である村山首相談話で「痛切な反省とおわびの気持ちを表明する」ことを明確に国際社会に向けて発した。
 首相・閣僚らの公式参拝に対して、わが国の侵略によって甚大な犠牲と被害を被った中国や他のアジア諸国から、すでに厳しい批判と反発が起きている。このまま公式参拝が行われるならば、近隣諸国とわが国との友好関係に悪影響を及ぼしかねないことに、強い懸念を抱かざるを得ない。
 1986年8月14日、後藤田内閣官房長官は、国際関係の重視ならびに近隣諸国の国民感情に対する適切な配慮など諸般の事情を総合的に考慮し、8月15日には内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝は行わない旨の官房長官談話を発表した。わが国が置かれている客観的な状況は現在においても、当時と基本的に変わっていない。
 よって、われわれは、政府に対し、首相をはじめとした閣僚の靖国神社公式参拝を見合わせるよう強く求めるものである。
                     2001年6月19日
                     社団法人日中友好協会第三回通常総会

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