歴史の改ざんと歪曲を許さず、国際連帯の強化をめざす緊急アピール

 自由主義史観を唱える「新しい歴史教科書をつくる会」の主導で編集されている中学歴史教科書が、さまざまな策動により文部科学省の検定に合格する可能性が高まっている。
 「つくる会」の主張は、侵略戦争の事実を隠蔽し、歴史認識をねじまげようとするのであり、われわれとしても強い懸念をもつものである。
 また、「つくる会」は「南京大虐殺」「従軍慰安婦」など彼らが「反日的・自虐的記述」であると主張する記述の教科書からの削除を意図して、多くの地方議会で、「教科書検定基準の見直しに関する意見書」の採択を画策するとともに、「教育委員会の採択権の空洞化」を理由に教科書の選定から「つくる会」の主張に反対する教師を排除しようとしている。
 こうした一連の動きに対して、韓国や中国などアジア諸国をはじめ国内外から懸念と非難の声があがっている。
 森首相の「神の国」発言や石原都知事の「三国人」発言、「日の丸・君が代」の強制、憲法や教育基本法の改悪などと同様に、排外主義と国権主義の台頭のあらわれの一つとして警戒しなければならない。
 われわれは、現行憲法の平和・人権・民主主義の精神を堅持し、アジア諸国をはじめとした反差別国際連帯のとりくみを強化するとともに、反戦平和・民主主義を希求する学者・研究者・労働者、市民との連携した戦いをすすめ、こうした「自由主義史観グループ」の危険な策動を阻止し、歴史の改ざんと歪曲を許さず、人権・平和・環境、民主主義の確立に向けて国内外の心ある人びととの共闘を強め断固として闘うものである。

2001年3月4日
部落解放同盟第56回全国大会

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