歴史の歪曲を許さない
21世紀を平和・友好・共生の世紀とするために
                                  (長野県日中友好協会ニュースNo149より)     

 21世紀もスタートから既に3か月が過ぎようとしています。新世紀を平和・友好・共生の世紀にしようとの誓いをこめて1月16日には「新世紀の日中民間友好宣言」が日中両国17団体の連名で発表されたのは周知の通りです。昨年秋の朱鎔基総理の訪日を通じて日中関係の雰囲気は大きく好転し、喜ばしい状況のなかでの宣言発表でした。私たちは、共にこの精神を守り、新世紀の友好を発展させて行きたいと思います。
 一方で警戒しなければならない動きもあります。「新しい歴史教科書を作る会」の中学歴史教科書検定をめぐって、いま国内および中国・韓国・アジア諸国の注目が集まっています。「日本と中国」3月5日号で取り上げられていますように、この会の作った歴史教科書はきわめて問題が多く、なかでも日韓併合や日中戦争・太平洋戦争に対する基本姿勢として、「アジア解放の正義の戦争」としており、アジアでも世界でも全く通用しない史観を産経新聞などの後押しを受けて宣伝に努めています。彼らは「歴史の反省」を語ることを「自虐史観」と嘲り、自らを「自由主義史観」と位置づけ、戦前の「皇国史観」の焼き直しで都合のよい歴史を再現しようとしています。20世紀前半の戦争の悲劇を再び繰り返すこと無く、その教訓を活かして、21世紀を平和・友好・共生の世紀として行こうという願いを真っ向から否定する彼らの意図に注意を払い、民族排外主義(自民族優越主義)の世論作りを進めようとしている状況にNOを突きつけて行かねばなりません。
 社会的経済的危機の時代にネオ・ナチズムや超民族主義・国家主義が現れているヨーロッパの傾向と軌をいつにしているとの識者の指摘もあり、各界に警戒と批判の声が上がっています。協会はまさに日中戦争の真摯な反省の上にたって軍国主義的錯誤を改め友好を進める決意の中から誕生しました。「歴史をかがみとし、未来に向かう精神をもって日中友好を発展させて行く」のか、「歴史を勝手に歪曲し、アジアと世界の国々と人々の信頼を台無しにする」のか、問われています。
 時代の雰囲気は、ある日突然ではなく、しかし、気がつくとあれがその転換点であったかと思われるように変わって行くものといわれます。私たちは心しなければならないでしょう。故花岡会長は折にふれて強調しておられました。−−「社会が日中友好協会に期待しているものは日中関係の大局に影響を及ぼす動きについては、必ず発言し、道理をもって熱意をもって人々に語りかけるべきである」と。
 「日中両国が、ともに価値観の大変化を伴う変革の時期にある今こそ、お互いの理解を増やし、信頼を深め会うための、特に若い世代による心と心が触れ合う交流を進めることが何より大切だと考えます。」(平山郁夫全国日中会長)
 日中友好の50年の成果を守り、両民族の溝を埋め、親近感や関心を両国の若い世代に引き継いでもらうことは焦眉の急となっています。私たちは「日中の平和・友好・共生」こそが、日本の前途を開くものであるとの確信のもとに、長期的視点、信頼の視点をもち、粘り強く12億中国人民との交流を進めていきたいと思います。


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