変革の時代、若い世代の心のふれる交流を
                    平山郁夫全国日中会長の新年会でのあいさつ

 日中両国が、ともに価値観の大変化を伴う変革の時期にある今こそ、お互いの理解を増やし、信頼を深め会うための、特に若い世代による心と心が触れ合う交流を進めることが何より大切だと考えます。


大江健三郎氏−−21世紀への提言(「信濃毎日新聞」)

 日本人はアジア特に中国の経済と環境問題の為に役立てばいいと思っています。日本人は、今まで、経済繁栄のために、世界をアジアを利用してきました。こうした態度を転換し、アジアの政治・経済の充実の為に働ければと思います。
 人口問題を考えるだけでも次の百年間では中国がいちばん大きな困難な場所になるでしょう。しかし、いちばん大きな希望の場所にもなり得るかもしれません。中国がうまく行けば、21世紀を生き延びる良いモデルができると思うし、それを願っています。
 日本の民主主義が後退し、ナショナリズムが前進してしまうことを心配しています。教科書問題でも戦争犯罪を忘れ、歴史の汚点を消してしまおうとしていますが、それには全く反対です。子供たちに日本が中国を侵略したことや南京の虐殺について教えればいい。広島や長崎でどういう苦しみを味わったかも教えればいい。その上で、立ち上がってきた日本人というものを誇るべきだと思います。
 そのためにはやはり、今の民主主義、戦後の民主主義を大切にする態度を持たなければなりません。ところが、今、社会から民主主義の気風が無くなってきています。個人の内面の民主主義は決して失われていないと思いますが、社会の民主主義、たとえばデモなどは弱くなった。民主主義が衰えれば、日本はまたもしかしたら超国家主義の国家になるかもしれない。ゆるやかなナショナリズムから超国家主義に移る時間はナチスを見ても非常に短いのです。注意しなければなりません。

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