田中知事の台湾訪問に対する遺憾表

 3月17日の中止申し入れにもかかわらず、田中知事は、台湾を公務訪問し、陳水扁総統・李登輝前総統と会見しました。知事のこの度の行動は日中関係および長野県と河北省との友好関係に亀裂を生じさせる政治的行動と受けとめられてもしかたのないもので、きわめて遺憾であります。
 今後田中知事は日中関係の全般的重要性に鑑み、これ以上日中友好を損なうことのないよう強く望むものであります。
    2003年3月29日
    長野県日中友好協会



<資料>

田中康夫知事の台湾公務訪問中止を求める

 長野県日中友好協会は3月17日、緊急常任理事会を開催し、田中康夫県知事の台湾公務訪問問題につき協議し、友好協会は日中友好の大局に立って次のような申し入れを行うこととしました。会議終了後、井出会長・山根副会長・西堀理事長ら10名の代表が県庁に田中知事を訪ね、日中友好関係を損う台湾公務訪問を中止し、友好提携20周年を迎える中国河北省を友好訪問するよう熱意を込めて要請しました。田中知事は明確な返答はしませんでしたが、(訪中するならば河北省と北京だけでなく上海や大連にも行きたい)と答えました。今後の動向を注視して行きたいと思います。
 


田中康夫知事の台湾公務訪問中止を求める申し入れ

 本年は日中平和友好条約締結25周年、長野県と河北省友好提携20周年の記念の年に当たります。今まで私どもはこの記念の年に知事に河北省を訪問されるように提言して参りました。それにもかかわらず、田中康夫知事は台湾を公務訪問し、陳水扁総統・李登輝前総統と会見するとの計画を発表しました。日中平和友好条約の原則と精神に違反し、河北省との友好関係を根本から破壊するこの計画に対し、長野県日中友好協会は、強く反対を表明すると共に、この計画を取りやめるよう要求致します。
 日中関係は、国交正常化から30年を経て、日中共同声明と平和友好条約の原則(1.日中戦争の反省と中国側の日本への戦争賠償の放棄、2.1つの中国の原則、3.覇権反対)のもと、人事・経済・文化等の各分野の交流は大きな発展を遂げました。21世紀を迎え、日中関係は世界の中でも一層重要なものとなりました。長野県にとってもますます重要性を増していくでありましょう。
 長野県は戦前、満蒙開拓団をもっとも多く送り出した県であり、河北省にも多くの兵士が駐屯しておりました。その反省を踏まえ、全国に名高い、県民的日中友好運動が進められてきたことは、長野県の誇りであります。中国帰国者が4000名を数え、200を越える県内企業が中国に進出しております。河北省には信州洋上セミナー等各界の友好使節団が友好訪問して友情を深めており、その数1万名を越えております。
 台湾問題は、日中関係において敏感な政治問題であることは周知の事柄であります。今回、田中知事は、観光PRのための公務出張と言っていますが、台湾当局者との会見を計画するなど、極めて政治的色合いの強いものであり、日中共同声明に反する危険な行動と受け取られても致し方のないものです。(特に李登輝前総統は台湾独立の首謀者と見られている人物で、李氏との会見は政治問題化・外交問題化の恐れがあり許されない行動となるでしょう。)
 長野県民が日中戦争の反省を踏まえ、営々と築いてきた、日中友好の努力をどう考えているのでしょうか。発展する長野県と中国との諸交流に水を差し、中国の国内問題にさえ干渉するととられる行動は、県民益に反し、国民益にも反するものです。知事に求められているのは、日中友好を破壊する行動ではなく、友好を積極的に進めることであります。県民を代表する立場にある知事は、友好にとって有益なことを進め、反対にその妨げになる様なことは決してすべきではないと考えます。
 私達は、田中知事就任以来、長野県と中国(河北省)との交流強化のための訪中を数回にわたりすすめてきました。その都度「改革多忙」を理由に訪中は難しいと言われました。友好提携20周年の今年こそ、河北省や北京を友好訪問すべきであり、台湾公務=公式訪問は中止すべきであります。ここに強く要請致します。
     2003年3月17日    長野県日中友好協会




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