新中国成立75周年記念、長野県日中友好訪中団派遣(10/15~20)
中華人民共和国成立75周年を記念して西堀正司県日中友好協会会長を団長とする長野県日中友好協会訪中団一行10名は10月15日から20日まで、北京市と河北省石家庄市、張家口市を訪れました。
北京市では、中国人民対外友好協会、中日友好協会を表敬訪問し、袁敏道副会長・秘書長の温かい歓迎を受け、親しく懇談しました。また、世界遺産の頤和園、北京動物園のパンダ参観もよき思い出となりました。
河北省では、王建峰省外事弁公室主任・省対外友好協会会長、劉暁軍省国際交流促進会らの温かい歓迎を受け、今後の交流について語り合いました。正定県の隆興寺は浄土宗の古刹で印象深く、塔元庄村は変化していく農村の姿を垣間見せてくれました。張家口市では陳冲市委秘書長主催の歓迎宴に続いて、22年冬季オリンピックが開催された崇礼区を案内され、国家スキージャンプセンターや張家口市氷雪運動学校(オリンピック時は選手村)を訪問し感慨を新たにしました。翌日のワイナリー参観も有意義なものとなりました。新旧友人の心のこもったご接待ご案内に感謝したいと思います。
コロナ禍明け交流が再開されて2年目、落ち着いた雰囲気の中で、西堀会長新任のあいさつを兼ねての中国、北京市、河北省訪問6日間の旅でした。
10月15日午前10時、羽田空港第3ターミナルに集結した一行は、CA182便に搭乗して、北京首都国際空港に向かいました。旅行社の宋耀明さんに出迎えられました。中国人民対外友好協会設立70周年のお祝いのため北京滞在中の西堀会長とも合流し、空港近くのホテルで広東料理の夕食となりました。宿泊は長富宮飯店、ホテルニューオータニ経営のこのホテルは、日本の雰囲気を漂わせていました。
10月16日は中国人民対外友好協会・中日友好協会を表敬訪問しました。古くからの友人袁敏道副会長・秘書長や付博部長らに迎えていただき、打ち解けた懇談が行われました。
袁副会長:「皆様のご来訪を心より歓迎いたします。西堀先生の長野県日中友好協会会長ご就任おめでとうございます。長野県日中友好協会は設立以来60余年の長きにわたり、日中の平和友好に尽力されてこられました。昨年からコロナが明け交流が再開されました。河北省とは昨年友好県省40周年を迎えましたが、両省県の交流は全国の模範です。皆様の長年の友好のご尽力に感謝申し上げます。この度の河北省訪問が成果を上げられますようお祈りいたします。」
西堀団長:「新中国建国75周年おめでとうございます。日中友好協会も明年設立75周年を迎えます。中日友好協会の皆様と手を携えて友好前進を続けていきたいと思います。期せずしてこの度7代目会長に就任しましたが、ご協力をいただき責任を果たしていきたいと思います。日中関係発展のために今後共交流に力を入れていきたい。」
袁副会長:「1989年4月15日に長野を訪問し、西堀さんにようこそと出迎えていただいたことを鮮明に覚えている。胡耀邦さんが亡くなった直後でした。満開の桜を長野で初めて見ました。長野県日中の皆さんは友好活動に尽力されてこられた。長野冬季オリンピックの際もお招きいただいた。47都道府県の中で長野は先頭を走ってこられた。友好の基礎があり、西堀さんのような方がいて支えている。」
西堀団長:「中日友好協会との交流の思い出は尽きない。韓炳培さん賈慧萱さんとの交流も懐かしい。お互いに歳を取り、日中関係や交流手段もどんどん変化してきた。WeChatやアリペイ、新しい技術が登場し便利になった。この10月10日には、呉江浩大使の計らいで中国大使館において知事はじめ協会役員も参加して長野県・中国友好交流会が開かれた。河北省との交流やスキー交流、大学生高校生交流など有意義な交流がおこなわれた。明年の中学生卓球交歓大会などに取組んでいきたい。――――」話は尽きず、玄関前で記念撮影して、お暇しました。ここで、郭寧さんと再会できたのもうれしかったです。
「東来順」で火鍋料理に舌鼓を打った後、世界遺産に登録されている頤和園を参観しました。「昆明湖」を掘り上げた土をもって人工の築山 万寿山をつくり中国各地の名園を模して造られた頤和園はまさに権力の象徴のような巨大な庭園・建造物でした。10月の国慶節連休直後にもかかわらず、全国各地からの観光客(年配者のツアー客が目立った)で園内は込み合っていました。回廊の中間地点から遊覧船に乗って対岸に向かいました。さわやかな湖畔の風に雄大な景観が映えました。
続いて北京動物園にパンダを尋ねました。運よく筍と竹をセットにした食事の時間にあたり、4頭のパンダが宿舎から出てきました。私たちの目の前で、おいしそうに筍をむしゃぼるパンダは本当に愛らしい。パンダを何枚もカメラに収めて団員の皆さんも本当に満足そうでした。上野動物園のシンシンとリーリーが故郷の成都に帰って寂しい思いをしていたところだったので皆さん感無量でした。夕食は「北平盛世」レストランで北京ダックなど北京料理をおいしくいただきました。
10月17日は、前夜、河北省から駆けつけていただいた紀竑さんの案内で、高速鉄道で石家荘に向かいます。北京西駅9時発のG93号に乗って10:01には石家荘駅到着です。電光掲示板には、時速350㎞と表示されていました。石家荘駅で董彤さんらの出迎えを受け、河北賓館に向かいました。
王建峰省外事弁公室主任・省人民対外友好協会会長主催の歓迎昼食会が開かれました。王主任は一行を熱烈歓迎した後「先日、友好協会設立70周年の記念行事の時、西堀会長と雄安新区でお会いしましたので2度目の再会です。10月は美しい季節であり収穫の季節です。西堀会長には7代会長就任おめでとうございます。西堀会長は古い友人で河北省では超有名人でありお会いしたいと思っていました。長野県日中友好協会の皆様は長らく河北省の発展、両県省の友好発展のために貢献されてきました。昨年友好県省40周年の際は阿部知事とともに訪問され、友好継続発展を約束しました。また洪水被害に際し義援金をいただきました。ご支援に感謝申し上げます。中日友好協会の唐家璇会長は両省県の交流は地方交流のモデルケースと述べました。昨年は省長とともに洪水対応で留守にしておりましたので、会える機会を作りたいと願っておりました。3月に張家口市アルペンジュニア選手団が招待され長野県を訪問し歓迎を受けました。皆さんは明日冬季オリンピックが開かれた張家口市崇礼区を訪問します。明年5月の大阪万博の際、河北省代表団は大阪参観ののち、長野県を訪問する予定です。皆様と長野で再会しましょう。」
西堀団長:「歓迎に感謝します。数日前にお会いして、こうして今日また再会できました。1983年、長野県と河北省は友好県省を締結し、40年余りが経過した。友好協会は平和友好の理念のもと友好交流を進めてきた。戦中の不幸な時代の反省に立って1956年長野県日中友好協会が設立され以来、地方民間交流に取り組んできた。明年5月の大阪万博に際し長野県を省長さんに訪問していただきたい。青少年交流、スキー交流、8月には中学生卓球交流も予定されている。手を携えて可能な交流を積極的に進めましょう。」
王主任:「この度皆さんは、正定県と張家口市を訪問されますが、正定県は三国志に出てくる趙雲の出身地です。張家口市は古代文化発祥の地で農業と牧畜が盛んです。冬季オリンピックのご縁で長野県との友好都市も希望しています。」
布施秘書長:「ナウマンゾウの化石が張家口から出土したとお聞きしました。信濃町の野尻湖湖畔でもナウマンゾウの化石が出ます。古代、大陸と日本列島が陸続きだったころから行き来があったことを思うとロマンがあります。」
話題は尽きず長野での再会を約束してお暇し、正定県に向かいました。正定県城はもともと石家荘地区にあっては中心の地でした。(石家荘は石門と呼ばれていて、現在のように発展を遂げたのは、鉄道の分岐点ができ交通の要衝となったからといわれる。)習近平主席が若かりし頃、党書記として活躍していたことがあり、注目されています。
立派な城壁が再建され正定県は大きく風貌を変えました。まず隆興寺を参観しました。寺の起源は隋代にまでさかのぼりますが、主たる建造物と仏像などは宋代のものと言われます。浄土宗の極楽浄土図、宋の太祖趙匡胤が喜捨した巨大な銅製の千手観音立像など国宝級の宝物が安置されていて、参拝者を飽きさせません。紀さんが丁寧に通訳案内してくれました。
その後、塔元庄村を訪れました。全国からの視察団が訪れるモデル農村になっており、村の歴史や現状が分かりやすくパネル展示されていました。
石家荘市内に戻って、河北省国際交流促進会の劉暁軍会長の招待宴にお招きいただきました。劉会長は元省外事弁公室主任、石家荘市副市長、名古屋総領事などを歴任された方であり、信州大学に留学した経歴の持ち主でもある、私たちの古い友人です。国際交流促進会は誕生間もない組織だそうですが、豊富な体験を持つ劉先生がこうした交流組織で活躍されることを大変うれしく思いました。この宴席には呂暁梅省友好協会の前副会長も列席され楽しいひと時を過ごしました。
ホテルに戻ると、懐かしい旧友梁国輝さんをはじめ李国方・劉梅海・孫風国さんが迎えてくれました。シシカバブー(串焼き)を肴に乾杯を繰り返し、互いの健康を祝しました。定年退職後も、週2日のバトミントン、体験を活かしての活躍の様子をお聞きし、うれしく思いました。
10月18日、石家荘を後に張家口へ向かいました。山西省の太源・大同経由で張家口まで乗り換えなしに高速鉄道で向かいました。紀竑さんと董彤さんも同行していただき安心の旅です。
石家庄から太原まではノンストップで1時間余り、25分間の停車、ホームに出て思い思いに記念撮影。ここでスイッチバックで進行方向が反対になり、椅子の向きも変わります。右に太行山脈、左手に陝西省黄土高原を見ながら大同へ向かいます。車窓の景色に見とれながら、思い思いの懇談をしているうちに、列車はいつの間にか大同を過ぎて河北省張家口市の領域に入りました。12:49張家口駅に到着すると、市外事弁公室の李建鵬主任一行が出迎えてくれました。
張家口興垣維景国際大酒店で陳冲市党委秘書長の主催で歓迎昼食会が行われました。
陳秘書長は、一行を熱烈歓迎した後、張家口で1998年の長野、2018年の平昌についで冬季オリンピックが開催されたことに触れ、両市の縁を強調しました。続いて張家口市が3,8万㎢、人口400万人を有し、中華民族の発祥の地であること、崇礼区を中心にオリンピックの郷として氷雪文化スポーツ、冬季と並んで夏季の観光にも力を入れていること、風力・太陽光・水素発電など70%をグリーンエネルギーで賄い雄安新区に電気を供給していること、テンセントやアリババ、バイトバンスなどのIT企業やボルボの自動車エンジン生産基地があることなどを紹介しました。西堀団長は、冬季オリンピックの成功を祝すとともに、今後ともスキー交流を柱に交流を深めていきたいと述べました。団員一人一人に各自の干支にちなんだ蔚県の剪紙(切り絵)の額をお土産にいただきました。蔚県の剪紙は中国の国家級無形文化遺産として有名です。皆さん感激していました。
この日の午後、バスで、市の中心から冬季オリンピックスキー競技開催地崇礼区へ向かいました。高速道路が山間を縫って気持ちよく通っていて、1時間15分で崇礼区国家スキージャンプセンターに着きました。山を背に、巨大なジャンプ台が建設されていて、その威容は圧巻です。ラージヒルとノーマルヒルのジャンプ台が併設され、スタート台の上に巨大な円盤様の銀色の建物が配置されていて、ここは展示室、会議室、レストランなどとして活用されています。全景が如意の形に見えるので「雪如意」と名付けられています。
続いて、オリンピック選手村であったところに案内されました。ここは現在張家口市氷雪運動学校として近隣の優秀人材を集めスキー選手の育成を進めています。施設を参観した後、李建鵬市外弁主任が交流会を主催し、郭志煒校長が歓迎のあいさつと学校の紹介をされました。郭校長は市体育局長、市政協副主席でもあります。
郭校長:「3月に張家口市アルペンスキージュニア選手団が長野を訪問し歓迎いただき感謝します。氷雪学校は雲頂、万龍スキー場にも近く、選手が宿泊もできる選手育成の学校です。スキーやロッククライミングなどの選手養成コースがあります。施設及びソフト面で優れたものを有しています。今後の双方の交流を提案したい。①トレーニングと試合の交流、②長野県ジュニア選手の訓練隊の受け入れ、③国際競技大会の合作、アルペン、ジャンプなどFISに共同で申請したらどうかと考えています。」
西堀団長:「施設を参観させていただき感謝します。双方は冬季オリンピックを成功させその成果を踏まえて協力を発展させていきたい。3月の張家口市アルペンジュニア選手団を受け入れましたが成果はいかがでしたか。友好協会としては、県や県スキー連盟とともに県日中スキー交流委員会を設立して中国とのスキー交流を進めてきた。今後共未来に向けて交流協力を発展させていきたい。スキー交流は成果を出すのに時間が必要。相互主義の原則で進むのが良いと思うが、経費の問題などがあるので、今後相談しながら関係者の協力のもと検討していきたい。」
郭校長:「3月ジュニア選手団がお世話になりました。成果を上げることができました。互恵関係で行うことについて、当学校は宿舎を提供することができます。雲頂スキー場は私営のため基本は自費となります。スノーボード。ハーフパイプ施設は、満杯で難しい。アルペン、クロスカントリー、ジャンプは受け入れやすい。今度のシーズン中にハーフパイプ、ジャンプ、アルペンのアジアカップを行う予定。中日韓3か国の試合も実現できればうれしい。」
劉康副校長:「3月のジュニア選手団はレベルアップが早かった。11名は河北省のジュニアチームに入れたし、その中でも上位に入っている。ハイレベルなコーチの指導の賜物と感謝している。」
今後とも連携を密にして交流していくことを約束して、学校を後にしました。
崇礼賓館では李建鵬市外弁主任が夕食会を開いてくれました。日中両国の歌も飛び出し和やかな交流夕食会となりました。
10月19日は、ワイナリーをご案内いただきました。利世G9国際荘園と国営の中国食糧長城桑干酒荘という2つの対照的なワイナリーを参観しました。張家口はワイン製造の歴史が長く、「長城ワイン」は広く知られています。驚いたのは長城ワインの規模が大きかったこと、そして利世G9国際荘園が世界的な有名ブランドワイナリーとして世界の有名ワイナリーと交流し活躍していたことです。質を追い求めるをモットーとしていて、中国の今を感じさせる企業でした。本部はヨーロッパの城を連想させる建物の中に置かれ、ホテル機能も有し、高級イメージが漂っていました。
李主任には張家口滞在中ずっと同行案内していただきました。長城桑干酒荘での昼食会でも「皆さんをご案内できうれしく思います。張家口と長野はスキーやワイン、観光さらにナウマンゾウの化石など関係が深いことを実感しました。友好都市提携も実現できれば素晴らしい。」とあいさつされました。
西堀団長も温かい行き届いた歓迎ご案内に感謝し、「交流は立ち止まることは許されません。スキー、青少年交流など未来に向けて双方知恵を絞って交流を進めていきましょう。今回の訪問を通じて新しい発見もありました。交流を通じて一層理解を深めて協力していきましょう。」と述べました。
李主任一行の見送りをいただいて、張家口駅と北京北駅の中間に位置する懐来駅からG2548次高速鉄道で北京に向かいました。
北京北駅には旅行社の李爽さんが出迎えてくれました。北京空港ラマダホテルでの最後の晩餐は紀竑さん董彤さんを交え旅の思い出を語り合い、感動のひと時でした。
10月20日早朝ホテルを出発し、北京首都空港へ。紀竑さん、董彤さん、李さんらのお見送りをいただきながら再会を約し、お別れの握手に力が入ります。搭乗手続きを済ませ、CA133便で羽田へ飛び立ちました。思いで深い6日間の友好の旅は無事終了しました。
トップページはこちら
長野県日中友好協会のホームページへようこそ