近代史を回顧し、日中不再戦・平和友好を願い

アフターコロナを見据えて復交50周年を迎えよう 

         長野県日中友好協会理事長 布施正幸    

   

本年は辛亥革命110周年、中国共産党創立100周年、満州事変90周年の節目の年にあたります。中国では100周年を盛大に祝いました。「戦争と革命の世紀」と言われた20世紀は歴史の教訓に満ちています。

現在、コロナ禍による交流の中断や米中の対立の激化によって日中関係は困難な状況が続いていますが、今こそ、痛恨の歴史的教訓に学び、再び道を誤ることの無いよう心すべき時です。

「アメリカの衰退、中国の台頭」が言われ、国際的力のバランスが崩れつつあり、世界は大変化の時を迎えています。バイデン政権は中国包囲網の政策を矢継ぎ早にとっており、日本はその影響を強く受けつつあります。極端なアメリカ一辺倒、反中国の潮流に流されることなく「日中平和友好条約」を基本として、友好協力関係を守り発展させていきたいものです。

日中友好協会の創立者の内山完造先生(魯迅先生の友人で初代協会理事長)は1956年県日中友好協会が誕生するに先立って長野県に足を運び協会設立を働きかけました。先生は「中国がたとえどのような国になろうとも、資本主義国になろうとも社会主義国になろうとも、日中両国国民は子々孫々仲良くしていかねばならない」と力説されたそうです。14億の人々の住む隣国とは是非とも仲良く付き合っていきたいものです。

日中両国は1972年の国交正常化以来、経済・文化・スポーツなど各分野の交流を大きく発展させてきました。昨年の日中の往復の貿易額は32兆円(対米貿易の1.5倍)を維持しており、友好協力こそが日本の歩むべき道であることを物語っています。2月に発表された内閣府の外交世論調査では中国に親しみを感ずるが22%(20代は34%余)ですが、重要な国との認識は78%余の国民が持っています。

日本は米中対立が激化する中でも主体性をもってバランスの取れた付き合いをし、国益を守り、アジアと世界の平和繁栄に貢献していきたいものです。民族排外主義に陥って進路を誤ることなく、国民感情を改善し、半世紀の成果を大切にして、友好協力関係を維持発展させ、「戦略的互恵関係」を深めていくべきでありましょう。アフターコロナを見据えて、民間交流を進め、官民連携して東京・北京の2つのオリンピックに協力し、来年の国交正常化50周年記念の交流再開に備えましょう。(2021.8.1)

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