中国帰国者の体験発表と春節交流会(2/3)

 長野県と県日中友好協会中国帰国者交流センターは2月3日、「第11回中国帰国者への理解を深める県民の集い」を長野市内のホテル犀北館で開きました。帰国者1世、2世の体験報告と満蒙開拓平和記念館の報告が行われ、220人余りが熱心に聞き入りました。第2部では東京中国歌舞団による中国の民族楽器演奏と中国・日本の歌を堪能し、第3部の春節交流会では餅つきやくじ引き抽選会、日ごろ日本語教室などで練習してきた歌や踊りの披露、ヤンコー踊りなどを楽しみました。

 主催者を代表して大月良則県健康福祉部長と高波謙二・県日中友好協会会長があいさつしました。

 大月部長は、帰国者の皆さん言葉や生活習慣の困難を克服して努力されてきたことににエールを送った後、県として満蒙開拓平和記念館のセミナー棟増築に支援を決めたことを紹介し、開拓団のたどった悲惨な歴史を語り継いで、友好と平和を守っていくことの重要性を語りました。

 高波会長は「全国一満州開拓団を送り出し多くの犠牲を出した長野県には4000人余りの中国帰国者の皆さんが暮らしている。開拓団の悲劇と帰国者支援問題は長野県と県民にとって忘れてはならない歴史。本日は帰国者の皆さんの歩んだ歴史と現状への理解を深め、支援交流にともに励んでいきたい 。本年は、日中戦争終結から74年、中華人民共和国建国70周年の年。日中国交正常化に際し、日本と中国は再び戦争せず、末永く仲良く付き合っていくことを約束した。昨年の日中両国首脳の相互訪問を通じて日中関係は大きく好転した。県日中友好協会は長野県政府とともに、中国を相手国とする東京オリンピックホストタウン事業に取り組み、また2022年の北京冬季オリンピック支援交流に取り組む。日中友好の懸け橋として帰国者の皆さんもご協力いただきたい。新年のご活躍を祈ります」と述べました。

 続いて、日ごろ松本平で暮らしている中国帰国者支援に尽力されている「ナルク信州松本だいら」(守安威象代表)に大月部長より平成30年度知事表彰(福祉のまちづくり)が贈られました。

 体験発表で石坂万寿美さん(75)=塩尻市=は、「昭和18年に現地で生まれたが、逃避行の中、父はシベリアに抑留され死亡、私が重い病気にかかったので母は私を中国人に預けた。中国人の養父母は貧しいながらも初等師範学校まで上げてくれ、教師となった。養父母をみとった後帰国。言葉の壁があり夫を亡くしたあとは日本に帰ってきたことを後悔しましたが、平成20年に新支援法が成立し、生活も安定し、日本語教室やさまざまな活動に参加する中で視野も広くなり、喜びを感じるようになった。いまは本当に幸せです」と振り返りました。

 1998年母と帰国した帰国者2世の中村啓さん(74)=長野市=は、「帰国して21年」と題して帰国後の半生を語りました。帰国後就職したが、病気を機に退職、不安だったが生活保護を受けれるようになり、現在は日本語教室に通い地域の様々な活動に参加して安心して暮らしている。国や県、地域の皆さんの支えに心から感謝している」と語りました。

 特別報告として、「満蒙開拓平和記念館現況報告」を三沢亜紀記念館事務局長がおこない、中国を訪問し、残留孤児の女性を育てた中国人の養母に話を聞いた体験について、「娘にとっては祖国に帰ることができたので自分も幸せだと話していた。悲惨な歴史の中でも人間愛を垣間見ることができた。次の世代にも歴史をしっかり伝えていきたい」と話していました。また、平和発信の基地として、修学旅行の高校生などを受け入れることのできるように、記念館にセミナー棟を増築する取り組みに理解と協力を呼びかけました。

 
第2部は東京中国歌舞団による陽二蓮(ヤン・アーレン)さんの中国の歌・日本の歌、可晶さんの中国琵琶演奏、汪成さんの二胡演奏を堪能しました。

 第3部の春節交流会では長野市日中女性委員会の皆さんが友好の黄色のハッピ姿で、交流会を進行し・盛り上げに大活躍。アトラクションとして臼と杵を使って、帰国者の皆さんが餅つきを体験しました。抽選会も行われくじを引き当てた人たちが工芸品や中国の銘酒、お餅、お米などの景品を受け取って喜んでいました。

 長野、上田、松本の日本語教室に通う帰国者の皆さんが次々と準備してきた出し物を披露しました。長野教室の皆さんはおそろいの赤いセーター姿で登場し練習してきた「千曲川」を発表。上田教室の皆さんはハッピ姿に菅笠を手に山笠音頭を披露して会場を盛り上げました。長野ラジオ孔子学堂の皆さんはフルース(ひょうたん笛)の演奏を見事に披露。松本教室の皆さんは中国の東北地方に伝わる正調ヤンコー踊りを披露。ユーモラスな男女の掛け合いのしぐさに会場から歓声が上がりました。最後に、会場いっぱいにポピュラーなヤンコー踊りをにぎやかに踊りました。参加した帰国者の皆さんは「中国の春節を祝いながらみんなと集まれるこの会を毎年楽しみにしている」と語っていました。

 飯田下伊那、伊南、伊那、松本、佐久、上田、長野、飯山などからおおぜいの帰国者や支援者、市民のみなさんが参加しました。飛澤聡県地域福祉課課長補佐、本山聖一県地域福祉課主査、謝宏宇中国国際放送局長野孔子学堂中国側責任者、小林佑一郎元中国帰国者定着促進センター所長、岩渕泰和長野市生活支援課課長補佐、小坂秀人上田市福祉課長、上村力・中沢道保・村山ひとみ・島津美智子県日中副会長、西堀正司県日中帰国者交流センター所長、西沢毅県日中帰国者留学生委員長、、小林勝人飯田日中理事長、北沢吉三伊南日中事務局長、宮沢信代県日中女性委委員長、布施正幸帰国者交流センター次長らも出席し帰国者を激励し交流しました。

トップページはこちら
長野県日中友好協会のホームページへようこそ