県日中友好協会新春座談会・新年会を開催-創立60周年、友好交流の再活性化へ(1/25)

 長野県日中友好協会は1月25日、140人が出席して恒例の日中友好新春座談会と新年会を長野市内のホテル信濃路で開きました。創立60周年を迎える長野県日中友好協会の活動を振り返りつつ、日中両国の友好交流の再活性化と信頼回復に向けた更なる取り組みの必要性を確認しあいました。阿部守一知事、中国大使館の沈建国参事官をはじめ国会議員や各界来賓も出席され盛会裏に開催されました。

 新春座談会では、山根敏郎副会長の開会の辞に続いて、高波謙二会長があいさつし、「長野県日中友好協会創立60周年の節目の年に当たり、先人の事績を振り返り、日中友好はアジアと世界の平和と繁栄に欠かすことができないとの信念をもって今年も進んでまいりたい。力を合わせ、友好交流の再活性化に努め、相互信頼を回復していきたい。 4月には60周年記念長野県日中友好の翼訪中団を派遣し、秋には河北省友好協会代表団をお招きして60周年記念式典を予定。あわせて『虹の架け橋・長野県日中友好の歩み(第4巻)』の発刊を計画しているので格別なご支援ご協力をお願いしたい。本日は新年の抱負をともに語り合い、有意義な会としていただきたい」と述べました。

 また、座談会にも出席された沈参事官は、長野県協会の日ごろの活躍に敬意を表した後、「今の中日関係は各分野の交流協力が回復しつつあるが、まだまだ不安定要素があり、引き続き細心の注意を払いながら、努力していく必要がある。しかし、大局から見ると、まさに歴史上初めて、中日国民の大交流の時代を迎えており、本格的に向き合い、触れ合う時代になった」と述べ、今後の中日関係を発展させるため3つの提言をされました。「 第1は、お互いのことを客観的に見ることが大事。日本も等身大の中国を見て取ってほしい。中国は平和発展を堅持し、日本を協力のパートナーとみなして、日本をライバル、ないし仮想敵国とみなすことはない。中国の指導者はさまざまな場で、中日関係の重要性を言及して来た。第2は、中日関係に自信を持つこと。40数年の蓄積はたいしたもので、相手に対して好感度を持たないとか言われるが、それは必ずしも両国国民感情の実態ではない。三国志や中華料理が好きな日本人は圧倒的に多くて、また、日本製品や日本の流行文化が好きな中国人もいっぱいいる。それこそ、中日関係の強固な基盤と思う。第3は、人と人とのつながりを重視した友好交流を通じて、中日関係の発展を促進すること。いま訪日中国人は年間500万人、まさに、国の交わりは、国民の親交にあり、大いに両国民の直接の接触を拡大していく必要がある。歴史的な国民大交流の時代に、必ずや、多くの若者が友好活動に参加してくると確信している。中国大使館も、私自身も引き続き頑張ります」とのあいさつに共感の拍手が送られました。

 布施正幸事務局長が第2回理事会(12/2)で決定された今年の主な事業計画を報告し、「長野県日中友好協会創立60周年の節目の年に当たり、歴史を顧み未来を展望し、日中の平和友好の大切さを内外にアピールする。地方民間交流事業を企画し、友好交流の再活性化と信頼関係の回復に努める。 *4月の長野県日中友好協会代表団の派遣 *10月の河北省人民対外友好協会代表団を招いての長野県日中友好協会創立60周年記念式典開催  *『虹の架け橋-長野県日中友好の歩みⅣ』の編集発刊  *中国残留孤児養父母展の県内巡回展 *太行山河北省内丘県での緑化協力プロジェクトの実施 *長野ラジオ孔子学堂のHSK中国語検定試験実施協力 *留学生ホームステイ受入れ などにとりくんでいきたい」と述べました。

 続いて西堀正司理事長の司会でディスカッションに入り、日中関係の現状と課題、地区活動や各分野の交流などについて活発に意見交換が行われました。

◎中国の積極的な対外外交に関心を持ってみている。中国が好きで仲良くしていきたいと願っている。 ◎南京大学と藤村文学賞を通じた交流を今後も進めていきたい。中国は文化の恩人であり大切に付き合っていきたい。◎両国民の信頼関係の低下が言われているが訪日観光客が500万人に近づいたことや爆買など明るい話題もある。 ◎諏訪の御柱祭が行われるが岡谷蚕糸博物館に中国から蚕などの資材を導入して中国人観光客誘致に知恵を絞っていきたい。邱国洪・次期中国大使は古い友人なので、歓迎したい。 ◎中国は人件費のアップを国指導で行い内需拡大を図っている。個人消費は伸びており、消費税17%関税20%の中国人が日本で買い物をしたいと思う背景がある。

◎帰国者を取り巻く状況も大きく変わってきている。温かいまなざしがほしい。いじめなどの問題にも関心を持ってほしい。 ◎解決には地域・学校・家庭での教育が大切と思う。 ◎県内在住の帰国者は4100人と言われるが1万人を超える関係者が暮らしている。医療通訳等を各市町村に置くなどの対策が必要。 ◎かつて協会として陳情したが自動車免許試験は中国語でも受けれるようになった。

◎世界人口73億人の53%の39億人がアジアに住んでおり、世界のGDP・77兆ドルのうち日中両国で16兆ドルを占めている。日中関係がぎくしゃくすると世界にもマイナスの影響が大きい。 ◎謙中・反中雑誌があふれていて中国を正しく理解する若者が少ない現状は大変残念だ。中国の若者も日本の現状を見てほしい。 ◎昨秋の丹羽宇一郎先生の講演を聞き「とにかくできることをやるんだ」と決意した。若い人に参加してもらうにはどうしたらいいか。友好訪中団に参加して入会してくれる人もいる。インターンシップ生との交流も有意義だった。 ◎日中両国民が直接触れ合って真剣に向き合うようになった。言論NPOの世論調査(2000人)は、謙中・反日90%といった数字を出しているが、実態と違っている。世論を誤った方向へ誘導する弊害があると思う。人の交流が飛躍的に拡大し、人と人の付き合いの接点が増えている。戦中世代の贖罪から友好というモチーフの中で、お互いに等身大の日本と中国を認識して付き合っていきたい。 ◎日本は敗戦以来70年、戦争しないでやってきた。平和を守っていきたい。冷静に考えれば、戦争をする相手はいない。 ◎右傾化が心配。マスコミの偏向も感じられる。脅威をあおっているが日中は運命共同体であることを認識すべきだ。

◎映画「望郷の鐘」の上映会に420名参加、好評だった。学校の先生方にも見てもらい、各学校でも上映して平和の大切さを学んでほしい。 ◎中国ジャンプ訓練隊の受け入れ協力などに取り組んできた。◎大学生インターンシップ生受け入れ事業を県の協力のもと5年取り組み300人近く受け入れた。観光やスポーツビジネスに貢献したい。違いを認識してできることからやっていき、お互いに必要とされる間柄となりたい。県が河北省と結んだ4つの協定(医療介護・スポーツ/スキー・環境・観光)推進に協力していきたい。 ◎創立時は開拓団関係者が多かった。若い人が動きにくいところがあった。日中はお互いを認め合って、できることから実行していきたい。諏訪にも大勢の中国人実習生・留学生がいるので交流し理解を深める機会を増やしていきたい。 ◎貴重な社会主義の文献贈呈を通じて交流があった。日中は唇と歯の関係にある。

◎満蒙開拓平和記念館の昨年の入館者は27000人だった(累計80000人超)。11~12月中国残留孤児養父母展を開催するとともに、養母を招いて「養父母を知るつどい」を開催した。養父母展の県内巡回展にご協力願いたい。体験者の発表などを合わせて取り組んでいただければ効果的と思う。子供たちに教え伝える機会としていただきたい。謙中・謙日は教育の問題でもある。近現代史を正しく子供たちに教えることが大切と思う。 ◎青年委員会と女性委員会の共催で日中スキー交流会を2月木島平スキー場で開催。ご参加とご協力をお願いしたい。 ◎女性委員会は新春女性のつどいを予定している。地区協会を基盤に活躍しているのでご支援ご協力をお願いしたい。

◎(まとめ)活発なご意見に感謝したい。現在は、世界のグローバル化が進むとともに地方ローカルが重視される時代となっている。グローカルという言葉も生まれている。平和な社会を維持していく上で、日中両国の平和友好は欠かすことができない。地域での交流活動に取り組み、友好を発展させていきたい。

 新年会には、日頃友好運動に協力いただいている各界来賓が多数出席いただきました。相澤孝夫副会長の開会あいさつに続き、高波会長は日ごろの協力に感謝し、「日中首脳会談により両国関係に明るさが見えてきた。本年は長野県日中友好協会創立60周年の節目の年に当たる。半田孝海初代会長はじめ先人の事績を振り返り、官民力を合わせ、友好交流の再活性化に努め、相互信頼を回復していきたいと決意している」とあいさつし、60周年記念事業への協力を要請しました。

 阿部県知事、沈参事官、務台俊介衆議院議員、村石正郎県日中友好促進議員連盟会長から激励の祝辞をいただき、濱田州博信州大学長の音頭で乾杯しました。阿部知事は、日ごろの友好協会の活動協力に謝意を表したのち、張慶偉河北省省長との間で結んだ医療介護・スキースポーツ・環境・観光などの分野での協力交流を深めていく決意を語りました。

 懇親会の中のスピーチで、小松裕・井出庸生両衆議院議員(代)、小坂憲次・若林健太両参議院議員(代)、太田昌孝・竹内久幸・今井正子・小林東一郎・高島陽子・清水純子各県議、王昌勝県華僑総会会長、河野博明県スキー連盟副会長、王秀閣中国国際放送局長野孔子学堂代表、董彤国際交流員などから激励をいただきました。女性委員会メンバーが沈参事官とともに壇上にのぼり「ふるさと」を披露し大きな拍手が送られました。親しく懇談交流が行なわれ会場は和やかな雰囲気に包まれました。山本晋司県国際課長の音頭で日中友好協会の万歳が行なわれ、中沢道保副会長の閉会あいさつで散会となりました。

 来賓として前記のほか岡田荘史長野市議会日中友好議員連盟会長、返町健長野市国際室長、岡村重信県経営者協会人材戦略拠点事務局長、井出康弘県中小企業団体中央会事務局長、木藤暢夫県商工会議所常務理事、中村英雄県商工会連合会専務理事諏訪浩一県平和人権環境労組会議共同代表、星沢重幸部落解放同盟県連委員長、井口弥寿彦信濃毎日新聞社総務局長、酒井康成松本歯科大学学事課係長、桜井啓司県武術太極拳連盟会長らのご臨席をいただきました。

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