2014年、日中関係の危機を打開し、平和友好の道を再び作ろう
                             長野県日中友好協会事務局長 布施正幸

 2014の新春を迎えました。過去1年間の友好活動に敬意を表し、県協会の諸活動へのご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。

 昨年は、日中平和友好条約35周年、長野県と河北省友好提携30周年に当たりました。この節目の年にあたり、国レベル県レベルにおいてさまざまな記念交流事業が計画されましたが、日中関係は政府レベルで対立したまま凍りついた状態で困難な状況が続きました。

 尖閣問題は政府レベル、政治分野にとどまらず、民間交流や地方交流にも影を落とし、経済・文化など広い分野の交流にも深刻な打撃を与えました。引越しのできない隣国であり、大切な貿易相手国と仲たがいを続け、首脳会談が1年以上も開かれない状況は全く異常であり大きく国益を損なっているといえましょう。「戦後国交正常化に努力し、その後両国関係発展に努力してきた歴代指導者・先達の築いた成果を打ち壊す権利など今の指導者にはない」(丹羽前中国大使)のです。両国政府に猛省を促したいと思います。この危機的状況から脱却するにはどうしたらよいか、両国指導者と国民が真剣に英知を傾けていかなければ大変不幸な事態を招きかねないでしょう。日中不再戦、覇権反対を確認し、体制の違いを乗り越え、戦略的互恵関係を推進して行くことが真に求められています。

 世界的に見ても不安定な情勢が続きました。アメリカの衰退、新興国の台頭など国際情勢の激変が進みました。アメリカの対日要求はますますストレートなものになりつつあります。中国では第18期3中全会が行われ、山積する諸課題の解決に本腰を入れ、改革の深化をはかるとしています。13億中国の行方はますます大きな影響を及ぼすことになるでしょう。我が国としても対米一辺倒、反中国の思潮に押し流されることなく、広い視野を持って、真剣に世界の中の日中関係を考えていかねばならないときを迎えています。

 県協会はこの一年、地区協会や関係諸団体の協力を得て、困難な中でも日中友好の不変であることを県民にアピールし交流活動を進めてきました。満蒙開拓平和記念館の開館は県の内外で大きな反響を呼びました。強制連行殉難中国烈士慰霊祭では日中不再戦・平和友好の大切さを再確認しました。村山元総理の講演会は「村山談話」の意義を再認識する機会となり好評でした。河北省との30周年記念事業の柱であった中学生卓球交流大会は中止となり、秋の大訪中団派遣は実施できませんでしたが、阿部知事と張慶偉・河北省長との会見は今後の両県省関係発展の足がかりとなりました。ジャンプ訓練隊受入れや孔子学堂中国語講座・スクーリング・スピーチコンテストの実施、中国留学生ホームステイや日中友好スキー・キャンプの実施、帰国者への理解を深める県民のつどい開催や帰国者日本語教室開講、日中関係を考える連続市民講座や人民中国読書会開催などに取り組みました。また各地区協会でも困難にめげず、平和友好の決意をもって諸交流にとりくみました。

 本年は中華人民共和国建国65周年を迎えます。改めて「日中両国が争えばお互いが傷つき、和すればお互いが幸せになる」この歴史の教訓を思い起こしたいと思います。法的戦争状態に終止符を打ち日中新時代を開いた「日中共同声明」と覇権反対を明記した「日中平和友好条約」、そして21世紀の日中の戦略的互恵関係推進をうたった「新日中共同声明」は先人が築いた宝物です。これらの精神原則を守り、友好を望む両国の有為の人々と連携し、民間レベル・地方レベルで相互信頼回復と友好協力発展のため、様々な分野で交流を進めてまいりたいと存じます。

 「道は人々が歩いてできる」(魯迅) 友好の道を再構築する責務と希望は戦中世代から、戦後世代へさらに戦後第二世代、第三世代へと託されています。

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