(資料)

東アジア共生の道を
韓国の「抵抗詩人」金芝河(キム・ジハ)氏に聞く
                                    

−−韓国の「抵抗詩人」として著名な金芝河氏が元気な姿を見せた。7月8日の信濃毎日新聞に掲載されたインタビュー記事によれば、日本や中国、朝鮮半島、ベトナムなど東アジア各国が相互理解を進め、平和を目指すネットワーク・「東アジア共同体」を提唱しているという。 韓国という風土が生んだ鋭い感性と、土着の思想に再び耳を傾けたい。(F)


「抵抗詩人」として知られる韓国の思想家、詩人の金芝河さん(63)が講演集の出版を記念して来日。共同通信とのインタビューで「東アジアの共同体」の視点から国際平和を考える大切さを強調した。


−提唱している「東アジア共同体」とは。
「日本や中国、朝鮮半島、ベトナムなど東アジア各国が相互理解を進め、平和を目指すネットワーク、共同体だ。民族の個性を認めながら、国と国とが互いに恩恵や利益を与え合い、共生を試みる。個人でも市民活動などを通じて可能だと思う」
−韓国では、盧武鉉大統領が民主化運動で投獄経験もある李海贊氏を首相に選んだ。
「着実な政権運営を期待するが、韓国の政治は激動が続いている。性急な判断を避け、諸問題に対して慎重に対処するのがいい」
−日本の小泉政権をどう考えるか。
「改革は政治手腕の一つと評価できるかもしれないが、自衛隊のイラク派遣や多国籍軍参加など、プロセスが早すぎる。朝鮮半島に影響するのはもちろん、中国やロシアなど北東アジア全域の民族を刺激している。平常心から出発するという政治の原点を忘れてしまったのではないか」
−北朝鮮による日本人拉致事件については。
「もちろん北朝鮮の間違いで、一刻も早く解決されるべきだ。しかし、日本の一部に、事件を口実にして軍事力強化を推し進めようとする勢力があることを懸念する」
−朝鮮半島統一についての見通しは。
「韓国側が統一を望んでおり、北朝鮮も条件次第では同意する可能性がある。しかし、南北関係は周辺地域が絡み、大変複雑だ。現段階で展望することは難しい」

金芝河(キム・ジハ)氏
1941年2月、韓国・木浦市生まれ。70年代、朴正熙大統領の軍事政権下で民主化運動をリード。死刑判決を受けたが、国際的な救援活動で釈放された。現在は環境問題や消費者運動など詩作以外にも活動を広げている。


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