小泉総理大臣の靖国神社参拝に関する
(社)日中友好協会村岡久平理事長の談話

 小泉総理は4月21日、前触れなく突然に靖国神社を参拝しました。敗戦記念日の8月15日をあえて避けたこと、参拝にあたって発表した所感などからは、それなりの配慮が感じられますが、だからといって総理の靖国参拝を容認することはできません。
 中国など近隣諸国が靖国参拝を特に問題にしているのは、第二次世界大戦の戦争遂行責任者として処刑されたA級戦犯を合祀している点です。昨年夏の参拝で日中関係をこじらせた後、小泉総理は十月に北京の盧溝橋を訪れ、「心からのおわびと哀悼の気持ちを持った」と語りました。それからわずか半年後の再度の参拝を中国国民はどう受け止めるでしょうか。
 しかも、日中国交正常化三十周年のあたる今年、日中両国政府は「日本年」「中国年」と位置づけ、国民的な相互理解をすすめていくことを合意し、四月二日に東京で開幕行事を行ったばかりです。そうしたさなかの参拝は、中国国民の間に再び日本への不信や警戒の疑念を抱かせるものとなりかねず、きわめて遺憾です。
 小泉総理は参拝直後の記者会見で、八月十五日の靖国参拝は行わないことを明言しました。この際、小泉総理に強く要請したいことは、靖国に替わる戦没者追悼の施設を早く建設することです。すでに昨年の参拝後、政府は、靖国神社とは別に戦没者を慰霊するための「国立墓苑」構想を検討する懇談会を設置し、現在、検討作業が行われていると聞きます。
 近隣諸国民からも納得の得られるかたちで、あらたな追悼施設の建設を一刻も早く推進し、この問題の抜本的な解決を図ることを、小泉総理に対し強く要望します。

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