石灯籠のある風情

石灯籠は和風の庭園にはつき物ですので、ほとんどの和風の庭に置かれています。そんなことを考えると、私たちの和風ガーデンの特徴として、ことさら取り上げるまでもないかもしれません。しかし、それでも私たちは私たちなりのこだわりを持って、我が家の庭に合う石灯籠を選びました。現在の我が家の和風ガーデンが以前より趣を深めたとしたら、やはりこれらの石灯籠の存在は無視できません。そのような意味から、新たに石灯籠のページを作ることにしました。

これら二つの石灯籠を選ぶまでには、何軒もの石屋さんを訪ね歩きました。しかし、どの店に行っても、規格品でも見るようにどれもこれも同じような石灯籠ばかり。話を聞くと、現在の石灯籠の多くは中国等から輸入されているとのこと。また、コンピュータ制御された機械で、やわらかめの石や人造石を刻んで、同じようなスタイルのものを大量に生産しているようです。なるほど、どの店に行っても同じような石灯籠が置かれているわけです。

軟らかめの石を刻んでいるせいか、かなり細かい細工がされている石灯籠もたくさんありました。それだけ手の込んだデザインですから、ちょっと目には高級なものに見えなくもありません。しかし、私たちにはかえって浅薄なものに映りました。そこで、自分たちの趣味に合うものはないかと、ずいぶんいろいろな石屋さんを尋ねたのですが、どこにも心を動かされるものはありませんでした。

実は、石灯籠を探し始める当初、私の庭をお願いした庭師のところに手彫りの石灯籠があるということで、見に行ったことがありました。しかし、いったん置いたら簡単に置き換えることのできない石灯籠。そこだけ見て決めるのもよくないだろうと考えて、他の石屋さんも見て回ったわけです。しかし、いくら見て回っても気に入ったものがなく、結局初めに見た庭師の方の石灯籠に戻ってくることになりました。こちらの石灯籠は、この庭師がご自分の好みで集められたり、特注して作っていただいたりしたものとか。どれもこれも手彫りの石灯籠にしかない、素朴な中にもどっしりとした存在感のあるものばかりでした。ここにご覧いただく石灯籠は、そのような石灯籠の中から選んだ二つの手彫りの石灯籠です。


(平成12年4月21日撮影)
左の背の高い石灯籠は柴田徹作の木屋町善導寺型の石灯籠。ご覧のようにとても簡素なスタイルの石灯籠ですが、それでいてどっしりとした存在感があるように思います。手彫りの跡がよく見えるラフな感触は、素朴な印象を与えますが、すらーとした背の高いスタイルは、とても洗練された趣も感じさせます。

右の小さな石灯籠は倉田実作の寸松庵です。これをのせるのにちょうどいい石を探してその上におきましたら、いっそう引き立って趣が増したように思います。

(平成12年5月12日撮影)
上の背の高い木屋町善導寺型の石灯籠は、
4月半ば頃までのまだ木々に葉が茂らない季節には、
洋風ガーデン入り口のアーチのちょうど真中に見ることができます。
その様子はこちらをクリックしてご覧下さい。
上の小さな石灯籠の前には、奥へと続く踏み石があります。でも、両側の木立が狭い上に、低く伸びた枝が邪魔になって、この上を渡って奥へ歩いていくことはできません。あくまでも印象的な情景としてだけ置かれています。
私たちの庭はとにかく狭いので、この石灯籠を置くのを機会に、もっと奥行きが感じられるようにしようと考えました。そこで、もともと庭師の方が置いた石を取り替えて、奥に行くに従って小さな飛び石になるようにしてみました。いかがですか。少しは遠近感が出るようになったでしょうか。
回りに緑が茂った頃の寸松庵はここをクリック

(平成12年5月18日撮影)

(平成12年7月28日撮影)
和風ガーデンの池のあるところを左に曲がったところから、木屋町善導寺の石灯籠を振り返って眺めたところ。どっしりとした存在感を見て取ることができます。
洋風ガーデンから和風ガーデンに入ったところから石灯籠を眺めた写真。和風ガーデンの曲がり角に佇む石灯籠は、新しい和風ガーデンのフォーカルポイントになりました。右脇に木の葉に覆われるようにして佇む石灯籠は、寸松庵。